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2025年5月12日月曜日

アトピー性皮膚炎と漢方

<アトピー性皮膚炎について教えてください>


 アトピー性皮膚炎は、元来のアレルギーを起こしやすい体質と環境要因(花粉、乾燥、ストレスなど)が相まって肌のバリア機能が低下することで起こり、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返す皮膚疾患です。

2024年7月22日月曜日

侮れない水虫

<水虫について教えてください>


 気温が上がり、じめじめしてくると増える水虫。水虫は、白癬(はくせん)菌というカビの一種である真菌によって皮膚に起こる感染症のうち、足の皮膚や爪にできるものを指します。症状は、足の指の間がふやけて皮がむけたり、足の裏にかゆみを伴う小さな水膨れができたりするほか、足の裏全体が硬くなって、深いしわができたりひび割れたり、また、爪に感染すると爪が白濁して分厚くなったりすることもあります。

2024年1月26日金曜日

急増するトコジラミ被害

<保健所などに寄せられるトコジラミの被害や相談件数が増えていると聞きますが>


 韓国やフランスなどでの大量発生が報道され、注目を集めているトコジラミ。社会問題となり、国を挙げて駆除対策に乗り出しているようです。

 トコジラミは、実はシラミではなくカメムシの仲間です。南京虫(ナンキンムシ)とも呼ばれます。茶褐色で羽がなく、成虫は5ミリほどです。主に夜間に寝ている人の血を吸います。刺されると、激しいかゆみを伴う発疹を引き起こします。

2023年9月21日木曜日

赤ら顔と「酒(しゅ)さ」

<赤ら顔の原因について教えてください>

 いわゆる赤ら顔にはいくつかの種類と原因があります。生来からの赤ら顔、顔の皮脂の多い部分に生じる「脂漏性皮膚炎」、アレルギー体質と皮膚のバリア機能低下などを伴い生じる「アトピー性皮膚炎」、「ニキビ〈尋常性ざ瘡(そう)〉」、「化粧品などによるかぶれ〈接触性皮膚〉」などが考えられます。

2023年5月25日木曜日

紫外線と日焼け止め(サンスクリーン剤)

 宮の森スキンケア診療室 上林 淑人 院長

「紫外線の怖さと紫外線対策について教えてください」

 晴天の日は、日差しの強さを感じる季節になってきました。そこで、気になるのが紫外線です。日焼けや皮膚炎の原因となる紫外線は、波長の長さによってUV-AとUV-Bに分かれます。UV-Bは、皮膚の浅いところに作用し、赤く炎症を起こしたりシミの原因となったりします。長期的には皮膚がん発生のリスクを高めます。UV-Aは、皮膚を黒くし、皮膚の深く真皮にまで作用しシワやたるみの原因となります。

2023年1月19日木曜日

冬も気を付けたいあせも

 宮の森スキンケア診療室 上林 淑人 院長


あせもについて教えてください

 汗は汗腺という組織で分泌され、汗管という通路を通って皮膚の表面に出てきます。汗管を通ることのできる汗の量はある程度決まっており、通りきらない量の汗をかくと汗が詰まって皮膚内に取り残されます。皮膚のやや深い所(表皮内)で汗が詰まると、汗の刺激で炎症が起こり、強いかゆみを伴う赤い発疹が生じます。これを「紅色汗疹(こうしょくかんしん)」と言って、あせもの一種です。額や首の周り、胸、背中など汗をかきやすく、蒸れやすい部位に現れます。

 汗の詰まりが皮膚の表面近く(角層)で起きると、直径数ミリの透明な水膨れがポツポツと現れます。これがいわゆるあせもで、正式には「水晶性汗疹」といいます。水晶性汗疹は、かゆみの症状がなく、数日で自然に消えてしまうことがほとんどで、特に治療の必要はありません。

 あせもと聞くと、汗をかく機会が増える夏の病気だと思われがちですが、実は冬にも多い肌トラブルです。厳しい寒さやウォームビズの実施などで、冬場は厚着になりますが、暖房の効いた学校や職場、電車など意外と暖かくて汗をかいてしまうことが多いからです。


冬場のあせも対策と、治療について教えてください

 汗を小まめに拭き取り、皮膚を清潔に保つことが大切です。汗を吸収・蒸発させやすい綿素材の肌着を着るのも効果的です。一方、熱を発生させる効果のある機能性肌着(ヒートインナー)は、場合によっては余計に汗をかき、また汗の吸収が悪く、肌と衣類との間が蒸れやすいので、汗をかきやすい人は避けた方がいいでしょう。

 特に注意が必要なのは乳幼児です。乳幼児の肌は、乾燥しやすく、刺激に敏感で、汗をかきやすいという特徴があります。風邪をひかせないようにと暖房を強めに設定し、暖かい服をしっかりと着込ませることが、結果として、乾燥して敏感になっている赤ちゃんの肌に汗の刺激が加わりあせもが発症するケースが目立ちます。暑すぎない程度に暖房を抑え、必要以上に厚着・重ね着させないことが大切です。

