2008年12月24日水曜日

「しわの治療方法」について

ゲスト/緑の森皮フ科クリニック  森 尚隆 医師

しわについて教えてください。

 寒い季節になると、外気の湿度低下や新陳代謝能力の低下などにより、肌が乾燥しやすくなります。特に目元・口元は皮脂の分泌量が少ないため、かさつきやすく、しわの心配をされる方も多いのではないでしょうか。
 しわ予防の対策の基本は、第一に水分補給です。乾燥から肌を守るということがとても大切なので、化粧水や美容液などを使って十分に保湿して下さい。部屋の暖房は控えめに、加湿することを心がけてください。
 肌の新陳代謝は睡眠中やリラックスした状態で活発になるので、ストレスをためず、睡眠を十分に取り、食事はバランスよく、特にビタミンCを取るように心掛けて下さい。この季節のビタミンC摂取は、風邪予防とともに、しわの防止にもつながります。

できてしまったしわの治療法はありますか。

 顔全体のしわやたるみが気になるのであれば、赤外線領域の波長の光を照射し、コラーゲンの生成を促し、皮膚を引き締める「ソレラタイタン」という治療法があります。同じ光治療で、しみや赤ら顔の改善に効果が高い「フォトセラピー」も、肌の再生力を高めるのに有効です。最近注目されている治療法として、肌のリセットを目的とした「マイクロニードルセラピー」があります。極細針で皮膚に無数の穴を開け、薬剤を皮膚に直接吸収させることでコラーゲンが増え、肌を入れ替えるというものです。
 部分的なしわの治療法としては、自分自身の血液を精製し血小板や白血球を濃縮して、気になる部分に注入する「白血球含有多血小板血漿(けっしょう)」注入療法があります。この血小板の中には、グロスファクターと呼ばれる多機能な成長因子が含まれており、組織の修復、コラーゲン産生、ヒアルロン酸産生、血管内皮細胞の増殖や新生などを促進して、肌の細胞を再生します。
 できてしまったしわや凹みに対しては、直接ヒアルロン酸やコラーゲンなどを注入する補充療法が行われています。このように、さまざまな方法がありますので、しわの悩みは専門医やかかりつけの美容皮膚科医へ相談されることをお勧めいたします。

2008年12月17日水曜日

「目立たない矯正器具」について

ゲスト/宇治矯正歯科クリニック 宇治 正光 歯科医師

矯正器具が見えてしまうのが嫌という人も多いと思います。

 最近は、以前よりも歯並びを気にされる方が多くなりました。大人になってからでも「歯並びを美しくしたい」と受診する人が増えています。大人の場合は特に矯正装置が見えてしまうのがネックになって、治療に二の足を踏んでしまう場合も多くあります。また、思春期のお子さんが、見た目で嫌がる場合もあります。
しかし、でこぼこした歯並びや、上顎(あご)・下顎が出ているのを放っておいて、ずっとコンプレックスに感じるよりも、笑顔が美しい歯並びに治すほうが、自身の健康やQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を考えたとき、はるかに有意義です。きちんとした咬(か)み合わせになりたいという前向きな姿勢から矯正器具をつけていることに、「よく決断したな、偉いな」と思うことはあっても、否定的にとらえる人はまずいないのではないかと私は思います。
 とはいえ、仕事で接客する人など立場によって、人知れず矯正したいという気持ちは理解できます。

目立たない矯正器具はありますか。

歯の裏側、つまり舌側に矯正装置を入れる舌側矯正は、表から装置が目につきません。しかし、内側にあることから、これまでの装置は違和感が強かったり、会話や歯磨き、食事がしづらいという問題がありました。
これらの問題点を改善した舌側矯正装置が最近開発されました。

最新の舌側矯正装置の特徴を教えてください。

 最新の舌側矯正装置は、従来のものと比較して、非常に薄く、そして小さくなっています。それによって、話しづらい、食事がしにくい、舌が痛いといった、舌側矯正の不都合、不快な点が改善されました。営業、接客など人と会う仕事、話す機会が多い職業の人や、舌の違和感に対する不安などが理由で、今まで舌側矯正へ踏み切れなかった人にも、治療を受ける方が出てきました。
矯正治療に年齢は関係ありません。自身の歯並びに気になることがあったら、ぜひ一度矯正専門の歯科医に相談してください。

