2024年12月24日火曜日

治療目標についてもっと話し合いましょう!

<関節リウマチ治療において、医師など医療従事者とどうコミュニケーションを取ればいいのでしょうか>


 関節リウマチは、体に入ってくる細菌やウイルスなどを攻撃する免疫が異常をきたし、自らの体を攻撃する自己免疫疾患の一種です。関節を包んでいる滑膜に炎症が起こり、関節を構成する軟骨や骨が徐々に破壊され、関節が変形します。

 関節リウマチの診断、治療はこの20年で大きく進歩しました。相次ぐ新薬の登場などで、早期から適切なタイミングで治療を開始すれば、炎症をコントロールでき、骨破壊や関節の変形を食い止め、寛解(症状が落ち着いて安定する)状態になるまでの改善が見込めるようになりました。診療ガイドラインにのっとって治療を進めていくと、約7割の患者さんが寛解状態にいたるとされています。

 日本リウマチ学会による治療原則では、関節リウマチの治療方針において患者さんと医師との「協働的意思決定」の重要性を強調しています。協働的意思決定とは、患者さんと医療従事者が治療のゴールや好み、責任を話し合って適切な治療法を見つけ出す過程のことをいいます。そのためには、患者さんも病気の知識を身につけることが大切です。

 治療に対する希望や目標は、体の機能の維持、全般的な症状の改善、痛みの改善、動ける体でいたい、薬の副作用の心配を少なくしたいなど、患者さんによってさまざまです。しかし、治療目標についてよく話し合わず、単に患部の痛みや腫れの様子をチェックし、薬を処方するだけの、ただ目の前のことに対応するだけの治療は、例えるならば、真っ暗な海をコンパスもライトもない状態で進んでいるようなもので、患者さんが現在置かれている状況や将来の希望にそったものにならない可能性があります。医師と患者さんとが治療方針・目標についてしっかり話し合っているケースでは、患者さんの治療満足度が高いというアンケート調査の結果も報告されています。

 治療目標や治療方法は、症状だけでなく、たとえば、お仕事や学校の都合、遠方で頻回の通院が難しい方、趣味を再開したい方、将来的に妊娠・出産を考えている方など、患者さん一人ひとりの希望やライフスタイルについても話し合っておくことが重要です。ぜひ、医師に治療の要望や将来の計画などをはっきり伝えてください。そうすることで、私たちも患者さんと思いを共有し、より良い治療に向けて共に進むことができると考えます。




佐川昭リウマチクリニック
古崎 章 院長 

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