 あせもの治療は、ステロイド外用薬など炎症を抑える塗り薬が主体となります。かゆみを我慢できず、思わずかきむしってしまい重症化するなど、症状が長引くケースも多く見られます。たかがあせもと侮らず、症状の軽いうちに、しっかりと治療を行うことが重要です。

2022年9月22日木曜日

脂漏(しろう)性皮膚炎

ゲスト/宮の森スキンケア診療室 上林 淑人 院長


脂漏性皮膚炎とはどのような病気ですか。

 鼻や耳の周囲、おでこや頭皮など体の中で皮脂の多い場所(脂漏部位)に起こる皮膚炎です。皮膚が赤くかさついて剥がれたりかゆみを伴ったりします。頭皮ではフケが多くなり、かゆみを伴うことが多いです。

 脂漏性皮膚炎の原因は単一的なものではなく、いろいろな要因が影響して発症、悪化すると考えられています。その要因の一つは、皮脂が皮膚に常在するマラセチア菌という真菌(カビの仲間)などに分解された結果、刺激物となりそれによって炎症が起こると言われています。その他、化粧品による肌への負担、洗顔不足や過剰な洗顔など間違った洗顔方法、睡眠不足や疲労、ストレスなどで皮脂分泌が増えること、偏った食生活や野菜(特に緑黄色野菜)不足などによるビタミン類の不足などさまざまです。体質的、遺伝的素因によることもあります。


診断と治療、予防について教えてください。

 診断では似たような症状を伴うアトピー性皮膚炎や、鼻や頬の周囲など顔の赤みが特徴の「酒さ」との鑑別が重要です。

 治療は炎症を抑える塗り薬が中心となります。必要に応じてマラセチア菌の増殖を抑える抗真菌薬や皮脂分泌を調整するビタミン剤、かゆみを抑える内服薬を処方することもあります。症状が消えたり再発したりを繰り返すのも特徴で、根気よく治療を続けることが大切です。

 治療以外に大切なことは生活習慣の改善が非常に重要です。小まめな洗顔、洗髪、入浴で過剰な皮脂を落とし清潔に保つことが基本です。乾燥を防ごうと油分の多い基礎化粧品などを過剰に使用していると、皮脂を閉じ込め脂漏性皮膚炎を引き起こしてしまうことがあります。特に、クリームや美容オイルなどを重ねづけすると、肌表面の油分が多くなりすぎるので注意してください。

 また、野菜や魚などを多く摂取してバランスの良い食生活を心掛けましょう。休息や睡眠を十分に取り、規則正しいリズムで生活し、ストレスや疲労をため込まないように気を付けてください。しぶとく再発しやすい皮膚炎ですが、気にならない程度にうまくコントロールできる皮膚疾患です。顔の赤みや頭のフケ、かゆみでお悩みの人は、自己判断せずに医療機関を受診してください。

2022年4月20日水曜日

春先に増えるニキビの治療と予防

 ゲスト/宮の森スキンケア診療室 上林 淑人 院長


ニキビについて教えてください。

 進学や就職、出会いや別れ…と、新生活がスタートする春は何かと心身にストレスを受けやすい季節でもあり、肌荒れ、特にニキビに悩む方が多く来院されます。また、コロナ禍のマスク生活が長引き、「マスクのところにニキビができて困っている」という相談も多いです。

 ニキビは毛穴に皮脂が詰まり、そこにアクネ菌という細菌が感染して起こります。皮脂の分泌が盛んな部分に発症しますが、その原因は体質や肌質、学校や職場、家庭でのストレス、偏った食生活、睡眠不足などいろいろです。男性に比べ、化粧をする女性の方が悪化したり長引いたりしやすい傾向にあります。


ニキビの治療法と予防法を教えてください。

 ニキビには「こうすれば必ず良くなる」と単純に行かないことが多く、その人に合った治療法を見つけ、それを継続することが大切です。思春期のニキビは、比較的治療効果が出やすく、塗り薬だけで改善されることが多いです。20〜30代に出る“大人のニキビ”は、塗り薬だけでは改善せず長引くケースも多く、ビタミン剤や抗生物質の服用が必要になることもあります。最近は保険適用の塗り薬が複数発売され、治療の選択肢が増えています。

 また、一般的なニキビ治療では改善がみられない場合、漢方薬による治療が効果的なことがあります。ニキビの性状と患者さんの体質や体力、ホルモンバランスなどを総合的にみて、一人ひとりに合った漢方薬を処方します。

 できるだけストレスをためず、栄養バランスのとれた規則正しい食生活を送り、過労や寝不足、お酒の飲み過ぎを避けるなど生活習慣を改善していけば、ニキビの予防につながります。また、洗顔は大事ですが、洗いすぎは良くありません。洗顔料を十分に泡立て、やさしく洗い、しっかりとすすぐようにしましょう。間違ったスキンケアがニキビを悪化させているケースも多く見受けられます。ニキビ対策にはなるべく油分の少ない化粧品を選び、乳液や栄養クリームなどの使用は最小限にとどめましょう。

 “マスクニキビ”の主な原因は、マスクによるこすれとマスクの着脱による蒸れや乾燥です。対策には、マスクを外したときには適宜、余分な皮脂や汗を拭き取って清潔を保ち、保湿剤を塗るようにしましょう。マスクを付ける前に保湿剤を使うのも有効です。


