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2008年8月20日水曜日

「~新しい小児用ワクチン~ヒブワクチンとロタワクチン」について

ゲスト/産科・婦人科 はしもとクリニック 橋本 昌樹 医師

ヒブワクチンについて教えてください。

ヒブ(Hib)は、ヘモフィルス属インフルエンザb型菌という細菌で、よく知られているインフルエンザウイルスとは、まったく別のものです。ヒブが血液や肺の中に侵入すると、髄膜炎や敗血症、急性喉頭(こうとう)蓋炎などの重い病気を引き起こします。日本では年間500~600人程度の乳幼児がヒブによる髄膜炎にかかっていると言われており、その死亡率は5%、後遺症が残る確率は20%程度です。諸外国ではすでにヒブワクチンを定期接種として採用しており、ヒブによる深刻な病気は100分の1程度に激減しています。WHO(世界保健機関)も乳児への定期接種を推奨する声明を出していますが、日本でもようやく認可され、今年の秋ごろには接種できる見通しです。接種の回数は3種混合と同じ4回で、3種混合ワクチンと同じ日に接種することができますが、ほかの日での接種も可能ですので、小児科の医師とよく相談してください。

ロタワクチンについて教えてください。

ロタ(Lota)は、乳幼児に見られる重症の下痢の主な原因となっているウイルスで、発展途上国を中心に世界中で年間60万人もの子どもの命を奪っています。先進国では、死に至ることはまれですが、毎年22万人の子どもたちが入院し、治療を受けています。日本でも小学校に上がるまでに2人に1人が外来を受診し、14~40人に1人が入院しているという報告もあります。ロタワクチンは、世界では100カ国以上の国々ですでに使用されており、定期予防接種に組み入れている国もあります。このロタワクチンは注射ではなく、口から接種できる点が良いところで、2回接種するタイプと3回接種するタイプの2種類があります。残念ながらいずれのワクチンも日本ではいまだに認可されていませんので、摂取することはできません。近い将来利用できることが期待されています。
日本の小児定期接種ワクチンはBCGをはじめ7種です。これに対し、アメリカでは16種と倍以上に及び、ヒブワクチン、ロタワクチンも組み込まれています。日本の子どもたちにも、早くこれらのワクチンが利用できるようになることが望まれます。

2003年3月5日水曜日

「小児の嘔吐(おうと)・下痢を伴う胃腸炎」について

ゲスト/札幌東豊病院 秋原 実 医師

この季節の子どもの病気について教えてください。

 今の季節、乳幼児に多いのは、ロタウイルスなどの感染による嘔吐・下痢を伴うウイルス性胃腸炎です。下痢や嘔吐の症状があると、お母さんは慌ててしまいますが、子どもには多い感染症なので、落ち着いて様子を見てください。多くの場合、嘔吐の症状を伴います。いきなり吐くと、お母さんは焦って水分を取らせようとしたり、何か食べさせようとすることが多いのですが、ここで肝心なのは、嘔吐の後、最低1時間程度は何も口に入れないことです。胃に物が入ると、また嘔吐を繰り返すことになります。現代の日本の子どもで「栄養不良」を心配する必要はありませんので、ゆっくり回復を待ちましょう。吐き気が落ち着いて大丈夫なようなら、少量の水分を与えます。この場合、糖分のあるものは逆効果なので、水やお茶、スポーツ飲料で十分です。そして様子を見ながら消化の良い食べ物を与えます。この場合も「栄養」にこだわることはありません。タンパク質や脂肪は避けて、重湯、おかゆ、うどんなど胃腸に負担のかからないものを与えます。絶食の時間は個人差がありますが、機嫌が良いようなら心配はいりません。ただ、ぐったりとしているようなら、脱水の心配がありますから、早めに受診してください。子どもの嘔吐や下痢を薬で抑えたり、点滴を安易にすることはお勧めしません。見た目の症状だけ解消しても、本質的な回復ではないからです。しかし重症例で、経口摂取が困難な場合は、点滴が不可欠な場合もあります。

ウイルス性胃腸炎と間違えやすい病気はありますか。

 嘔吐や下痢を伴う病気で、見逃してならないのは腸重積です。腸管がその先の腸管の中に入り込み、腸が二重になった状態になる病気で、生後4カ月ころから2、3歳までの乳幼児に多く発症します。元気だった子どもが突然おなかを痛がって泣きわめく、ぐったりする、顔面蒼白(そうはく)になる、嘔吐するといった症状が現れます。いったん治まっても、また繰り返すことがあります。さらに血便が出るようなら、ただちに受診してください。腸重積になってあまり時間がたっていなければ、肛(こう)門から造影剤や空気で圧を加えることによって、腸が入り込んで閉塞(へいそく)している部分を正常な状態に戻します。発症後時間がたって、圧を加えるだけでは治らない場合は、外科手術による整復が必要になります。頻度は少ないですが、もっとも恐ろしい疾患といえます。

2002年6月26日水曜日

「乳児の発熱」について

ゲスト/札幌東豊病院 若松章夫 医師

乳児の発熱について教えてください。

 乳幼児の体温は大人の体温より一般に高く、36.5~37.5度程度であれば、平熱の範疇(はんちゅう)として考えていいでしょう。それ以上であれば、発熱と考えられます。発熱した場合、真っ先にしてほしいことは、着ている服を1、2枚脱がせる、掛けている布団類を減らすことです。乳児の体温は、周囲の温度に左右されやすく、室温が高かったり、厚着をさせたりすると、体温が上昇することがよくあります。「熱があるようだから、暖かくしなくては」「汗をかかせて熱を下げよう」という方法は間違っています。熱がこもってしまい、かえって熱が下がらなくなります。手足が冷たい場合は靴下などで暖めて、体は薄着にさせて1~2時間様子を見てください。室温も暑過ぎないように、適温に調整してください。夜間の乳児の初めての発熱では、両親が驚いて、救急外来や夜間診療の病院などに駆けつけることも多いのですが、赤ちゃんの調子が悪いときに、バタバタと動くことの方が悪影響を及ぼすことも多いのです。救急外来で別の病気をもらうことも考えられます。機嫌が良く、母乳やミルクをいつも通り飲んでいれば、まず心配ないので、朝まで待ってから、かかりつけの小児科を受診するようにしてください。赤ちゃんが心地よさそうであれば、ジェルタイプの冷却シートや水まくらなどで、おでこや頭を冷やしてあげてもいいでしょう。また、生後3カ月程度までは解熱剤を使わない方がいいと考えられます。熱が下がり過ぎることによる影響の方が心配です。

赤ちゃんの発熱の原因は何だと考えられますか。

 たいていの場合は風邪です。乳児は母親から免疫を受け継いでいるので、生後しばらくは風邪をひかないと考えられていますが、実際にはひきます。兄、姉が風邪のウイルスを家に持ち込み、接触すれば感染する可能性もぐっと上がります。「乳児だから免疫がある」と過信せず、感染者との接触や人ごみを避け、抵抗力の弱い赤ちゃんを守ってあげてください。

乳児の発熱で特に気を付けることは何ですか。

 生後3カ月未満の乳児の発熱の場合、肺炎、敗血症、髄膜炎、尿路感染症などの重篤な病気が隠れていることがあります。夜間に発熱し、朝になって症状が落ち着いた状態であっても、必ず小児専門医を受診してください。

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