2024年8月24日土曜日

不 登 校

<不登校について教えてください>

 不登校の小中学生が2023年度、過去最多の約29万人に上りました。当院の思春期外来でも、受診理由で一番多いのは不登校です。

 不登校は大きくは、「行きたくないので、行かない」と「行きたいけど、行けない」の2つのタイプに分かれます。

背景には、友人関係の問題や学業不振、いじめ、家庭環境、無気力など、思春期の多様な悩みや不安があります。いくつもの理由が複雑に絡み合っていたり、また、何が原因になっているのか本人にも分からなかったり、理由を突き止められないケースも少なくないです。

 不登校のきっかけや理由が分かっている場合は、それらの原因を取り除いたり、環境や状況を改善・調整したりすることが、問題解決の基本となります。また、不登校に隠れた疾患(うつ病、不安障害など)を見逃さないことも重要です。不登校自体は病気ではないので、必ずしも受診や治療が必要なわけではありません。ただ、不登校の本当の原因が「心の病気」にある場合、専門的な治療を受けなければ、根本的な解決は難しく、症状を悪化させてしまうと立ち直りにも時間がかかります。そういった意味でも、保護者が身近に相談できる存在として、気軽に精神科・心療内科を受診してほしいです。

 家庭での対応で大切なのは、学校へ行かない(行けない)という本人の意思・選択を、まず認めてあげることです。無理に学校に行かせるように仕向けたり、不登校の理由を問い詰めたりすることは、かえって状況を悪化させることになりがちです。親御さんのご心配はもっともですが、「早く学校へ」と焦らず、「学校はひとまず休んで、それから先のことは家族みんなでゆっくり考えよう」と、温かい姿勢で構えることが大事です。

 ただ、同時に学校に行かないこと=家で好きなことが出来ることにしないことも重要で、学校に行かない場合も出来る限り規則正しい生活を行い、本来学校に行っているのと同程度の時間は勉強や家事等を行うといった枠組み作りをする必要があります。 家庭内で役割を作り、家族が本人を認めたり感謝したりする形を作る事で家族もあせらずに見守りやすくなり、本人の自己肯定感も高まりやすくなります。

 長い人生から見れば、不登校はちょっとしたつまずきに過ぎません。転んでも立てばいいんです。不登校でお子さんの人生は終わりません。悲観しないでほしいです。



医療法人五風会
さっぽろ香雪病院
鈴木 悠史 診療部長

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