2021年11月24日水曜日

秋冬の乾燥肌対策

 ゲスト/宮の森スキンケア診療室 上林 淑人 院長


乾燥肌について教えてください。

 秋から冬にかけて寒い季節に、多くの人が悩まされる肌のトラブルといえば乾燥肌です。皮膚が乾燥して、カサカサした状態になり、ひどくなると白く粉をふいたり、ひび割れてうろこのようになったりします。ある程度乾燥すると、それだけでかゆみを伴い、かくとさらにかゆみが増すのでまたかく、という悪循環に陥りやすいです。中高年に多くみられますが、性別や年齢にかかわらず発症します。

 皮膚表面を覆う脂分など、皮膚の潤い(水分量)を保つ成分が、加齢や疲労、ストレスなどにより不足することが原因です。また、外気・室内の乾燥、皮膚を強く洗いすぎる生活習慣なども外的な要因として挙げられます。

 乾燥してカサカサした皮膚は、肌が本来持っている外部からの刺激を防ぐバリア機能が低下し、花粉やハウスダストなど、アレルギーの原因となっている物質に過敏に反応しやすくなります。また、乾燥肌をかくと肌に目に見えない細かな傷がたくさんできます。これらの傷から細菌などが入り込むと、湿疹や炎症などさらなる皮膚トラブルの原因となるので、早い時期から治療することが大切です。


乾燥肌の対策・治療について教えてください。

 対策の基本は保湿剤を塗り、皮膚の潤いを保つこと。皮膚科でも保湿剤を処方しますが、市販のものでも構いません。保湿剤は軟こうやクリーム、ローションなどいろいろなタイプが用意されていますが、その保湿成分は皮膚の水分が逃げないようにふたをする「エモリエント」と、皮膚に水分を与える「モイスチャライザー」の2つに分類されます。自分の肌に合ったもの、使いやすいものを選んでください。1日2回は塗るよう心掛けてください。

 そのほか、暖房で乾燥しがちな室内は、加湿器を使って一定の湿度を保ち、肌の水分の蒸散を防ぎましょう。入浴の際は“ごしごし洗い”ではなく、手で石けんを泡立てて、優しく洗うようにすると肌への負担は少ないです。

 かゆみが強い場合や、すでにかいて炎症を起こしているときは、保湿剤だけでは皮膚の状態は改善しません。皮膚のダメージに応じて、かゆみや炎症を抑える塗り薬、飲み薬を処方してもらう必要があります。ただの乾燥肌と思っていたら別の皮膚の病気が隠れていたというケースもあるので、自己判断に頼らず、皮膚科医と相談の上で治療することをお勧めします。


2021年5月12日水曜日

花粉が原因となる皮膚炎(花粉症皮膚炎)

 ゲスト/宮の森スキンケア診療室 上林 淑人 院長  


花粉が原因となる皮膚炎について教えてください。

 本州の花粉症はスギ花粉が主な原因ですが、北海道の花粉症はシラカバ、ハンノキの花粉が主な原因で、ゴールデンウィーク前後からシラカバ花粉症が本格化します(札幌市内・北海道神宮境内に茂る木々にはスギの樹林もあり、円山や宮の森など周囲の地区ではスギ花粉にも注意が必要です)。さらに、ブナやマツ、クルミなどの樹木や、ヨモギやカモガヤなどイネ科の牧草による花粉症が9月ごろまで続きます。

 鼻水やくしゃみ、鼻づまりが花粉症の主な症状ですが、実は花粉が皮膚に付着することで、まぶたがむくんだり、目の周りや頬、鼻、口の周り、首周りなどがかゆくなったり、赤くなってガサガサに荒れたりといった症状を引き起こすこともあります。これがアレルギー性皮膚炎の一種である「花粉症皮膚炎」です。これは正式な病名ではなく、花粉が皮膚に影響を及ぼす症状の総称です。

 今年はコロナ禍でマスクを着用している時間が長いためか、鼻や口の周りは症状が軽く、まぶたや目の周りに症状が集中している印象があります。目の周りは皮膚が薄く、バリア機能が弱い部位なので、症状が強く現れやすいです。


花粉症皮膚炎の治療や予防について教えてください。

 毎年決まった時期になると顔や首がかゆくなったり、赤みやむくみ、ブツブツ、湿疹ができたりするようであれば花粉症皮膚炎が疑われます。希望があれば病院で調べられますので、相談してください。治療は、炎症を抑える外用薬と抗アレルギー薬(内服薬)を使います。アレルギー反応によって肌にかゆみが起こると、つい触ったりかいたりして炎症を悪化させてしまい、症状が慢性化するという悪循環に陥りやすいです。症状が出たら、早めに皮膚科を受診し、かゆみや炎症を抑えることが大切です。

 予防は、できるだけ花粉が肌に付着しないように心がけることです。新聞などの花粉飛散情報を常に注意し、特に風の強い日は外出を控え花粉を避けるようにしましょう。やむを得ず外出する際には必ず帽子や眼鏡、マスクを使って可能な限り花粉から身を守ること。普段コンタクトレンズを使っている人もこの時期は眼鏡の方がいいでしょう。また、外出先から帰ったら、まずは顔を洗って付着した花粉を水で流す習慣をつけてください。洗顔料を使わずに、水でやさしく洗い流すだけでも予防効果があります。

