2024年7月27日土曜日

機能性ディスペプシア

<機能性ディスペプシアについて教えてください>

 ディスペプシアとは、「胃痛」「胃もたれ」「むかつき」などの不快な腹部の症状を指す医学用語です。これらの症状が続き、検査をしても胃潰瘍や胃がんなどの異常が認められない場合を「機能性ディスペプシア(FD)」と呼びます。

 以前は「慢性胃炎」と診断されていましたが、胃の炎症は必ずしも症状と関連しないことが明らかになり、現在ではFDと慢性胃炎は異なる病気と考えられています。

 FDの人の割合は、上腹部の症状で病院を受診した人の約半数と非常に高いです。ストレスをはじめとする自律神経の乱れが要因となって起こると考えられていますが、根本原因はいまだ解明されていません。

 FDは、少なくとも週に1日以上、心窩部(しんかぶ=みぞおち)痛、心窩部灼熱(しゃくねつ)感〈みぞおちの焼けるような感じ〉を訴える「心窩部痛症候群」と、少なくとも週に3日以上、食後のもたれ感、早期飽満感〈食事開始後すぐにお腹がいっぱいに感じられ、それ以上は食べられなくなる〉を訴える「食後愁訴症候群」の2つのタイプに分類されます。


<治療について教えてください>

 治療は、まずストレスの原因をできるだけ明確にし、軽減させることから始まります。また、自分がストレスに敏感な体質で胃が反応しやすいことを認識することも重要です。

 十分な睡眠を取る、適度な運動を行う、ストレスを発散する、アルコールやカフェイン・暴飲暴食を控える、規則正しい食生活を心掛けることが大切です。生活習慣の改善を続けながら、薬による治療も並行して行います。まず「胃酸が出るのを抑える薬」「胃の動きを良くする薬」「漢方薬」を症状によって使い分けたり、併用したりします。それでも症状が改善されない場合は、抗不安薬や抗うつ剤を併用することもあります。

 FDの治療においてまず重要なことは、FDに詳しい医師のサポートを受けることです。そして、医師をはじめ医療スタッフを信頼して治療に臨むことで、より良い治療効果が得られます。慢性胃炎と診断され、制酸剤などを処方されて経過観察しているものの症状があまり良くならないケースでは、FDの可能性も考えられます。症状に応じた治療を行なうことでQOL〈生活の質〉は著しく改善されますので、早めにFDに詳しい医師を受診することをお勧めします。




医療法人社団慈昂会
琴似駅前内科クリニック
髙柳 典弘 院長

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