2008年12月10日水曜日

「リウマチと治療薬」についてお話を伺いました。

ゲスト/青空たけうち内科クリニック 竹内 薫 医師

関節リウマチについて教えてください。

 関節リウマチは、関節に起こる炎症がもたらす痛みやはれ、変形を特徴とする病気です。目覚めたときの関節のこわばった感触、ぎこちなさの自覚などが、リウマチに特徴的な症状です。微熱やだるさ、貧血、食欲不振など全身症状を伴うこともあります。放っておくと、関節の骨や軟骨が破壊され、関節が変形してしまいます。
 全国では100万人以上、人口の約0.8%ともいわれる関節リウマチの患者数。その数は人口全体の高齢化に伴い、増加する傾向にあります。男女の割合は1対4で女性に多く、発症年齢は30~50歳代、特に40歳代が最も多いことが分かっています。関節リウマチの原因は、今のところはっきりしていませんが、ウイルスや細菌を排除する免疫システムの異常と考えられています。関節リウマチは自己免疫疾患の一つです。

治療について教えてください。

 以前はリウマチにこれといった治療薬がなく、痛みが続き関節が変形していくのを止めることは、なかなかできませんでした。しかし、近年、生物学的製剤の登場により、関節リウマチの治療は飛躍的に進歩し、治療の選択肢も広がり、かつては「寝たきり」というイメージがあったリウマチに「治る病気」というゴールも見えてきました。生物学的製剤は最新のバイオテクノロジー技術を用いて開発された新薬で、関節リウマチの炎症や、骨、軟骨などの関節破壊を引き起こす原因となる「TNF」「IL-6」というサイトカイン物質を抑えることにより、その効果を発揮します。生物学的製剤のインフリキシマブ、エタネルセプト、トシリズマブは保険が適用になります。
 以前は、10年以上かけて骨が徐々に壊れると考えられていましたが、最近の研究で、初めの2年間で骨の破壊が著しく進行することが分かりました。結果として10~20年後の関節破壊があります。初期の段階での治療がその後のQOL(生活の質)を決めることにもなります。ですからリウマチは発症早期がとても重要で、早期診断、早期治療に大きな意味があります。
 リウマチの早期診断は、糖尿病や高血圧のように検査数値では診断がつかないことが多いので、関節痛やこわばりなどで困っている人は、一度リウマチ専門医に相談することをお勧めします。

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