2020年10月28日水曜日

マスクによる肌トラブル(ニキビ)の原因と対策

 ゲスト/宮の森スキンケア診療室 上林 淑人 院長

マスクによる肌トラブルを訴える患者が急増していると聞きますが。

 マスクを長時間着用する機会が増える中、「マスクのところにニキビができて困っている」という相談が特に増えています。

 マスクの長時間着用は少なからず肌に負担をかけます。不織布は意外と硬いので、肌に摩擦を起こしやすく、その刺激は肌のバリア機能を低下させ、肌の乾燥やニキビ、湿疹の原因になります。また、マスクの内側は呼気によって湿度が高くなります。マスクの中が蒸れると、雑菌が繁殖しやすく、口まわりのニキビの発症・悪化の原因になります。さらに、口元が蒸れた状態でマスクを外すと、急激に肌の水分が蒸発し、一気に肌の乾燥が進みます。乾燥してカサカサした肌は、目に見えない細かな傷がたくさん付いた肌ともいえます。これらの傷からいろいろな刺激物が入り込んでかゆみを起こし、ニキビをはじめさまざまな肌トラブルの原因となります。

 今後も外出時には常にマスク着用が求められる状況が続くと予想されます。加えて、大気が乾燥するこれからの季節は肌の乾燥も進みがちです。適切にケアをしながら、しっかり感染対策を行っていきましょう。

ニキビの治療と対策について教えてください。

 ニキビには「こうすれば必ず良くなる」という治療法はなく、その人に合った方法を見つけ、それを継続することが大切です。外用剤の選択、抗生物質やビタミン剤の内服など、原因や症状によって治療に違いが出ます。またニキビが出やすい体質を改善する目的で、漢方薬が効果的なことが多くあります。

 また、普段のスキンケアと正しい洗顔方法がニキビの予防と改善に重要です。マスクで口元に汗をかいた時はこまめに拭き取る習慣を付け、洗顔やクレンジング時にはできるだけ刺激を避けるなど、いつも以上にやさしいスキンケアを心掛けてください。洗顔のコツは「洗いすぎない」と「擦らない」。頻繁に洗うとバリアーを担う皮脂が取れ、それを補おうと皮脂が過剰に分泌されます。こすり洗いは、細胞と細胞の間にある潤い成分を流失させてしまいます。洗顔後は化粧水で水分を補い、乳液やクリームでしっかりと保湿ケアを行って、肌のバリア機能を守ってください。マスクを付ける前に保湿剤を使うのも有効です。

 コロナ禍のさまざま不安や長い自粛生活の疲れが肌に出てしまう人も多いです。バランスの取れた食事や十分な睡眠でストレスを減らすことも大事です。

2020年6月10日水曜日

新型コロナウイルス対策による肌トラブル

ゲスト/宮の森スキンケア診療室 上林 淑人 院長

マスクの長時間着用による肌トラブルについて教えてください。
 新型コロナウイルスの感染拡大で、マスクを着用する機会が増える中、マスクが擦れて口元にかゆみや痛みを生じたり、マスクの内側が蒸れてニキビが悪化したりするなどの症状を訴える人が増えています。
 マスクの長時間着用は少なからず肌に負担をかけます。不織布は意外と硬いので、肌に摩擦を起こしやすく、その刺激は肌のバリア機能を低下させ、肌の乾燥や湿疹、皮膚炎の原因になります。また、マスクの内側は呼気によって湿度が高くなります。マスクの中が蒸れると、雑菌が繁殖しやすく、口まわりのニキビの発症・悪化の原因になります。
 対策としては、自宅など安心できる場所・場面では意識してマスクを外す時間を作りましょう。また、できるだけ摩擦を起こさないよう自分に合うサイズのマスク、肌あたりのやわらかいマスクを選ぶことが大切です。マスクの内側にガーゼなどのやわらかい布を挟むのも一手です。
 口まわりに汗をかいた時はこまめに拭き取る習慣を付け、洗顔やクレンジング時にはできるだけ刺激を避けるなど、いつも以上にやさしいスキンケアを心掛けましょう。清潔な肌を保ちながら、化粧水で水分を補い、乳液やクリームでしっかりと保湿ケアを行って、肌のバリア機能を守ってください。

―頻繁な手洗い、消毒液による肌トラブルについて教えてください。
 こまめな手洗いや消毒液の使用が励行される中、手のひらや手の甲、指のかさつきやひび割れ、かゆみ、赤み、痛みといった手荒れに悩まされる患者さんも増えています。頻繁な手洗いで、手指の皮膚のバリア機能を担う皮脂が流れ落ち、水分が保ちにくくなることに加え、消毒液の殺菌成分が刺激となって症状を悪化させているケースが多いです。
 高温のお湯は皮脂を取る力が強いので、ぬるま湯や水での手洗いをお勧めします。また、ぬれたままにしておくと皮膚がかえって荒れやすくなるので、ぬれた手はハンカチやハンドタオルできちんと拭くことも大切です。肌の弱い人は、低刺激性の石けんや消毒液を選んだ方がいいでしょう。手荒れがあまりにもひどい時は、十分な水洗いだけでも構いません。手洗い、消毒のあとは、水分をよく拭き取ってからハンドクリームを塗ってください。流れ落ちた皮脂の代わりにバリアの役割を果たしてくれます。
 セルフケアを実践しても、口元や手指の症状が治らない時は、症状がさらに悪化する前に専門医を受診してください。

