さかた眼科ファミリークリニック 坂田 信義 医師
ドライアイについて教えてください。
通常、目の表面は涙で覆われています。涙は主涙腺で作られ、まばたきにより目の表面を潤した後、目の内側にある小さな涙点を通って鼻腔(びくう)へ流れます。涙は油、水、ムチンの三層からなっており、最も外側の油層は涙の蒸発を防ぎ、一番内側のムチン層は涙が流れ落ちないように、目の表面に粘着するのりの役割を果たしています。涙には、目の乾燥を防ぐだけではなく、角膜に酸素や栄養を届け、角膜表面を滑らかな状態に保ち、細菌の侵入や感染を防ぎ、ゴミやほこりを洗い流すなど、多彩な働きがあります。
しかし、涙の量が減ると、角膜や結膜など目の表面に障害が起こり、不快感や視機能異常が見られるようになります。この状態がドライアイで、目が乾くだけではなく、目の痛み、疲れ目、ゴロゴロする、光がまぶしい、視界がかすむ、視力の低下、涙が止まらない・出ないなど、一見ドライアイと無関係と思われる症状も多く見られます。
ドライアイの原因と治療法を教えてください。
通常はまばたきによって、目の表面は涙で潤されますが、長時間のパソコン使用や車の運転はまばたきの回数が減ります。また、エアコンや暖房の使用、飛行機での移動など、乾燥した室内に長時間いる場合は涙が蒸発しやすくなります。ほかにも、コンタクトレンズの装用、高齢者もドライアイになりやすい傾向があります。
ドライアイには、点眼薬による治療と、涙点閉鎖による治療があります。点眼薬には、涙に近い成分を持つ人工涙液と、ヒアルロン酸を含む角結膜上皮障害治療薬の2種類があり、ヒアルロン酸は水分を目の表面に長く保つことで、角膜の傷の修復が期待できます。点眼薬で効果が得られない場合は、涙の流出口である涙点を閉鎖することで、涙を目の表面に十分にためる治療を行います。
冬は室内が乾燥し、ドライアイになりやすい状況です。一過性のものなのか、治療が必要な状態かは、専門的な診察によって判断します。気になる人は、ぜひ一度眼科に相談してください。