<手足のしびれについて教えてください>
手足のしびれは、脳神経外科でよくみられる症状の一つです。医療機関を受診するべきかどうかですが、しびれが長く続く場合や、しびれが段々と強くなるようであれば受診したほうがよいでしょう。また、急にしびれが起こって、それが持続する場合は、脳や脊髄の病気も考えられるので、早急に受診する必要があります。
手足のしびれは、脳神経外科でよくみられる症状の一つです。医療機関を受診するべきかどうかですが、しびれが長く続く場合や、しびれが段々と強くなるようであれば受診したほうがよいでしょう。また、急にしびれが起こって、それが持続する場合は、脳や脊髄の病気も考えられるので、早急に受診する必要があります。
「物忘れが増えたので、自分は認知症ではないか?」と心配して受診される方が増えています。脳ドックでも、以前は脳卒中の予防が主な受診動機でしたが、近年は認知症の予防や早期発見を目的とされる方が多くなっています。
転んで頭を打ったり、強くぶつけたりした時、頭の中に出血する場合があります。けがをしてすぐに出血が起きた場合は、「急性の出血」あるいは「血腫」などといいます。一方、けがをしてすぐの検査では異常がなかったのに、受傷してから1~2カ月ほどたってから徐々に頭の中に血がたまってくる病気があり、これを「慢性硬膜下血腫」といいます。
脳神経外科の外来では、目まいを訴えて受診される患者さんが多くいらっしゃいます。初めて経験する目まいは、本人にとってはとても恐ろしく感じられるものです。「天井がぐるぐる回った」「後ろに倒れそうになった」「地震かと思った」「立ち上がったら目の前が暗くなった」といった症状を目まいと感じて受診されるケースが多いですが、その訴えからはさまざまな原因が考えられます。
脳ドックを受けたり、けがなどで脳の検査をしたりしたときに医師から、脳梗塞があると言われてドキっとした、という経験をされた方も多いのではないでしょうか。俗に「隠れ脳梗塞」というように、自分には思い当たるような症状がないのにもかかわらず、検査時に偶然見つかる脳梗塞をそう呼びます。正しくは「無症候性脳梗塞」といいます。
[MCIと認知症について教えてください]
一人で歩いて外来を受診される90歳代の患者さんも珍しくなく、高齢化社会を実感します。近年、「物忘れが増え、自分は認知症ではないか?」と心配して受診される方が増えています。脳ドックでも、以前は脳卒中の予防が主な受診動機でしたが、認知症の予防や早期発見を目的とされる方が多くなっています。
西さっぽろ脳神経外科クリニック 笹森 孝道 院長
慢性硬膜下血腫とはどのような病気ですか
転んで頭を打ったり、強くぶつけたりした時、頭の中に出血する場合があります。けがをしてすぐに出血が起きた場合は、「急性の出血」あるいは「血腫」などといいます。一方、けがをしてすぐの検査では異常がなかったのに、受傷してから1~2カ月ほどたってから徐々に頭の中に血がたまってくる病気があり、これを「慢性硬膜下血腫」といいます。
慢性硬膜下血腫は、50歳以上の中高年に多い病気で、お酒をよく飲む方、肝臓の悪い方、病気治療でいわゆる「血液をサラサラにする薬」を服用している方がかかりやすいとされ、軽いけがの後でも発症することがあるので注意が必要です。冬季の北海道では、特に雪道の転倒事故に気を付けてください。
慢性硬膜下血腫は、出血が少ない場合はほぼ無症状です。ある程度、血がたまってくると脳を圧迫し、さまざまな症状が出てきます。頭痛や頭の重だるい感じが代表的な症状です。治療前には自覚症状を訴えていなかった患者さんでも、治療後には「頭が軽くなった」という方が多いようです。
圧迫が進むと、足元がおぼつかなくなるなど歩行障害が出ることも多いようです。物忘れや記憶障害、言語障害が出てくることもあり、高齢者の場合、認知症と間違われるケースもよくみられます。また。高齢者は圧迫による頭痛などの症状を自覚していない例もあり、そのまま寝込んでしまっていることもあるので、家族など周りの人が注意する必要があります。
治療について教えてください