2019年11月27日水曜日

秋から冬の乾燥肌ケア

ゲスト宮の森スキンケア診療室 上林 淑人 院長

乾燥肌について教えてください。
 秋から冬にかけて寒い季節に、多くの人が悩まされる肌のトラブルといえば乾燥肌です。皮膚が乾燥して、カサカサした状態になり、ひどくなると白く粉をふいたり、ひび割れてうろこのようになったりします。ある程度乾燥すると、それだけでかゆみを伴い、掻(か)くと悪化して皮膚炎を起こす場合もあります(皮脂欠乏性湿疹)。
 皮膚表面を覆う脂分など、皮膚の潤いを保つ成分が、加齢などにより減ったり、不足したりすること、また、ストレスや疲労、ビタミン不足などによる肌荒れの進行が乾燥肌の原因です。外気や室内の乾燥、皮膚を強く洗いすぎるといった生活習慣なども外的な要因として挙げられます。
 乾燥してカサカサした皮膚は、目に見えない細かな傷がたくさん付いた皮膚ともいえます。これらの傷からいろいろな刺激物が入り込んでかゆみを起こし、さらなる皮膚トラブルの原因となります。放っておくとますます症状は悪化しますので、早い時期から治療することが大切です。

乾燥肌の治療と対策について教えてください。
 治療は、傷ついた皮膚の表面に潤いを与える保湿剤が中心となります。皮膚のダメージに応じて、かゆみや炎症を抑える薬を処方することもあります。ただの乾燥肌と思っていたら別の皮膚の病気が隠れていたというケースもあるので、自己判断に頼らず、専門医と相談の上で治療することをお勧めします。
 乾燥肌対策の最重要ポイントは、保湿クリームなどを小まめに塗り、皮膚の潤いを保つことです。1日1回塗るより、1日2回朝と夜(可能なら入浴後)に塗った方が保湿効果は高いという研究結果が出ています。「保湿剤を塗る量はどのくらい?」という質問をよく受けますが、1FTU(ワン・フィンガー・チップ・ユニット)という単位を目安にしてもらっています。これは人差し指の先端から第一関節までチューブから絞り出した量が薬0.5gで、両方の手のひらに塗る量に相当するという塗り方です。ローションの場合は手のひらの上に1円玉大が1FTUの目安です。塗る量が少し多いと感じるかもしれませんが、十分な量をしっかり塗ることで、期待する効果が得られやすくなります。感覚的には「保湿剤の油分で皮膚の表面が光る程度」「ティッシュペーパー1枚が皮膚に貼りつく程度」と覚えておくといいでしょう。

2019年6月19日水曜日

口唇ヘルペス

ゲスト/宮の森スキンケア診療室 上林 淑人 院長

口唇ヘルペスについて教えてください。
 かぜをひいたり、疲れたりして免疫力が低下した時、くちびるやその周囲にピリピリとした痛みやかゆみを伴う、小さな水ぶくれができる病気です。水ぶくれは1〜2週間ほどで乾き始めて、かさぶたとなり治癒します。必ずくちびるにできるわけではなく、頬や鼻の下、目の周り、耳などにできることもあります。
 口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスが原因で起こります。単純ヘルペスウイルスは、一度感染すると症状がなくなった後も体内に残り神経細胞にすみつく特徴を持っています。これを潜伏感染といいます。多くは子どものころに感染しますが、気付かない場合もあります。症状が出ていなくても単純ヘルペスウイルスが潜伏している人は多く、大人で50%以上とされ、年齢が高くなるにつれ、その感染率は高くなります。大人が初めて感染すると、発熱する場合もあり、症状が少し重くなる傾向があります。
 普段は活発に活動せず、神経節にじっと潜伏し、症状を表すことのない単純ヘルペスウイルスですが、疲労やストレス、体調不良、かぜ、紫外線などの影響で体の免疫力や抵抗力が落ちると、ウイルスが再活性化します。増殖したウイルスは神経細胞を通って、主にくちびるやその周辺に移動し、発症します。

治療について教えてください。
 現在のところ、体から単純ヘルペスウイルスを駆逐するのは難しいとされ、症状がひどくならないうちにウイルスの活動を抑え、早く治すのが治療の目的となります。
 治療は抗ウイルス薬の内服が中心です。患部の乾燥や細菌感染を防ぐために外用薬を併用することもあります。体調や健康状態などにより、症状の程度は異なりますが、早期に対処すると治りが早く、悪化を防ぐことができます。くちびるに、ピリピリ、チクチクとした違和感や痛みを感じたり、水泡に気づいたり、ヘルペスを疑う症状がある場合はできるだけ早く対処しましょう。
 くちびる以外に出る単純ヘルペスは、ほかの皮膚疾患と間違えられやすく、また初期の帯状疱疹と見分けにくいケースがあるので注意が必要です。
 単純ヘルペスウイルスは、体内に潜み、何度も再活性を繰り返すことのある厄介なウイルスです。疲れ・ストレスをためる、紫外線を長時間浴びるなど、免疫力・抵抗力を弱めるような状況をできるだけ避け、症状が出たら速やかに医療機関を受診し治療を始めるのが大切です。

