2003年11月26日水曜日

「義歯との付き合い方」について

ゲスト/庄内歯科医院 庄内 淳能 歯科医師

義歯との上手な付き合い方について教えてください。

 装着感が自然で、安心して物を噛(か)めることが肝心です。そのためには、痛みや違和感がなくなるまであきらめないで調整をしてもらいましょう。入れ歯の調整には根気強さが必要です。痛みや違和感のある入れ歯は、つい外しがちになってしまいますが、装着しない時間が長くなると顎位(がくい)が安定せず、咬(か)み合わせに不都合が生じたり、残った歯が移動して歯間に隙間ができたりします。顎位の変化や歯の移動によって、入れ歯の痛みや違和感が大きくなり、装着することがつらくなります。悪循環に陥らないためにも装着して痛みや違和感のない義歯であることが大切です。また、徐々に歯茎の凸凹が無くなり、平坦(たん)になるなど、口腔(こうくう)内の変化によって義歯の安定感が失われた場合は、義歯にソフト裏装材を装填(てん)することも可能です。市販の入れ歯安定剤は応急処置的に使用する程度なら問題ないのですが、何度も使うと義歯に厚みが生じて、顎位に影響を及ぼす可能性があります。半年に1度程度は歯科で検診を受け、義歯が適切な状態か調べてもらいましょう。合わない義歯を無理して使い続けることはありません。

手入れ方法や義歯の種類について教えてください。

 義歯は、寝る前に専門の洗浄剤に漬けておくことがありますが、義歯の素材や洗浄剤の成分によっては変質してしまうこともあるので注意が必要です。ブラッシングは毎食後、洗浄は毎日必ず実行してください。義歯を入れてないと熟睡できないという人は、入れたまま眠っても良いのですが、就寝前と朝起きたら必ず洗いましょう。また、義歯は口腔内というデリケートな部分に異物を長時間入れることになるので、金属や特定の樹脂によるアレルギー反応が出る恐れもあります。口の中に治りづらいただれなどが出た場合はすぐに受診しましょう。金属のバネを使わないプラスチックのみの義歯や、磁石によって固定する義歯、金、チタンなど特殊な素材を使った義歯などもあります。健康保険が適用にならないものもあるので、納得いくまで歯科医に相談してください。

2003年11月19日水曜日

「緑内障」について

ゲスト/誠心眼科病院 前川 浩 医師

緑内障について、教えてください。

 緑内障は、視神経に障害が起き、視野が狭くなったり、視力が弱くなったりする病気です。放っておくと失明に至る場合もあり、糖尿病に次いで日本人の失明原因の第2位になっています。先天性のものと後天性のものがありますが、ここでは後天性の緑内障についてお話しします。緑内障の原因は複雑で、環境と体質的な要素に加齢が加わって出現する疾患といえます。緑内障は「眼圧が高い」という印象がありますが、眼圧が正常な緑内障が予想以上に多いことがわかってきました。緑内障疫学調査によると、40歳以上の日本人の5.78%が緑内障に罹患(りかん)しており、疑いのある人も含めると、実に8%にも上るという数字が出ています。さらに、その約8割が未受診です。緑内障であるにもかかわらず、自身の疾患を認識していないということです。緑内障の進行は一般に遅く、自覚の無いまま受診した時には、すでに末期であるという場合も多いです。

緑内障の予防と治療について教えてください。

 原因がはっきりしないため、有効な予防方法はありません。緑内障になりやすい条件として、近視が強い、40歳以上、家族や親族に緑内障の患者がいる、ストレスが強いなどが挙げられます。自覚症状としては、光の周りにカサや虹がかかって見える、近くの物が見えづらい、原因が無いのに目が疲れやすいなどがあります。しかし、このような症状が出るのは、かなり進行してからです。緑内障は残念ながら完治することはなく、進行を防ぐことが治療の主体となります。軽度の時点で発見し、その状態を維持することが、緑内障においては最善の策です。治療は眼圧を下げる目薬の点眼や内服薬が一般的です。レーザー治療や手術は、薬による治療が限界に達した場合に行います。緑内障と診断されても、定期的に受診し、薬で眼圧をコントロールしていれば、必要以上に恐れることはありません。緑内障の検査は、眼圧、眼底、視野を調べる、簡単なものです。40歳を過ぎたら症状が無くても、眼科で緑内障の検査を受けることをお勧めします。

