<視力検査について教えてください>
眼科では、さまざまな治療の折に、視力検査を勧めます。視力に不安がないと断る人もいますが、視力検査からはさまざまなことがわかります。単に「視力」といっても眼科で測定する場合は裸眼視力だけではなく、近視や遠視、乱視などの屈折異常、さらに矯正レンズを当てた状態で良好な視力が得られるかどうかの検査まで行います。医療機関でしかできない検査も多いです。
例えば、小学生のお子さんの視力が0.8であれば「授業に支障がないからいいだろう」と考える親御さんも多いと思いますが、強い遠視の場合は矯正レンズを当てても良好な視力を得られない場合があります。これは「弱視」という病気です。小学生のうちに治療しないと中学生以降に治療しても効果は期待できず、成人しても、日常生活や運転免許の取得に支障を来たすことにもなります。重症化させず、早期に効果的な治療を行うためには、3歳児健診で発見し対処することが重要です。弱視の原因となる目の異常の疑いがあるかどうか見分ける屈折検査を3歳児健診に取り入れる自治体も増えていますが、学校健診などで視力の不良を指摘されたり、日常生活でお子さんが少しでも「見えづらさ」を訴えたりした場合は、すぐに眼科を受診し相談することをお勧めします。
<成人で見つかる病気はありますか>
強度近視の場合は網膜が平均より薄く、網膜剥離などの重大な病気を引き起こすことがあり屈折検査で、一定以上の近視と判明したら眼底の精密検査を受けてください。また、網膜静脈閉塞症や糖尿病網膜症は視力障害が出るケースもあります。普段両目で見ていると片目に異常があってもなかなか気付かないもので、眼科で片目ずつ視力を測定して初めて見つかることがあります。
中年以降になってから急に手元が見やすくなってきたという方は、白内障が始まり、水晶体の中心部分が固くなって近視化を起こしているかもしれません。さらに白内障が進行すれば矯正視力も低下してきますが、裸眼視力の検査だけでは視力低下の原因が加齢による老眼なのか、病気によるものなのか分かりません。これも視力を測れば、眼底の精密検査が必要か判断できます。
視力検査が目に隠れているさまざまな病気の早期発見につながるケースは珍しくないことを、多くの人に知ってほしいと思います。
ふじた眼科クリニック
藤田 南都也 院長