2018年6月6日水曜日

マダニ感染症

ゲスト/宮の森スキンケア診療室 上林 淑人 院長

マダニ感染症について教えてください。
 登山やキャンプなど外での楽しみが増える時期、特に気を付けたいのは、マダニにかまれることで発症する感染症です。
 一般に見られるマダニは、アレルギーの原因になる小さくて目に見えないイエダニとは別の生物で、体長は3~4ミリで硬い外皮に覆われています。野山や沢に沿った斜面、牧草地などに生息していますが、山に入らなくても道路脇や草やぶなどにいることもあり、道内であればどこにいてもおかしくありません。
 マダニは、ウイルスや細菌を媒介する危険があり、道内では昨夏、マダニにかまれた男性が「ダニ媒介性脳炎」を発症し死亡しました。厚労省などによると、マダニにかまれてダニ媒介性脳炎に感染する患者は世界で年間6千人に及び、発症した場合の致死率は1〜20%にも上ります。人の潜伏期間は1、2週間ほどで、ウイルスの型によっては頭痛、嘔吐(おうと)がみられ、重症の場合は死に至ります。有効な治療法はまだ見つかっていません。
 ほかにも、マダニを媒介した感染症には皮膚が赤くなり、発熱や関節痛などインフルエンザと似た症状が出る「ライム病」、発熱を繰り返し髄膜炎などを引き起こす「回帰熱」などがあります。

対処法と予防法について教えてください。
 かまれないための対策が重要ですが、もしかまれた場合には、自分でマダニを皮膚から引きはがさないことです。マダニの口器は、釣り針のように皮膚内部に強く食い込みます。無理やり取ると口や頭部が残ってしまうことが多いので、医療機関での処置が推奨されます。その後も数週間は体調の変化に注意し、発熱などの症状が出たらすぐに診察を受けてください。
 森林などに入る時には、長袖、長ズボンを着用し、なるべく肌を露出しないこと。首にはタオルを巻き、シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は長靴の中に入れるなど、首回りやシャツ、ズボンの裾に隙間を作らないようにします。また、マダニが付いてもすぐ分かる薄い色の衣服を選んでください。虫よけ剤の利用も有効な対策の一つです。帰宅後、上着や作業着を家の中に持ち込まないようにし、下着を含めてすべて着替えます。さらに入浴時に、マダニが付いていないかよく確認しましょう。
 ダニ媒介性脳炎ワクチンの接種が可能です。保健所等に問い合わせてください。

2017年12月27日水曜日

手湿疹


ゲスト/宮の森スキンケア診療室 上林 淑人 院長

手湿疹とはどのような病気ですか
 日常生活の中で、私達は特に意識はしていなくても常に手を使っています。手を使うことで、さまざまな刺激を手に受けることになります。それによって手に起こる湿疹が「手湿疹」です。もっとも身近な皮膚疾患の一つといえます。
 手湿疹の症状は、指先や指腹、手のひらの乾燥、亀裂といった荒れ肌となるタイプ(進行性指掌角皮症)の頻度がもっとも高く、その他、かゆみの伴う小さい水泡が多発し、かさつきや皮がむけてくるタイプ(異汗性湿疹)、手や指の背側がかゆみを伴い湿ってジクジクするタイプ(貨幣状湿疹)などがあります。以上のタイプが混在する場合もあります。
 手湿疹の原因は多種多様ですが、原因の約7割を占めるのが物理的・化学的な刺激です。最も代表的なのは水仕事で、庭仕事や陶芸なども原因となります。見落とされがちですが、日常生活で使うパソコンのキーボードやゲーム機のコントローラー、スマホや楽器などの使用による刺激が原因となることも多いです。アトピー性皮膚炎をお持ちの方は、刺激に敏感で手湿疹を起こしやすく、また増悪しやすい傾向がありますので注意が必要です。また、化学物質などのアレルゲンに対するアレルギー反応が原因となる場合もあります。例えば、ゴムやビニール手袋、アクセサリーやスマホの金属部分、職業と関連するもので、パーマ液やヘアカラー(ヘアダイ)、食品に含まれるタンパク質などが手に触れた際に起こるアレルギー反応が原因となります。

治療と予防について教えてください。
 治療はステロイド外用薬の使用が基本になります。ステロイド外用薬には多種あり、薬効の強弱がありますので、症状の強さ、部位などを考え、使い分けます。また補助的な治療として、手の乾燥に対するヘパリン類似物質含有や尿素含有の保湿剤の併用、亀裂やジクジクに対する亜鉛化軟膏などの併用が効果的です。かゆみが強い場合は、抗アレルギー剤の内服なども併用されます。症状が長引く時は、原因を把握し取り除くことが大切です。
 空気の乾燥が進む冬は、かさつきやひび割れなど手荒れに悩まされる季節です。ゴム手袋の着用などで水や洗剤に触れる時間をなるべく短くして、水仕事や手洗いの後にハンドクリームなどでこまめに保湿することが一番の予防法です。

