2015年12月24日木曜日

やけどの応急処置


ゲスト/宮の森スキンケア診療室 上林 淑人 院長

やけどについて教えてください。
 寒い季節はやけどが増える時季でもあります。熱い飲み物や鍋が食卓をにぎわせることも多いでしょう。子どもに多いのは、テーブルクロスの裾を引っ張って熱いものをひっくり返したやけどや、炊飯器・加湿器の水蒸気によるものです。主婦は「熱くなったフライパンに触れた」「アイロンがもう冷めたと思い触れた」など、多くが家事作業中の事例です。また冬は、湯たんぽや使い捨てカイロによる低温やけども増えます。日常生活における身近な状況で、誰もがやけどを負う危険性があるといえます。
 やけどの症状は赤くなる、腫れる、水膨れになる、痛みなどです。やけどの重症度は、主に熱により損傷された深さとその面積によって判定されます。重症例では赤く盛り上がった瘢痕やケロイドが生じ、また拘縮(瘢痕が硬くなりひきつれること)を残し、手術による治療を要するケースもあります。軽いやけどではほとんど瘢痕を残しませんが、色素沈着や、皮膚が白くなる色素脱出を残すことがあります。

やけどの応急処置について教えてください。
 やけどは、直後の処置が最も重要です。水道の流水で直接冷やすのが最適です。水道が使えない場合は冷却枕や保冷剤などで冷やしましょう。ただこれらを長時間、直接患部に当てると、冷えすぎて凍傷を起こすことがあるので注意が必要です。また、熱冷まし用の冷却シートは、かぶれたり水膨れを破いたりすることがあるのでお勧めできません。
 皮膚が少し赤くなった程度であれば、水で冷やすなど家庭で対処可能ですが、水膨れができるほどのやけどの場合、形成外科や皮膚科などで適切な処置を受けることが大切です。軽いやけどでも、処置を誤ったり細菌感染症を合併したりすると、より深いやけどに移行する可能性があるからです。
 市販の薬にも注意してください。やけどを負ってからの時間や深さなどで、薬は異なるからです。どんなやけどにも効く万能の薬というものはありません。やけどの状態に合わない市販の軟こうをつけて、かえって傷の治りを妨げている例も少なくないです。
 低温やけどは、程度が軽そうに見えても思ったより損傷が深く、ひどい場合は皮膚が壊死を起こしているケースもあり、治るまでに相当の期間を要する場合もあります。楽観することなく病院での治療をお勧めします。

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