2008年12月10日水曜日

「リウマチと治療薬」についてお話を伺いました。

ゲスト/青空たけうち内科クリニック 竹内 薫 医師

関節リウマチについて教えてください。

 関節リウマチは、関節に起こる炎症がもたらす痛みやはれ、変形を特徴とする病気です。目覚めたときの関節のこわばった感触、ぎこちなさの自覚などが、リウマチに特徴的な症状です。微熱やだるさ、貧血、食欲不振など全身症状を伴うこともあります。放っておくと、関節の骨や軟骨が破壊され、関節が変形してしまいます。
 全国では100万人以上、人口の約0.8%ともいわれる関節リウマチの患者数。その数は人口全体の高齢化に伴い、増加する傾向にあります。男女の割合は1対4で女性に多く、発症年齢は30~50歳代、特に40歳代が最も多いことが分かっています。関節リウマチの原因は、今のところはっきりしていませんが、ウイルスや細菌を排除する免疫システムの異常と考えられています。関節リウマチは自己免疫疾患の一つです。

治療について教えてください。

 以前はリウマチにこれといった治療薬がなく、痛みが続き関節が変形していくのを止めることは、なかなかできませんでした。しかし、近年、生物学的製剤の登場により、関節リウマチの治療は飛躍的に進歩し、治療の選択肢も広がり、かつては「寝たきり」というイメージがあったリウマチに「治る病気」というゴールも見えてきました。生物学的製剤は最新のバイオテクノロジー技術を用いて開発された新薬で、関節リウマチの炎症や、骨、軟骨などの関節破壊を引き起こす原因となる「TNF」「IL-6」というサイトカイン物質を抑えることにより、その効果を発揮します。生物学的製剤のインフリキシマブ、エタネルセプト、トシリズマブは保険が適用になります。
 以前は、10年以上かけて骨が徐々に壊れると考えられていましたが、最近の研究で、初めの2年間で骨の破壊が著しく進行することが分かりました。結果として10~20年後の関節破壊があります。初期の段階での治療がその後のQOL(生活の質)を決めることにもなります。ですからリウマチは発症早期がとても重要で、早期診断、早期治療に大きな意味があります。
 リウマチの早期診断は、糖尿病や高血圧のように検査数値では診断がつかないことが多いので、関節痛やこわばりなどで困っている人は、一度リウマチ専門医に相談することをお勧めします。

2008年12月3日水曜日

「ドライアイ」について

さかた眼科ファミリークリニック 坂田 信義 医師

ドライアイについて教えてください

 通常、目の表面は涙で覆われています。涙は主涙腺で作られ、まばたきにより目の表面を潤した後、目の内側にある小さな涙点を通って鼻腔(びくう)へ流れます。涙は油、水、ムチンの三層からなっており、最も外側の油層は涙の蒸発を防ぎ、一番内側のムチン層は涙が流れ落ちないように、目の表面に粘着するのりの役割を果たしています。涙には、目の乾燥を防ぐだけではなく、角膜に酸素や栄養を届け、角膜表面を滑らかな状態に保ち、細菌の侵入や感染を防ぎ、ゴミやほこりを洗い流すなど、多彩な働きがあります。
 しかし、涙の量が減ると、角膜や結膜など目の表面に障害が起こり、不快感や視機能異常が見られるようになります。この状態がドライアイで、目が乾くだけではなく、目の痛み、疲れ目、ゴロゴロする、光がまぶしい、視界がかすむ、視力の低下、涙が止まらない・出ないなど、一見ドライアイと無関係と思われる症状も多く見られます。

ドライアイの原因と治療法を教えてください。

 通常はまばたきによって、目の表面は涙で潤されますが、長時間のパソコン使用や車の運転はまばたきの回数が減ります。また、エアコンや暖房の使用、飛行機での移動など、乾燥した室内に長時間いる場合は涙が蒸発しやすくなります。ほかにも、コンタクトレンズの装用、高齢者もドライアイになりやすい傾向があります。
 ドライアイには、点眼薬による治療と、涙点閉鎖による治療があります。点眼薬には、涙に近い成分を持つ人工涙液と、ヒアルロン酸を含む角結膜上皮障害治療薬の2種類があり、ヒアルロン酸は水分を目の表面に長く保つことで、角膜の傷の修復が期待できます。点眼薬で効果が得られない場合は、涙の流出口である涙点を閉鎖することで、涙を目の表面に十分にためる治療を行います。
 冬は室内が乾燥し、ドライアイになりやすい状況です。一過性のものなのか、治療が必要な状態かは、専門的な診察によって判断します。気になる人は、ぜひ一度眼科に相談してください。

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