2021年5月12日水曜日

花粉が原因となる皮膚炎(花粉症皮膚炎)

 ゲスト/宮の森スキンケア診療室 上林 淑人 院長  


花粉が原因となる皮膚炎について教えてください。

 本州の花粉症はスギ花粉が主な原因ですが、北海道の花粉症はシラカバ、ハンノキの花粉が主な原因で、ゴールデンウィーク前後からシラカバ花粉症が本格化します(札幌市内・北海道神宮境内に茂る木々にはスギの樹林もあり、円山や宮の森など周囲の地区ではスギ花粉にも注意が必要です)。さらに、ブナやマツ、クルミなどの樹木や、ヨモギやカモガヤなどイネ科の牧草による花粉症が9月ごろまで続きます。

 鼻水やくしゃみ、鼻づまりが花粉症の主な症状ですが、実は花粉が皮膚に付着することで、まぶたがむくんだり、目の周りや頬、鼻、口の周り、首周りなどがかゆくなったり、赤くなってガサガサに荒れたりといった症状を引き起こすこともあります。これがアレルギー性皮膚炎の一種である「花粉症皮膚炎」です。これは正式な病名ではなく、花粉が皮膚に影響を及ぼす症状の総称です。

 今年はコロナ禍でマスクを着用している時間が長いためか、鼻や口の周りは症状が軽く、まぶたや目の周りに症状が集中している印象があります。目の周りは皮膚が薄く、バリア機能が弱い部位なので、症状が強く現れやすいです。


花粉症皮膚炎の治療や予防について教えてください。

 毎年決まった時期になると顔や首がかゆくなったり、赤みやむくみ、ブツブツ、湿疹ができたりするようであれば花粉症皮膚炎が疑われます。希望があれば病院で調べられますので、相談してください。治療は、炎症を抑える外用薬と抗アレルギー薬(内服薬)を使います。アレルギー反応によって肌にかゆみが起こると、つい触ったりかいたりして炎症を悪化させてしまい、症状が慢性化するという悪循環に陥りやすいです。症状が出たら、早めに皮膚科を受診し、かゆみや炎症を抑えることが大切です。

 予防は、できるだけ花粉が肌に付着しないように心がけることです。新聞などの花粉飛散情報を常に注意し、特に風の強い日は外出を控え花粉を避けるようにしましょう。やむを得ず外出する際には必ず帽子や眼鏡、マスクを使って可能な限り花粉から身を守ること。普段コンタクトレンズを使っている人もこの時期は眼鏡の方がいいでしょう。また、外出先から帰ったら、まずは顔を洗って付着した花粉を水で流す習慣をつけてください。洗顔料を使わずに、水でやさしく洗い流すだけでも予防効果があります。

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