2023年11月18日土曜日

隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)

<隠れ脳梗塞について教えてください>

 脳ドックを受けたり、けがなどで脳の検査をしたりしたときに医師から、脳梗塞があると言われてドキっとした、という経験をされた方も多いのではないでしょうか。俗に「隠れ脳梗塞」というように、自分には思い当たるような症状がないのにもかかわらず、検査時に偶然見つかる脳梗塞をそう呼びます。正しくは「無症候性脳梗塞」といいます。

 脳梗塞と聞かされると驚いてしまうと思いますが、すぐに大きな発作につながることは少ないので、必要以上に不安になる必要はありません。検査結果を伝える際に、医師の説明が十分でないために患者さんの不安が増しているケースも多く、われわれ医療従事者も気を付けなくてはならないところです。

 「隠れ脳梗塞がある」と言われた場合には、ご自身の持病や生活習慣などを見直すきっかけにして頂くのが得策ではないでしょうか。こういった機会に禁煙を決断される方もいらっしゃいます。

<隠れ脳梗塞が見つかった場合、どう対応するのがいいでしょうか>

 無症候性脳梗塞と診断されても差し迫った危険はありませんが、何も手を打たずに放っておいていいわけではありません。無症候性脳梗塞の方は、健常者に比べると脳梗塞や脳出血、あるいは認知症になる危険がやや高いことが分かっています。また、非常にわずかながら脳にダメージを与え続けている可能性があるという説も報告されています。自分が他の人より脳梗塞など脳の病気が発症するリスクが高いことを自覚して、その予防に積極的に取り組むことが大切です。

 だからといって、慌ててすぐに脳梗塞再発予防の薬を飲む必要はありません。まずやるべきことは、脳梗塞の危険因子のチェックです。脳梗塞の発症に一番関係が深いのは「高血圧」の存在です。高血圧の方は、しっかり血圧を管理していくことがとても重要です。その他の危険因子には「喫煙」や「糖尿病」、「脂質異常症」などがあります。それぞれ医師の指導の下適切に管理していく必要があります。

 脳神経外科の専門医では、脳血管のチェックや頸(けい)動脈の動脈硬化の進行度を調べるなどして、リスクの高い方には内服薬を処方する場合もありますし、再発予防のための手術を勧める場合もあります。


西さっぽろ脳神経外科クリニック
笹森 孝道 院長



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