2015年12月2日水曜日

AGA(男性型脱毛症、Androgenetic Alopecia)


ゲスト/つちだ消化器循環器内科 土田 敏之 院長

AGA(男性型脱毛症、Androgenetic Alopecia)について教えてください。
 AGAは、遺伝や生活環境などさまざまな要因で発症すると考えられている男性特有の脱毛症のことです。
 髪の毛には1本ずつヘアサイクル(毛周期)があり、通常5〜6年で抜け、新たな毛に生え替わります。健康な髪の毛の人でも1日100〜150本が自然と抜け落ちていきます。ところが、AGAは、髪の毛が十分に育つ前、細く柔らかく短いうちに抜け落ちてしまいます。
 AGAの原因は完全には解明されていません。しかし、一般的な男性ホルモン「テストステロン」が、髪の毛の根元にある「5αリダクターゼ」という酵素と結び付いてできる男性ホルモン「ジヒドロテストステロン(DHT)」が影響していることは分かっています。DHTがヘアサイクルを乱し、細く短い髪の毛が増えるために、全体的に薄毛が目立つようになるのです。AGAは頭部全体ではなく、前頭部や頭頂部から起こるという特徴があり、治療を行わなければ徐々に進行していきます。

AGAの治療について教えてください。
 AGAの治療は従来、毛細血管を広げて血行を良くする塗り薬が使われていましたが、現在はDHTの生成を阻害し、毛根の再生を促す投薬治療が中心になります。代表的な薬として知られるのが「フィナステリド」です。フィナステリドは、即効性はありませんが、1年服用した後は約80%の方に医学的な効果が証明されています。ただし、フィナステリドはAGAの進行を抑制するための治療薬であるため、男性ホルモンの血中濃度が低い女性には効果がありません。また、男性ホルモンが原因ではない円形脱毛症や抗がん剤の副作用による脱毛にも無効とされています。20歳以上の男性のみに臨床試験を行っているため、未成年者への使用は安全性や有効性が確立されていません。
 今秋、より強力にDHTの生成を抑制する薬が登場しました。臨床試験においても毛髪の太さ、長さ、頭皮単位面積当たりの本数の増加などAGAに対する効果が確認されています。基本的には6カ月服用を継続して発毛効果を判定し、その後について検討することになります。
 AGAの治療は、科学的根拠に基づく治療、自分に合った治療を医師と共に見つけていくことが何よりも大切です。

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