<手足のしびれについて教えてください>
手足のしびれは、脳神経外科でよくみられる症状の一つです。医療機関を受診するべきかどうかですが、しびれが長く続く場合や、しびれが段々と強くなるようであれば受診したほうがよいでしょう。また、急にしびれが起こって、それが持続する場合は、脳や脊髄の病気も考えられるので、早急に受診する必要があります。
手足のしびれが症状となる脳の病気には、脳梗塞などの脳血管疾患があります。急に起こるしびれが持続するのが特徴です。片側の手と口周囲のしびれが同時に起こる場合がありますが、この症状は「手口症候群」と呼ばれ、脳の中の視床(ししょう)という部位の病気で起こります。脳梗塞の好発部位でもあるので、手口症候群がみられたら、手足のまひやろれつが回らないなどの症状がなくても、すぐに脳神経外科を受診してください。
<手足のしびれは、ほかにどのような病気や原因が考えられますか>
首の骨(頚椎)の病気でも手足にしびれが出る場合があります。頚椎症や椎間板ヘルニアによるしびれは、神経の通り道にそってあらわれることが多く、診察によってどの場所が悪いのかをある程度予測できます。しびれだけでなく、力が入りにくい、痛みなどの症状がある時は、手術が必要なケースもあります。頚椎病変に対しては、CT・MRI検査で椎間板の変形や神経の圧迫状態などを、より詳しく調べることができます。
下肢のしびれは、腰椎の病気や閉塞性動脈硬化症などが考えられます。閉塞性動脈硬化症は、動脈硬化が原因で足の血流が悪くなり、歩くとしびれや痛みが出る病気です。少し歩くと、足が痛くなったり、しびれたりして歩けなくなりますが、少し休むと歩けるようになる「間欠性跛行(はこう)」という症状が出ます。これは血管の病気なので、血管の専門医の診察が必要です。腰部脊柱管狭窄症も間欠性跛行を症状とする病気ですが、こちらは立っている姿勢が辛く、前かがみになると楽になるのが特徴です。
手足のしびれに対する治療は、まずは安静にして、薬やリハビリ、ブロック注射などの保存的治療を行うのが一般的です。これらで改善するケースも多いので、最初はかかりつけの医療機関で相談してみるといいかもしれません。保存的治療では症状が改善せず、悪化していくようであれば、一度脳神経外科を受診することをお勧めします。
笹森 孝道 院長