無症状であれば、よほど圧迫が強くない限りは経過観察をします。内服薬を使用して様子をみる場合もあります。ここ最近では、血腫の治癒を促進する効果のある漢方薬を使うケースも増えています。
圧迫が強い時や症状が出ている時は、手術を行います。脳外科の手術というと大変怖いイメージを持っている方も多いと思いますが、硬膜下血腫の手術は局所麻酔で行うもので、心身への負担も少なく、高齢者でも受けることができます。過度に恐れる必要はありません。
頭を打っても軽いけがであれば、慌てて病院に行かなくても問題のないケースがほとんどですが、1カ月以上経ってから頭痛や、先に挙げたような症状が出てきた時は、我慢しないで脳外科医を受診するようにしてください。
西さっぽろ脳神経外科クリニック 笹森 孝道 院長
めまいについて教えてください。
脳神経外科の外来では、めまいを訴えて受診される患者さんが多くいらっしゃいます。初めて経験するめまいは、患者さんにとっては恐ろしいものです。「天井がぐるぐる回った」「後ろに倒れそうになった」「地震かと思った」「立ち上がったら目の前が暗くなった」などの症状がみられますが、その訴えの中にはさまざまな原因が考えられます。
頻度が高いものは、内耳障害によるめまいですが、脳の障害で起こる“怖いめまい”との鑑別が重要です。症状の強さだけで判断することは禁物で、めまいとともに言葉のもつれや手足の脱力・しびれが出ているようなら、脳の障害が疑われます。中には非常に鑑別の難しいめまいもあります。脳の障害によるめまいは極力早く診断し、治療に入る必要がありますが、その際にはMRIによる診断が有用です。
高齢者のめまいにはどのような特徴がありますか。
高齢者は、加齢に伴い平衡感覚の衰えや血圧を調節する能力が衰えているので、めまいを起こしやすいです。高血圧や糖尿病などの持病を抱えていることも多く、それらの薬の副作用でめまいを起こすこともあります。
高齢者のめまいには、原因を簡単に明らかにできないことも多いです。もともと耳鳴りや難聴がある場合のめまいは、必ずしも内耳に原因があるとはいえません。例えば「起立性低血圧」とは、座った状態から立ち上がった時に血圧が低下する状態をいい、若い方は顔が青ざめ冷や汗が出るなどし、失神してしまうケースもあります。高齢者はこのような激しい反応は起こりにくいとされていますが、一方で、加齢のため血圧を一定に保つ自律神経の働きが衰えているため、血圧が少し下がっただけでもめまいを起こしやすく、やはり立ち上がる際には注意が必要です。
また、暑い時期は汗をかきやすいため、脱水からめまいを起こすこともあります。特に高齢者はのどの渇きを感じにくくなるため、脱水状態になりやすいです。夜間にトイレに行くのを減らそうと水分補給を控えることがありますが、脱水の予防を考えると好ましくありません。入浴や就寝前にはコップに1杯の水を飲むようにしましょう。
漢方薬がめまいの症状に有効なことも多いです。長引くめまいの症状でお悩みの方は、ぜひ一度専門医にご相談ください。
ゲスト/西さっぽろ脳神経外科クリニック 笹森 孝道 院長
手足のしびれについて教えてください。
手足のしびれが気になり、脳神経外科の外来を受診する患者さんが増えています。「脳梗塞などの脳血管疾患の症状ではないか?」「どこか血流が悪くなっているのではないか?」と心配される方が多いようです。
しびれが長く続く場合や、症状がだんだん悪くなるようであれば、すぐに医療機関、専門医を受診した方がいいでしょう。また、急にしびれが起こって持続する場合も、脳や脊髄の病気が考えられるので、早めに受診してください。
脳の病気によるしびれには、脳梗塞などの脳血管疾患があります。急にしびれが起こって、その後しびれが持続するのが特徴です。片側の手と口周囲のしびれが同時に起こる場合もあります。これは「手口感覚症候群」といい、脳の中の視床という部位の病気で起こります。脳梗塞の好発部位でもあるので、手口感覚症候群がみられたら、手足のまひやろれつが回らないなどの症状がなくても、すぐに脳神経外科を受診してください。
手足のしびれは、ほかにどんな原因が考えられますか。