2017年6月21日水曜日

帯状疱疹


ゲスト/宮の森スキンケア診療室 上林 淑人 院長

帯状疱疹とはどのような病気ですか。
 現在では定期予防接種の一つとなっていますが、水ぼうそうに子供の頃かかったことがある人は多いと思います。水ぼうそうが治っても、その原因ウイルスは体内から消えることはなく体の神経節に残って潜伏しています。疲れやストレスなどで免疫力が低下すると、その潜伏していたウイルスが再び活動を開始し、痛みや発赤、水ぶくれを伴った皮疹が出現します。これが「帯状疱疹」です。主に帯状に皮疹が出ることが多いので「帯状疱疹」と言われていますが、顔や頭に出現した場合など、一概に帯状とは言えないことも多く判断が難しく注意が必要です。日常よく見られる皮膚疾患の一つですが、老若男女だれでもかかる可能性があります。また加齢により免疫力が低下するため、高齢化社会の進行に伴い患者数は増加傾向にあります。
 通常は前駆症状として、体の左右どちらか一方に局所的にチクチク、ピリピリとした痛みや違和感が出現し、その後しばらくしてその部位に、赤くむくんだ水ぶくれを伴う皮疹が現れてきます。このような皮疹は体の神経の走行に沿って現れます。顔や頭に出現すると、眼球の角膜炎やめまい、顔面神経の麻痺を起こすこともあり注意が必要です。
 皮疹や痛みなどの症状の程度が強く、神経への障害が大きかった場合、皮膚症状が治まった後も後遺症として痛みが残ってしまうことがあります。これを「帯状疱疹後神経痛」といいます。60歳以上の高齢者に起こりやすい傾向があります。また帯状疱疹の治療が速やかに行われなかった場合に生じやすいとされています。

治療について教えてください。
 治療は、帯状疱疹の原因であるヘルペスウイルスの増殖を抑える薬(抗ウイルス薬)を使用します。内服薬の使用が一般的です。通常1週間内服します。飲み始めて2~3日で効果が現れてきます。痛みや皮疹などの皮膚症状は、治療開始後1~2週間をピークに徐々に快方に向かいます。高齢者は治るのに時間がかかる傾向があります。
 皮疹部の保護や細菌などによる二次感染を防ぐために塗り薬を、痛みと炎症を抑えるために消炎鎮痛薬を併用することが多いです。また、痛みが激しいなど症状が重篤の場合、入院治療が必要になることもあります。
 帯状疱疹後神経痛を防ぐためにも、発症後できるだけ早期の治療が望まれます。帯状疱疹を疑ったら早めに医療機関を受診することが大切です。

2016年12月7日水曜日

頭皮の湿疹と円形脱毛症


ゲスト/宮の森スキンケア診療室 上林 淑人 院長

頭皮の湿疹について教えてください。
頭皮の湿疹の原因は、大きく「皮脂」「アトピー」「その他」に分けられます。
 頻度が高いのは、頭や顔など皮脂の分泌が多い部位に発生する脂漏性湿疹です。頭皮の毛穴から分泌される皮脂が、頭皮に刺激を与える成分へと変化し、炎症を引き起こします。症状は皮膚が赤くなり、フケが多くなったり、かゆみを伴ったりします。体質も関係しますが、日常のケアにより症状を抑えることは可能です。まず、洗髪で頭皮を清潔に保ち、皮脂を十分に落とすこと。その際、指の腹でやさしく洗い、頭皮を傷つけないよう注意しましょう。また、偏食や野菜不足、睡眠不足、ストレスが症状悪化の原因となるので、生活習慣を整えることも重要です。治療は、炎症を抑える外用剤、ビタミンB群やかゆみを抑える内服薬が有効です。
 アトピー性皮膚炎の方には、頭皮の湿疹に悩む方がたくさんいます。治療には炎症を抑える外用剤や、かゆみを抑える抗アレルギー剤の内服が必要です。
 また、生活環境・習慣の中にある症状を悪化させるさまざまな因子を取り除くことも必要になってきます。また、アレルギー体質の人は、シャンプーやリンス、毛染め剤による湿疹に悩まされることも多いです。原因を絞り込み、それらを使わないようにするなど、頭皮にとって刺激とならないような日常的なケアが必要です。
 その他の頭皮のトラブルには、頭皮のニキビや、盛り上がったカサカサの紅斑ができる尋常性乾癬(かんせん)などもあります。症状や原因によって治療・対処法は異なるので、専門医へ相談することが大切です。

円形脱毛症について教えてください。
 頭髪がまとまって円形状に抜け落ちるのが円形脱毛症です。1カ所のみの場合から数カ所、あるいは頭皮全体に及ぶ場合、眉毛やまつ毛まで抜ける場合など程度はさまざまです。自分の体をウィルスや細菌などの外敵から守ってくれる免疫組織が、自己の毛根を攻撃する免疫異常が起こっているのが原因と考えられています。ストレスがきっかけになるといわれますが、詳しい仕組みは分かっていません。
 治療には、免疫や炎症を抑える外用剤や内服薬、また時に漢方薬を処方しますが、すぐに反応して毛が生えてくるとは限りません。治療期間が長くなるケースも多く、根気のいる治療が必要となります。

