<水虫について教えてください>
気温が上がり、じめじめしてくると増える水虫。水虫は、白癬(はくせん)菌というカビの一種である真菌によって皮膚に起こる感染症のうち、足の皮膚や爪にできるものを指します。症状は、足の指の間がふやけて皮がむけたり、足の裏にかゆみを伴う小さな水膨れができたりするほか、足の裏全体が硬くなって、深いしわができたりひび割れたり、また、爪に感染すると爪が白濁して分厚くなったりすることもあります。
患部を激しくかいたり、指の間の皮膚に亀裂やびらんができたりすると、そこから細菌が入り込み、足が発赤し腫れあがる蜂窩織炎(ほうかしきえん)など日常生活に支障を来す細菌感染症を引き起こすケースもあるので、決して侮れません。最近は水虫からの劇症型溶連菌感染も注目されています。気を付けたいのは、これらの症状があるからと言って水虫とは限らないことです。水虫と似た症状は、「異汗性湿疹(いかんせいしっしん)」や「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」など別の皮膚病でも見られます。足がかゆいから水虫に違いないと自己判断し、市販の水虫薬を用いると、効果がないばかりか、逆に悪化を招くこともあります。皮膚科では、足のむけた皮膚や爪の一部を顕微鏡で検査し、水虫かどうかを診断します。見た目だけでは病名を特定できませんので、くれぐれも自己判断はせず、皮膚科を受診することをお勧めします。
<予防と治療について教えてください>
水虫は、バスマットなどを介して感染が広がることが多いです。家庭内でうつることが多い一方、温泉など入浴施設やプールなどが感染のきっかけになるケースも多いです。感染防止には足をよく洗い、よく拭いて、清潔と乾燥を保つことが基本です。
家庭内ではそれぞれが専用のマットを使うのが理想的です。また、温泉など入浴施設で不特定多数の人が使うバスマットを踏んだら、タオルなどで足を拭いて十分乾かすことが大切です。帰宅後は改めて足を洗うとより効果的です。水虫の治療には、主に抗真菌薬の塗り薬を使います。水虫は治らない・治りにくいと思われていますが、症状が改善した時にもう治ったと自己判断で治療を途中でやめてしまうのが原因と思われます。見た目がきれいになったら終わりではなく、きれいになってからもしばらくは駄目押しで塗るのが再発防止のポイントです。根気が必要ですが、しっかり治療をすれば治せる病気です。
宮の森スキンケア診療室
上林 淑人 院長