頸椎症や椎間板ヘルニアなどによる頸髄性のしびれが考えられます。この場合には、しびれの部位が脊髄神経の分布に重なることが多いため、診察により障害部位を推定することができます。しびれだけにとどまらず、筋力の低下などがみられるようになると、手術による治療が必要なケースもあります。頸椎病変に対しては、従来のレントゲン撮影に加えて、CTやMRIなどによる画像検査で、椎間板の変形や神経の圧迫などが、より正確に診断できるようになってきました。
下肢のしびれには、腰椎疾患や下肢の閉塞性動脈硬化症があります。閉塞性動脈硬化症では、歩行時にしびれや痛みが起こり、しばらく休むと軽快します。これを「間欠性跛行(はこう)」といいます。血管の動脈硬化による病気なので、症状が進行すると血管外科での治療が必要になります。同じように間欠性跛行がみられる病気に腰部脊柱管狭窄症があります。腰部脊柱管狭窄症には立っている姿勢が辛く、前かがみになったりしゃがんだりすると症状が楽になるという特徴があります。
頸椎や腰椎などが原因で起こる慢性的なしびれや疼痛に対しては、安静、薬物療法、マッサージなどの保存的治療も行われます。治療については、まずかかりつけの先生に相談されることをお勧めします。症状が悪化してくるようであれば、手術治療が必要になる場合もあるので脳神経外科専門医を受診してください。
ゲスト/西さっぽろ脳神経外科クリニック 笹森 孝道 院長
慢性硬膜下血腫とはどのような病気ですか。
転んで頭を打ったり、強くぶつけたりした時、頭の中に出血する場合があります。けがをしてすぐに出血が起きた場合は、「急性の出血」あるいは「血腫」などといいます。一方、けがをしてすぐの検査では異常がなかったのに、受傷してから1〜2カ月ほど経ってから徐々に頭の中に血が溜まってくる病気があり、これを「慢性硬膜下血腫」といいます。
慢性硬膜下血腫は、50歳以上の中高年の方に多くみられ、お酒をよく飲む方、肝臓の悪い方、治療で血液をサラサラにする薬を服用している方もかかりやすいとされます。軽いけがの後でも発症することがあるので注意が必要です。冬季の北海道は、特に雪道の転倒事故に気を付けてください。
慢性硬膜下血腫は、出血が少ない場合はほぼ無症状です。ある程度、血が溜まってくると脳を圧迫し、さまざまな症状が出てきます。頭痛や頭の重だるい感じが代表的な症状です。治療前には自覚症状を訴えていなかった患者さんでも、治療後に頭が軽くなったという方が少なくないです。圧迫が進むと、足元がおぼつかなくなるなどの歩行障害や手足のまひといった、脳梗塞などの脳血管障害と似た症状を示すことも多いです。高齢者の場合、認知症と間違われているケースもよくみられます。また。高齢者は圧迫による頭痛などの症状を自覚していない例もあり、そのまま寝込んでしまっていることもあるので、家族など周りの人が注意する必要があります。
治療について教えてください。
無症状であれば、よほど圧迫が強くない限りは経過観察をします。内服薬を使用して様子をみる場合もあります。ここ最近では、血腫の治癒を促進する効果のある漢方薬を使うケースも増えています。
圧迫が強い時や、先に挙げた症状が出ている時は、手術を行います。脳外科の手術というと大変怖いイメージを持っている方も多いと思いますが、硬膜下血腫の手術は局所麻酔で行うもので、体への負担も少なく、高齢者でも受けることができます。むやみに恐れる必要はありません。
頭を打っても、軽いけがであれば、慌てて病院に行かなくても大丈夫です。しかし、1カ月以上経ってから、頭が痛くなってくるなどの症状が出てきた時は、我慢しないで脳外科医を受診するようにしてください。
ゲスト/西さっぽろ脳神経外科クリニック 笹森 孝道 院長
かくれ脳梗塞とはどのような病気ですか。
脳ドックを受けたり、けがで脳の検査をしたりしたときに医師から、脳梗塞があると言われてドキっとした、という経験をされた方も多いのではないでしょうか。俗に「かくれ脳梗塞」というように、自分には思い当たるような症状がないのにもかかわらず、検査時に偶然見つかる脳梗塞をそう呼びます。正しくは「無症候性脳梗塞」といいます。