2016年6月1日水曜日

虫刺され


ゲスト/宮の森スキンケア診療室 上林 淑人 院長

虫刺されについて教えてください
 ハイキングやキャンプなど屋外で活動する機会の多くなる季節です。自然に足を踏み入れる際、気を付けなければならないのは虫刺されです。刺されるとかゆみや痛みに悩まされるだけでなく、ときには命に関わる感染症にかかることもあります。
 蚊やブユは代表的な吸血性昆虫ですが、ヌカカをご存知の方は意外と少ないのではないでしょうか。ヌカカは、体長1〜2ミリと非常に小さい吸血性昆虫です。小さいゆえに無警戒になりがちですが、一度に複数の箇所を刺され、後になって小さな腫れがあちこちにできていることに気付くケースが多いです。かゆみが強く、特にアレルギー体質の人は、赤く腫れて熱を持ち、腕や脚がむくむこともあります。
 春から夏はマダニの活動も活発になる時期です。マダニが怖いのは、いくつかの感染症を媒介することです。日本紅斑熱、ライム病のほか、致死率が高いのは重症熱性血小板減少症候群です。西日本中心に死亡例が報告されています。しかしながら北海道でも原因となるウイルスを持ったマダニが確認されており注意が必要です。予防ワクチンも治療薬もないので、まずはかまれないように気を付けましょう。
 5〜6月はチャドクガの幼虫にも注意が必要です。刺されると赤いブツブツができて、かゆみも強いです。毛虫そのものに接触しなくても、風に乗って飛んできた微細な毒針毛に触れただけでも発症します。このため、毛虫が原因と気付かないことも多いです。

虫刺されの予防策とケア、治療について教えてください。
 まず服装に気を付けてください。長袖を着る、ズボンの裾を靴下で覆うなど、できるだけ肌を露出しない工夫をすることです。市販の虫よけスプレーなども有効です。
 もしマダニにかまれてしまった場合は、無理に取らないこと。はがそうとすると、体の一部がちぎれて残ったりするので、形成外科、皮膚科での処置が必要です。
 どの虫であれ、刺されてもかかないことが大切です。かきむしると傷口から細菌に感染したり、炎症が長引いて色素沈着を起こしたりします。また、放置すると皮膚が硬い状態になり、強いかゆみが出る結節性痒疹(ようしん)につながる例もありますので、たかが虫刺されと侮らず、早めに皮膚科を受診しましょう。

2015年12月24日木曜日

やけどの応急処置


ゲスト/宮の森スキンケア診療室 上林 淑人 院長

やけどについて教えてください。
 寒い季節はやけどが増える時季でもあります。熱い飲み物や鍋が食卓をにぎわせることも多いでしょう。子どもに多いのは、テーブルクロスの裾を引っ張って熱いものをひっくり返したやけどや、炊飯器・加湿器の水蒸気によるものです。主婦は「熱くなったフライパンに触れた」「アイロンがもう冷めたと思い触れた」など、多くが家事作業中の事例です。また冬は、湯たんぽや使い捨てカイロによる低温やけども増えます。日常生活における身近な状況で、誰もがやけどを負う危険性があるといえます。
 やけどの症状は赤くなる、腫れる、水膨れになる、痛みなどです。やけどの重症度は、主に熱により損傷された深さとその面積によって判定されます。重症例では赤く盛り上がった瘢痕やケロイドが生じ、また拘縮(瘢痕が硬くなりひきつれること)を残し、手術による治療を要するケースもあります。軽いやけどではほとんど瘢痕を残しませんが、色素沈着や、皮膚が白くなる色素脱出を残すことがあります。

やけどの応急処置について教えてください。
 やけどは、直後の処置が最も重要です。水道の流水で直接冷やすのが最適です。水道が使えない場合は冷却枕や保冷剤などで冷やしましょう。ただこれらを長時間、直接患部に当てると、冷えすぎて凍傷を起こすことがあるので注意が必要です。また、熱冷まし用の冷却シートは、かぶれたり水膨れを破いたりすることがあるのでお勧めできません。
 皮膚が少し赤くなった程度であれば、水で冷やすなど家庭で対処可能ですが、水膨れができるほどのやけどの場合、形成外科や皮膚科などで適切な処置を受けることが大切です。軽いやけどでも、処置を誤ったり細菌感染症を合併したりすると、より深いやけどに移行する可能性があるからです。
 市販の薬にも注意してください。やけどを負ってからの時間や深さなどで、薬は異なるからです。どんなやけどにも効く万能の薬というものはありません。やけどの状態に合わない市販の軟こうをつけて、かえって傷の治りを妨げている例も少なくないです。
 低温やけどは、程度が軽そうに見えても思ったより損傷が深く、ひどい場合は皮膚が壊死を起こしているケースもあり、治るまでに相当の期間を要する場合もあります。楽観することなく病院での治療をお勧めします。

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