2022年4月13日水曜日

手足のしびれ

 ゲスト/西さっぽろ脳神経外科クリニック 笹森 孝道 院長


手足のしびれについて教えてください。

 手足のしびれが気になり、脳神経外科の外来を受診する患者さんが増えています。「脳梗塞などの脳血管疾患の症状ではないか?」「どこか血流が悪くなっているのではないか?」と心配される方が多いようです。

 しびれが長く続く場合や、症状がだんだん悪くなるようであれば、すぐに医療機関、専門医を受診した方がいいでしょう。また、急にしびれが起こって持続する場合も、脳や脊髄の病気が考えられるので、早めに受診してください。

 脳の病気によるしびれには、脳梗塞などの脳血管疾患があります。急にしびれが起こって、その後しびれが持続するのが特徴です。片側の手と口周囲のしびれが同時に起こる場合もあります。これは「手口感覚症候群」といい、脳の中の視床という部位の病気で起こります。脳梗塞の好発部位でもあるので、手口感覚症候群がみられたら、手足のまひやろれつが回らないなどの症状がなくても、すぐに脳神経外科を受診してください。


手足のしびれは、ほかにどんな原因が考えられますか。

 頸椎症や椎間板ヘルニアなどによる頸髄性のしびれが考えられます。この場合には、しびれの部位が脊髄神経の分布に重なることが多いため、診察により障害部位を推定することができます。しびれだけにとどまらず、筋力の低下などがみられるようになると、手術による治療が必要なケースもあります。頸椎病変に対しては、従来のレントゲン撮影に加えて、CTやMRIなどによる画像検査で、椎間板の変形や神経の圧迫などが、より正確に診断できるようになってきました。

 下肢のしびれには、腰椎疾患や下肢の閉塞性動脈硬化症があります。閉塞性動脈硬化症では、歩行時にしびれや痛みが起こり、しばらく休むと軽快します。これを「間欠性跛行(はこう)」といいます。血管の動脈硬化による病気なので、症状が進行すると血管外科での治療が必要になります。同じように間欠性跛行がみられる病気に腰部脊柱管狭窄症があります。腰部脊柱管狭窄症には立っている姿勢が辛く、前かがみになったりしゃがんだりすると症状が楽になるという特徴があります。

 頸椎や腰椎などが原因で起こる慢性的なしびれや疼痛に対しては、安静、薬物療法、マッサージなどの保存的治療も行われます。治療については、まずかかりつけの先生に相談されることをお勧めします。症状が悪化してくるようであれば、手術治療が必要になる場合もあるので脳神経外科専門医を受診してください。


人気の投稿

このブログを検索