2024年12月14日土曜日

神経性大食症

<神経性大食症について教えてください>


 一般的な食事の量よりもはるかに大量の食物を短時間で摂取する過食があり、自己評価が体型や体重の影響を強く受けていて、体重増加への恐怖があります。そのため厳しい食事制限を行い飢餓状態となり、強い摂食衝動に襲われ、過食を繰り返します。

過食後に自ら嘔吐したり、下剤を乱用したり、過度の運動をする等の代償行動で体型や体重を維持しようとすることが多いです。肥満恐怖やボディイメージの歪みを伴わない過食は、過食性障害(むちゃ食い症)と呼ばれます。

 過食や代償行動が、3カ月以上、少なくとも週1回以上起きていると神経性大食症と診断されます。10〜30代の若い女性に多く、発症のピークは10代後半です。肥満への恐れや強いやせ願望を抱いているため、日中ほとんど食べずにいて、しかし食に対する抗しがたい渇望から、夜以降過食してしまうというのがよくみられる傾向です。

 過食には、脳の「報酬系」と呼ばれる神経系のはたらきも関与しています。欲求が満たされた時などに活性化し、気持ちよさ、幸福感などを引き起こす脳内のシステムです。飢えた状態で過食をすることは、コカインと同等の報酬効果があると言われており、過食による快を求め過食をコントロール出来なくなる依存症の側面もあります。


<治療について教えてください>


 体重や体形に対する過度のこだわりなど、心理的な要因に基づく食行動の障害は、重症慢性化すると治療が難しいケースが少なくなく、回復・改善に時間がかかることも多いです。早期に治療を開始した方が病気の見通し(予後)が良いことが分かっているので、周囲の人が本人の異変に気付くなど、初期の段階で受診につなげることが重要です。

 治療は、出来るところから少しずつ病気の考え方や生活パターンを修正するガイデッドセルフヘルプや認知行動療法、栄養士と行う栄養指導などが柱となります。

 神経性大食症の患者さんは、抑うつ症状や非定型うつ病、双極性障害、ADHD(注意欠陥多動性障害)といった病気を併発しているケースも少なくないです。それらの病気に対する有効な治療に伴って、神経性大食症の病状が良くなる場合もあります。







医療法人 耕仁会
札幌太田病院
太田 健介 院長

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