[なぜ、矯正歯科治療が必要なのですか?]
歯並びやかみ合わせは、顔の印象を決める大きな要因の一つです。診療の現場でも、歯並びやかみ合わせが悪く「口を開けて笑うことができない」「人前で話したくない」など、見た目のコンプレックスから矯正治療を始める人が多いのが実状です。
[なぜ、矯正歯科治療が必要なのですか?]
歯並びやかみ合わせは、顔の印象を決める大きな要因の一つです。診療の現場でも、歯並びやかみ合わせが悪く「口を開けて笑うことができない」「人前で話したくない」など、見た目のコンプレックスから矯正治療を始める人が多いのが実状です。
ゲスト/E-line矯正歯科 上野 拓郎 院長
銀色の矯正装置が目立たないように治療する方法はあるのでしょうか。
近年、日本でも正しいかみ合わせや歯並びが機能面や健康面、審美面でいかに重要であるかということが一般的にも知られるようになってきました。
歯科矯正が広く受け入れられ始めた要因として、矯正器具の著しい進歩が挙げられます。かつては、歯の前面にギラッと光っていたメタルの矯正器具。確かに目立ちますので、特に成人の方には抵抗感があるものでした。しかし、現在では歯に近い白色のワイヤーや、透明なプラスチックやセラミックなどのブラケットによって、口元を目立たせないで治療することができます。また、歯の裏側(舌側)から治療する「見えない矯正治療」も普及しています。女性や接客業、営業職など、見た目の印象が気になる人にとっても、抵抗なく治療が始められるようになりました。スポーツをする人の口のけがの危険性や、部活動などで管楽器を演奏する人の吹きにくさが少ないことも、歯の裏側から治療するメリットです。
最新の矯正治療について教えてください。
矯正治療の進歩は目覚ましいです。まず裏側から治療するブラケットのサイズが従来の半分以下の大きさになり、装着時の違和感が軽減されました。小型化によって清掃性が良くなり衛生的で、話しにくさを訴える患者さんも少なくなりました。表側のブラケットでは、ワイヤーとの摩擦の少ないものが開発され、締め付け感が少なく、治療期間も短縮できるようになりました。
「アンカースクリュー」と呼ばれるねじを歯茎の骨の部分に入れ、歯を動かす時の固定源とする方法も登場しています。効率よく歯を動かすことができ、治療期間の短縮が期待できるほか、従来では手術が必要とされていた症例でも手術を回避できるケースが増えています。また、透明で着脱可能なマウスピース型の矯正装置を使う「アライナー矯正」も注目されています。着脱可能な手軽さと目立ちにくいのがメリットですが、ブラケットほど大きく歯を動かすことができないため、歯並びがひどい重症例には向きません。
万能な治療法はなく、どのような方法、装置を選択するかは、患者さん一人一人の歯の状態や年齢、環境などが関わってきます。矯正治療を専門とする歯科医とじっくり相談し、納得の上で治療を始めることが何よりも大切です。
ゲスト/E-line矯正歯科 上野 拓郎 院長
近年、子どもたちの噛む力が弱くなっているといわれています。「よく噛むこと」はなぜ大事なのですか。
噛まなければ飲み込めないような食べ物が多かった昔と違い、やわらかい食べ物があふれる現代。カレーライスやハンバーグ、麺類など、よく噛まなくてもすぐに咀嚼(そしゃく)でき、飲み込めるようなメニューが食生活の中心になり、子どもたちの噛む回数は減っています。
診療で長年子どもの歯をみてきた実感として、乳歯の時期から「よく噛んで食べる」習慣が身に付けられていないため、歯や歯を支える歯肉、歯槽骨、歯根膜などの成長が滞ったり、また、顎(あご)の骨や口周りの筋肉が十分に発達せず、歯並びに悪影響を及ぼしてしまうケースが増えています。口腔の健全な発育には、幼少期から噛む力を鍛えることが非常に重要なのです。
よく噛むことのメリットは驚くほど多いです。顎の骨や口周りの筋肉の正しい成長を促すことのほか、食べ物をよく噛むことで出るだ液は、消化を助けることはもちろん、口の中をきれいにする作用もあり、むし歯や歯周病、口臭の予防にもひと役買います。噛むことで脳の満腹中枢が刺激され、早食いや食べ過ぎを抑えて肥満予防にもつながります。ほかにも、近年さまざまな研究からよく噛むことで脳のいろいろな部分が刺激され、脳を活性化させることが分かってきています。