脳梗塞と聞かされると驚かれると思いますが、すぐに大きな発作につながるケースは少ないので、必要以上に不安になる必要はありません。検査結果を伝える際に、医師の説明が十分でないために患者さんの不安が増している場合も多く、われわれ医療従事者も気を付けなくてはならないところです。「隠れ脳梗塞がありますよ」と言われた場合には、ご自身の持病や生活習慣などを見直すきっかけにしていただくのが得策ではないでしょうか。こういった機会に禁煙を決断される方もいらっしゃいます。
かくれ脳梗塞が見つかった場合、どう対応すればいいのですか。
無症候性脳梗塞と診断された場合、差し迫った危険はないとはいえ、何も手を打たずに放っておいていいわけではありません。無症候性脳梗塞の方は、健常者に比べると脳梗塞や脳出血、あるいは認知症になる危険がやや高いことが分かっています。また、非常にわずかながら脳にダメージを与え続けている可能性があるという説も報告されています。つまり、自分が他の人より脳梗塞など脳の病気を発症するリスクが高いことを自覚して、その予防に積極的に取り組むことが大切です。
だからといって、慌ててすぐに脳梗塞再発予防の薬を飲む必要性はありません。まずやるべきことは、脳梗塞の危険因子のチェックです。脳梗塞の発症に一番関係が深いのが「高血圧」の存在です。高血圧の方であれば、その後しっかり血圧を管理していくことがとても重要です。そのほかの危険因子には喫煙や糖尿病、脂質異常症などがあります。それぞれ医師の指導のもと適切に管理していく必要があります。
脳神経外科の専門医では、さらに頸(けい)動脈の動脈硬化や脳血管のチェックなどを行って、リスクの高い方には内服薬を処方する場合もありますし、再発予防のための手術を勧める場合もあります。
ゲスト/西さっぽろ脳神経外科クリニック 笹森 孝道 院長
めまいについて教えてください。
脳神経外科の外来では、めまいを訴えて受診される患者さんが多くいらっしゃいます。初めて経験するめまいは、患者さんにとっては大変恐ろしく感じられるものです。「天井がぐるぐる回った」「後ろに倒れそうになった」「立ち上がったら目の前が暗くなった」「地震かと思った」といった症状がみられますが、多様な病気の原因が考えられます。
頻度が高いものは、内耳障害によるめまいですが、脳の障害によって起こる“怖いめまい”との鑑別が重要です。症状の強さだけで判断することは禁物で、めまいとともに言葉のもつれや手足の脱力・しびれが出ているようであれば、脳の障害が疑われます。脳の障害によるめまいは極力早く診断し、治療に入る必要がありますが、その際にはMRIによる画像診断が有用です。
高齢者のめまいについて教えてください。
高齢者は、加齢に伴う平衡感覚の衰えや血圧を調整する能力の衰えなどがあり、めまいを起こしやすいです。糖尿病や高血圧などの持病を抱えている人は、飲んでいる薬が多いため、その副作用などでめまいを起こすこともあります。もともと耳鳴りがあったり、以前から難聴があったりするケースも少なくありません。このような状況の下にめまいが起こっても、必ずしも内耳に障害があるとはいえず、高齢者のめまいは原因を明らかにできない場合もあります。
「起立性低血圧」とは、座った状態から立ち上がる時に血圧が急激に低下する病態をいいます。若い人の場合、顔が青ざめ冷や汗が出るなどし、失神してしまうケースもあります。高齢者では若い人のような激しい反応は起こりにくいとされていますが、一方で、加齢のため血圧を一定に保つ自律神経の働きが衰えているため、血圧が少し下がっただけでもめまいを起こしやすく、やはり立ち上がる際には注意が必要です。
暑い時期は汗をかきやすいため、脱水からめまいを起こすこともあります。特に高齢者はのどの渇きを感じにくいので、脱水が生じやすいです。夜間にトイレに行く回数を減らそうと水分補給を控えてしまうと脱水を起こしやすいので、入浴前後や就寝前にはコップ1杯の水を飲むようにしましょう。
漢方薬がめまいの症状に有効なことも多いです。めまいの症状でお悩みの方は、ぜひ医療機関にご相談ください。