2003年11月19日水曜日

「緑内障」について

ゲスト/誠心眼科病院 前川 浩 医師

緑内障について、教えてください。

 緑内障は、視神経に障害が起き、視野が狭くなったり、視力が弱くなったりする病気です。放っておくと失明に至る場合もあり、糖尿病に次いで日本人の失明原因の第2位になっています。先天性のものと後天性のものがありますが、ここでは後天性の緑内障についてお話しします。緑内障の原因は複雑で、環境と体質的な要素に加齢が加わって出現する疾患といえます。緑内障は「眼圧が高い」という印象がありますが、眼圧が正常な緑内障が予想以上に多いことがわかってきました。緑内障疫学調査によると、40歳以上の日本人の5.78%が緑内障に罹患(りかん)しており、疑いのある人も含めると、実に8%にも上るという数字が出ています。さらに、その約8割が未受診です。緑内障であるにもかかわらず、自身の疾患を認識していないということです。緑内障の進行は一般に遅く、自覚の無いまま受診した時には、すでに末期であるという場合も多いです。

緑内障の予防と治療について教えてください。

 原因がはっきりしないため、有効な予防方法はありません。緑内障になりやすい条件として、近視が強い、40歳以上、家族や親族に緑内障の患者がいる、ストレスが強いなどが挙げられます。自覚症状としては、光の周りにカサや虹がかかって見える、近くの物が見えづらい、原因が無いのに目が疲れやすいなどがあります。しかし、このような症状が出るのは、かなり進行してからです。緑内障は残念ながら完治することはなく、進行を防ぐことが治療の主体となります。軽度の時点で発見し、その状態を維持することが、緑内障においては最善の策です。治療は眼圧を下げる目薬の点眼や内服薬が一般的です。レーザー治療や手術は、薬による治療が限界に達した場合に行います。緑内障と診断されても、定期的に受診し、薬で眼圧をコントロールしていれば、必要以上に恐れることはありません。緑内障の検査は、眼圧、眼底、視野を調べる、簡単なものです。40歳を過ぎたら症状が無くても、眼科で緑内障の検査を受けることをお勧めします。

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