噛む力を鍛えるには、どうしたらいいですか。
まず、きちんと噛めるかみ合わせであることが重要です。常に上下の前歯が開いている開咬(かいこう)では前歯で噛み切ることができませんし、極端な上顎(がく)前突(出っ歯)や下顎前突(受け口)でもスムーズに噛めません。
日常生活の中では、食物繊維が豊富な歯ごたえのある食材を選ぶなど、かみごたえのある食べ物を意識してメニューを考えてください。食材を大きく切ったり、薄味にしたりするなど調理法を工夫することで、噛む回数を増やすことができます。また、食べ物が口の中に入っている時に水やお茶で流し込んでしまうと、噛む回数が極端に減ってしまうので注意が必要です。遊びながらやテレビを観ながらの「ながら食べ」は、噛まずに飲み込む要因にもなるのでお勧めできません。
楽しく食事できる雰囲気づくりも大切です。家族で、ゆっくり味わいながら食事をし、楽しみながらよく噛む習慣を身に付けさせてあげてください。
ゲスト/E-line矯正歯科 上野 拓郎 院長
開咬について教えてください。
開咬は、奥歯で噛(か)んでも前歯は噛んでおらず、常に前歯が開いた状態になることをいいます。前歯は外側からは唇(くちびる)の力、内側からは舌の力によって押され、力のバランスのとれたところに並びます。このバランスが崩れたとき、開咬になることがあります。幼少のころからの「指しゃぶり」や食べ物を飲み込むときに舌が出るなどの「舌癖」、蓄膿(ちくのう)症などの呼吸器系の慢性疾患による「口呼吸」などが、バランスを崩す要因となります。
開咬は口が閉じづらいため、無意識のうちに口元に力が入り、緊張して見えがちです。審美面だけでなく、きちんと発音できない、前歯で食べ物を噛み切ることができない、奥歯や舌を使って食べ物を噛み切る悪い癖がつきやすいなど、機能面での問題も大きいです。また、前歯が噛み合わないので奥歯に過剰な負担がかかり、破損や歯周病が進むなど奥歯の寿命に影響する場合もあります。
どのように治療しますか。
開咬は治療が難しい噛み合わせの一つです。その理由は、舌の悪癖が関与しているケースが多いからです。矯正治療で一度は前歯がしっかり噛んだとしても、悪癖が残っていると後戻りしやすいです。治療とともに悪癖を取り除く訓練をすることが重要です。
開咬の原因が悪癖にある場合、早い段階での治療が何よりも大切です。軽い開咬であれば、矯正装置を装着せずにMFT(口腔筋機能療法)という口元の筋肉トレーニングだけで矯正できるケースもあります。一方、大人になってからでは、顎の骨を切る外科的手術が必要になることもあり、治療に時間がかかり負担も増します。
歯科矯正技術は日々驚くほど進歩しています。近年、「歯科矯正用アンカースクリュー」と呼ばれるネジを歯茎の骨の部分に入れ、歯を動かす時の固定源とする方法が登場し、開咬の治療も大きく変わりました。効率よく歯を動かすことができ、治療期間の短縮が期待できるほか、従来では手術が必要とされていた症例でも手術を回避できるケースが増えています。
受診の目安は、前歯が4本永久歯に生え替わった時期です。乳歯から永久歯への移行を、より自然に、正しく美しい歯並びに誘導することが可能です。歯並びの検診を受けるつもりで、矯正歯科医を訪ねてみてください。
ゲスト/E-line矯正歯科 上野 拓郎 院長
開咬について教えてください。
開咬は、奥歯で噛(か)んでも前歯は噛んでおらず、常に前歯が開いた状態になることをいいます。前歯は外側からは唇(くちびる)の力、内側からは舌の力によって押され、力のバランスのとれたところに並びます。このバランスが崩れたとき、開咬になることがあります。幼少のころからの「指しゃぶり」や食べ物を飲み込むときに舌が出るなどの「舌癖」、蓄膿(ちくのう)症などの呼吸器系の慢性疾患による「口呼吸」などが、バランスを崩す要因となります。
開咬は口が閉じづらいため、無意識のうちに口元に力が入り、緊張して見えがちです。審美面だけでなく、きちんと発音できない、前歯で食べ物を噛み切ることができない、奥歯や舌を使って食べ物を噛み切る悪い癖がつきやすいなど、機能面での問題も大きいです。また、前歯が噛み合わないので奥歯に過剰な負担がかかり、破損や歯周病が進むなど奥歯の寿命に影響する場合もあります。
