2023年9月21日木曜日

赤ら顔と「酒(しゅ)さ」

<赤ら顔の原因について教えてください>

 いわゆる赤ら顔にはいくつかの種類と原因があります。生来からの赤ら顔、顔の皮脂の多い部分に生じる「脂漏性皮膚炎」、アレルギー体質と皮膚のバリア機能低下などを伴い生じる「アトピー性皮膚炎」、「ニキビ〈尋常性ざ瘡(そう)〉」、「化粧品などによるかぶれ〈接触性皮膚〉」などが考えられます。

 また、現在北海道の秋は、ヨモギ、ブタクサなどの雑草による花粉症の季節で、目の周りが赤くむくんでかゆくなる「花粉症皮膚炎」も赤ら顔を来たします。

 そして、多くの赤ら顔の原因に「酒(しゅ)さ」があります。酒さとは、鼻の周囲から頬、口の周り、眉間部、時に目の周囲が赤くなり、その部位において毛穴に一致して、ブツブツと赤く盛り上がる丘疹が見られる皮膚疾患です。良くなったり悪くなったりを繰り返し慢性化しやすい傾向があります。

<酒さについて教えてください>

 酒さは、毛細血管の拡張に起因する顔の広範囲の赤みと、毛穴の周りのブツブツした丘疹が特徴です。原因としては、体質や遺伝、アクネ菌やニキビダニの関与などが考えられていますが、はっきりと分かっていません。ただ、酒さの症状の悪化因子として、日光に当たることや寒暖差、アルコールやカフェイン、辛いものなどの刺激物、精神的ストレスなどが挙げられます。

 治療は「こうすれば必ず良くなる」というように単純にはいかないケースが多いです。酒さ治療薬である塗り薬(メトロニダゾール)が第一選択になります。その他、抗菌外用薬、ビタミン剤、抗生物質の内服などが必要になる場合もあります。また、赤みとほてりに対して清熱作用のある漢方薬、毛穴の丘疹に対して炎症を抑える漢方薬が効果的な場合もあります。慢性に経過する場合が多いので、ある程度根気よく治療を継続することが大切です。

 酒さは、脂漏性皮膚炎やアトピー性皮膚炎などと症状が似ていて区別が難しい場合が多く、またそれぞれ治療法が異なるため、鑑別診断がとても重要です。例えば、酒さに気付かず、かぶれなどの治療に使うステロイド外用薬を長期間使っていると、「酒さ様皮膚炎」という別の疾患に移行する懸念があり注意が必要です。


宮の森スキンケア診療室
上林 淑人 院長



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