2003年11月12日水曜日

「睡眠時無呼吸症候群」について

ゲスト/大道内科・呼吸器科クリニック 大道 光秀 医師

睡眠時無呼吸症候群について教えてください。

 文字通り、睡眠中に呼吸が止まる症状で、睡眠障害の一種です。睡眠中に呼吸が止まった状態が10秒以上続く、これが1時間に5回以上、一晩に30回以上あるようなら、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。一晩の間に無呼吸状態といびきをかく状態が何十回、何百回と繰り返されるため、熟睡したという感覚がなく、昼間なのに眠かったり、ぼんやりして注意力を欠く、頭が重い、などの症状が出ます。これが原因で、ち密な作業ができなかったり、注意力散漫から事故を引き起こしたりする場合もあります。主な原因は肥満で、上気道周囲に脂肪が付いて気道が狭くなっていることによって気道がふさがれ、無呼吸症状になります。肥満以外でも、アルコール摂取によって舌筋などが弛緩(しかん)する、遺伝的に上気道が狭い、扁桃(へんとう)肥大、舌の肥大などが原因の場合もあります。女性よりも男性に多く、肥満者の多い米国では以前から研究されてきました。日本でも、重大な事故の原因として取り上げられてから注目が集まり、最近では成人男性の3~4%以上がこの症状に当てはまると推定されています。

診断、治療方法を教えてください。

 睡眠時無呼吸症候群ではないかと受診にくる人の多くは、本人に自覚が少なく、家族に指摘されて来院することが多いようです。もちろん、自身で夜中に目が覚めやすいなどと認識している場合もあります。自身、あるいは周囲の人が睡眠時無呼吸症候群を疑ったら、呼吸器や睡眠を専門とする医師を訪ねることをお勧めします。睡眠中の呼吸活動、いびき、脳波、心電図などを一晩かけて調べるポリソムノグラフィという機器で計測し、病状を把握します。この検査のうち簡便な方法は自宅でもできます。仰向けで寝ないようにするだけでも症状が軽くなる人もいますし、特殊なマウスピースの使用、鼻から空気を送り込む装置の装着などの治療法もあります。肥満が原因の場合は体重を減らすことが重要です。熟睡できるようになると、驚くほど日中の生活が楽になります。思い当たる人は1度受診することをお勧めします。

2003年11月5日水曜日

「スポーツ障害」について

ゲスト/山口整形外科クリニック 山口秀夫 医学博士

スポーツ障害について教えてください。

 スポーツ障害には大きく分けて2種類あります。1つは競技中に発生するケガで、捻挫(ねんざ)と突き指がその代表です。捻挫とは、骨と骨をつなぐ靭帯(じんたい)というヒモ状の組織が損傷を受けることをいい、少し伸びた程度から断裂まで程度はさまざまです。断裂を放置すると靭帯が完全に伸びてしまい、その後少しの衝撃で捻挫を繰り返す危険があります。また、指の第1関節が伸びなくなる突き指は、指を伸ばす腱(けん)が切れている場合と、腱の付着部分が骨折している場合があり、骨折には手術が必要です。いずれも放置したままでは治らないので、早期に正しい治療を受けることが大切です。もう1つは、トレーニング過多によるスポーツ障害。野球少年のひじや、ジョギング愛好者のひざの障害がその典型です。骨の強度が十分でない少年期に過度の投球練習をすると、ひじの骨が欠けたり、ひじが十分に伸びなくなることがあります。最近では、甲子園大会に出場した選手のその後の活躍が少ない原因の一つとも考えられ、出場選手のひじの検診が各地で実施されるようになりました。ジョギング愛好者のひざの痛みは、ひざを曲げる筋肉の腱が骨と何度もこすれ合い、炎症を起こすのが原因です。痛みを軽くするために、できるだけアスファルトではなく土の上を走るようにしてください。シューズの裏を見て、片側だけが擦り減っている場合は、フォームが悪いことも考えられます。健康のためにスポーツをするの

スポーツ障害に専門医はいますか。

 スポーツ障害の治療や、競技能力の向上を科学的にサポートする「スポーツドクター」です。各種競技会のメディカルスタッフ、選手へトレーニング指導をするプロチームの専任ドクター、学校やスポーツクラブでのトレーニング指導・講演など活躍の場は多岐にわたります。スポーツ中に異常を感じたら、早めにスポーツドクターのアドバイスを受けることをお勧めします。

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