2018年9月12日水曜日

子どもの矯正〜前期治療の必要性と効果〜

ゲスト/E-line矯正歯科上野 拓郎 院長

子どもの矯正治療は、早期から始めてもあまり効果がなく、永久歯が生えそろうまでは行わない方がいいという話を聞きました。本当にそうでしょうか。
 子どもの矯正治療は、永久歯が生えそろう以前の、乳歯と永久歯が混在する時期に行う「前期(早期)治療」と、その後、永久歯が生えそろってから始める「後期治療」に分かれています。後期治療は、大人の矯正治療と同様に、一本一本の歯にブラケットを装着する治療のことです。一方、前期治療は乳歯から永久歯が生えそろうまでの期間に、大人にはない成長の力を利用してあごのバランスを整えたり、歯の生え変わりを誘導したりするものです。上あごと下あごの正しい成長を促し、永久歯がスムーズに生えてくるように土台づくりをすることが目的です。
 成長期にある子どもの矯正治療では、いつ治療を開始すれば最も効果的かは一概には言えません。お子さんによって歯の生え具合やあごの発達具合は違いますので、早く矯正を始めた方がいいケースもあれば、全部の歯が永久歯に生え変わるのを待ってからの方がいいケースもあるからです。年齢が同じだからといって矯正を始める時期や治療の手法が同じとは限らないのです。
 お子さんの矯正治療を始める時期は「永久歯が生えてから」と考えている親御さんもいらっしゃると思いますが、それでは子どもならではのメリットである「あごの成長を利用した治療」のタイミングを逃してしまう場合があります。永久歯が生えそろうのを待つのではなく、気になった時点で矯正歯科にご相談いただき、前期治療が必要かどうかの判定を受けていただくと安心かと思います。
 お子さんの口の状態によっては、前期治療を行うことで、後期治療の際に抜歯をする必要がなくなったり、治療期間が短くなる可能性が高くなります。後期治療そのものがいらなくなるケースも多いです。また、かみ合わせが悪くなるのを予防することが期待でき、あごや顔のゆがみなど将来的なリスクや負担の軽減にもつながります。歯並びが悪いことを気にして、お子さんがコンプレックスを持つ場合もあります。お子さんにとって歯並びやかみ合わせの悪さが心理的な負担になっているのであれば、早めの矯正によってそのマイナス要因を取り除いてあげることも大事でしょう。
 子どもの矯正の開始時期は、矯正歯科でお子さん一人一人の症状や生活背景、心理的側面なども見極めて、慎重に判断する必要があります。十分な検査、診断、説明を受け、どのような処置が最も良いと考えられるか、納得した上で治療を受けてください。

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