どのように治療しますか。
開咬は治療が難しい噛み合わせの一つです。その理由は、舌の悪癖が関与しているケースが多いからです。矯正治療で一度は前歯がしっかり噛んだとしても、悪癖が残っていると後戻りしやすいです。治療とともに悪癖を取り除く訓練をすることが重要です。
開咬の原因が悪癖にある場合、早い段階での治療が何よりも大切です。軽い開咬であれば、矯正装置を装着せずにMFT(口腔筋機能療法)という口元の筋肉トレーニングだけで矯正できるケースもあります。一方、大人になってからでは、顎の骨を切る外科的手術が必要になることもあり、治療に時間がかかり負担も増します。
歯科矯正技術は日々驚くほど進歩しています。近年、「歯科矯正用アンカースクリュー」と呼ばれるネジを歯茎の骨の部分に入れ、歯を動かす時の固定源とする方法が登場し、開咬の治療も大きく変わりました。効率よく歯を動かすことができ、治療期間の短縮が期待できるほか、従来では手術が必要とされていた症例でも手術を回避できるケースが増えています。
受診の目安は、前歯が4本永久歯に生え替わった時期です。乳歯から永久歯への移行を、より自然に、正しく美しい歯並びに誘導することが可能です。歯並びの検診を受けるつもりで、矯正歯科医を訪ねてみてください。
ゲスト/E-line矯正歯科 上野 拓郎 院長
子どもの矯正治療について教えてください。
「矯正はいつ始めればいいですか」と聞かれることがよくあります。矯正治療に年齢制限はありませんが、あごの骨が成長途中にある子どものうちに行うのがベストでしょう。成長する力を利用することで、正しくかめるように骨格を誘導し、スムーズに歯並びやかみ合わせを改善できるからです。将来の抜歯や手術を回避できる可能性も高くなります。また、この時期の矯正治療は使用できる装置の選択肢が豊富で、一人ひとりに合った治療法を選べるというメリットもあります。ただし、矯正治療を始めるのに適切な時期は、歯並びの現状、歯やあごの骨の発育状況などによって変わってきます。まずは矯正治療を専門とする歯科医に診てもらうことが第一歩です。
小学校の入学時(上下前歯が乳歯から永久歯に生え変わる時期)に一度受診し、歯並びやかみ合わせを点検することをお勧めします。この時期にかみ合わせを見ると、お子さんの将来の歯並びが予測できます。はっきりと外観から分かる症例だけでなく、一般の方の目にはほとんど分からない不正咬合の兆候もみることができます。治療が必要かどうか、治療を始めるのに最適な時期はいつ頃かなど、お子さんの歯並びの現状と将来の見通しの説明を受けるチャンスと考え、気軽に相談してみてください。
矯正治療は専門性が高く、また治療期間は長期にわたるので、理想の治療を受けられるよう、納得のいくまで話し合える矯正歯科医を見つけることが大切です。治療の相談時に診療システムや実績、費用などクリニック自身の説明を十分にしてくれること。お子さんに必要な検査や分析、診断をしたうえで治療の方針や計画を示してくれることなどがポイントになると思います。
新型コロナウイルスの影響による受診控えが歯科領域でも目立ちます。歯科クリニックでは新型コロナ流行以前から口の中に入る器具をその都度滅菌したり使い捨てを採用したり、飛沫防止のため吸引装置を使ったりするといった標準予防策を徹底しています。加えて、患者さんごとに座席を消毒する、フェイスガードを着用しての治療、予約を制限して接触機会を減らす─など可能な限りの感染対策を講じ、患者さんたちが安心して受診・治療してもらえるよう不断の努力を続けています。感染リスクよりも、口腔内の治療を中断・放置する不利益の方がずっと大きいことを理解してもらいたいです。自己判断で受診を控えず、必要な時に適切な受診をしてください。
ゲスト/E-line矯正歯科 上野 拓郎 院長
矯正歯科治療のメリットとリスクについて教えてください。
