2018年6月6日水曜日

マダニ感染症

ゲスト/宮の森スキンケア診療室 上林 淑人 院長

マダニ感染症について教えてください。
 登山やキャンプなど外での楽しみが増える時期、特に気を付けたいのは、マダニにかまれることで発症する感染症です。
 一般に見られるマダニは、アレルギーの原因になる小さくて目に見えないイエダニとは別の生物で、体長は3~4ミリで硬い外皮に覆われています。野山や沢に沿った斜面、牧草地などに生息していますが、山に入らなくても道路脇や草やぶなどにいることもあり、道内であればどこにいてもおかしくありません。
 マダニは、ウイルスや細菌を媒介する危険があり、道内では昨夏、マダニにかまれた男性が「ダニ媒介性脳炎」を発症し死亡しました。厚労省などによると、マダニにかまれてダニ媒介性脳炎に感染する患者は世界で年間6千人に及び、発症した場合の致死率は1〜20%にも上ります。人の潜伏期間は1、2週間ほどで、ウイルスの型によっては頭痛、嘔吐(おうと)がみられ、重症の場合は死に至ります。有効な治療法はまだ見つかっていません。
 ほかにも、マダニを媒介した感染症には皮膚が赤くなり、発熱や関節痛などインフルエンザと似た症状が出る「ライム病」、発熱を繰り返し髄膜炎などを引き起こす「回帰熱」などがあります。

対処法と予防法について教えてください。
 かまれないための対策が重要ですが、もしかまれた場合には、自分でマダニを皮膚から引きはがさないことです。マダニの口器は、釣り針のように皮膚内部に強く食い込みます。無理やり取ると口や頭部が残ってしまうことが多いので、医療機関での処置が推奨されます。その後も数週間は体調の変化に注意し、発熱などの症状が出たらすぐに診察を受けてください。
 森林などに入る時には、長袖、長ズボンを着用し、なるべく肌を露出しないこと。首にはタオルを巻き、シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は長靴の中に入れるなど、首回りやシャツ、ズボンの裾に隙間を作らないようにします。また、マダニが付いてもすぐ分かる薄い色の衣服を選んでください。虫よけ剤の利用も有効な対策の一つです。帰宅後、上着や作業着を家の中に持ち込まないようにし、下着を含めてすべて着替えます。さらに入浴時に、マダニが付いていないかよく確認しましょう。
 ダニ媒介性脳炎ワクチンの接種が可能です。保健所等に問い合わせてください。

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