矯正歯科治療の目的は、歯並び、かみ合わせの改善にあります。歯並びが悪いと、歯磨きが隅々までできず、虫歯や歯周病の原因になります。しっかりとかんで食べられないので、胃腸など消化気管にも大きな負担がかかります。また、審美面で劣等感を抱くことも考えられます。実際に正しい歯並び、かみ合わせになると、口元を隠さずに笑顔を見せるようになり、表情が驚くほど明るくなります。さらに、正しいかみ合わせでよくかむということは、脳の発達や認知症の予防にも良い影響を及ぼすという研究結果もあります。かみ合わせを直し、歯並びをきれいに整える矯正歯科治療が、機能面、健康面、審美面で、いかに重要であるかが、日本でも広く認知されてきたように思います。矯正歯科治療に恥ずかしさや後ろめたさを感じることなく、堂々と矯正器具を装着する人が増えているのはうれしい限りです。
一方で、ほかの疾患の治療と同様に、矯正歯科治療にもリスクが生じる可能性もあります。より良い結果を導くための一時的なリスクです。例えば、矯正装置によって歯を動かす際の痛みや不快感です。これらは数日から1週間でなくなることがほとんどです。治療のどの段階で、どのような痛みや不快感があるのか、そして、どのように対処すればいいのかを事前に理解しておけば、過度に怖がる必要はありません。矯正装置があることで歯磨きがしにくくなるため、むし歯や歯周病になりやすいというのもリスクの一つですが、これも徹底したブラッシング指導などで患者さんのセルフケア意識を高めながら、プロによる定期的なチェックやクリーニングなどを組み合わせることで回避できるケースが多いです。
歯科矯正治療は命にかかわる、緊急性の高い治療ではありませんが、時間もお金もそれなりにかかりますし、治療するご本人の強い意志、努力と根気が求められることも多いです。通院日を守る、歯みがきをきちんと行うなど、患者さんと主治医が二人三脚で進むことで、初めてゴールにたどり着けるのだということを、ぜひ覚えておいてほしいと思います。
大変な治療を乗り切った後、その分得られる価値は大きく、歯並びやかみ合わせが良くなって人生観が変わり、元気になっていく方を私は何人も見ています。苦労や努力した時間が、残りの多くの人生の時間を輝かせるのが矯正歯科治療です。
ゲスト/E-line矯正歯科 上野 拓郎 院長
矯正歯科治療のメリットとリスクについて教えてください。
矯正歯科治療の目的は、歯並び、かみ合わせの改善にあります。歯並びが悪いと、歯磨きが隅々までできず、虫歯や歯周病の原因になります。しっかりとかんで食べられないので、胃腸など消化気管にも大きな負担がかかります。また、審美面で劣等感を抱くことも考えられます。実際に正しい歯並び、かみ合わせになると、口元を隠さずに笑顔を見せるようになり、表情が驚くほど明るくなります。さらに、正しいかみ合わせでよくかむということは、脳の発達や認知症の予防にも良い影響を及ぼすという研究結果もあります。かみ合わせを直し、歯並びをきれいに整える矯正歯科治療が、機能面、健康面、審美面で、いかに重要であるかが、日本でも広く認知されてきたように思います。矯正歯科治療に恥ずかしさや後ろめたさを感じることなく、堂々と矯正器具を装着する人が増えているのはうれしい限りです。
一方で、ほかの疾患の治療と同様に、矯正歯科治療にもリスクが生じる可能性もあります。より良い結果を導くための一時的なリスクです。例えば、矯正装置によって歯を動かす際の痛みや不快感です。これらは数日から1週間でなくなることがほとんどです。治療のどの段階で、どのような痛みや不快感があるのか、そして、どのように対処すればいいのかを事前に理解しておけば、過度に怖がる必要はありません。矯正装置があることで歯磨きがしにくくなるため、むし歯や歯周病になりやすいというのもリスクの一つですが、これも徹底したブラッシング指導などで患者さんのセルフケア意識を高めながら、プロによる定期的なチェックやクリーニングなどを組み合わせることで回避できるケースが多いです。
歯科矯正治療は命にかかわる、緊急性の高い治療ではありませんが、時間もお金もそれなりにかかりますし、治療するご本人の強い意志、努力と根気が求められることも多いです。通院日を守る、歯みがきをきちんと行うなど、患者さんと主治医が二人三脚で進むことで、初めてゴールにたどり着けるのだということを、ぜひ覚えておいてほしいと思います。
大変な治療を乗り切った後、その分得られる価値は大きく、歯並びやかみ合わせが良くなって人生観が変わり、元気になっていく方を私は何人も見ています。苦労や努力した時間が、残りの多くの人生の時間を輝かせるのが矯正歯科治療です。