2023年9月7日木曜日

アレルギー性鼻炎を合併するぜんそく

<アレルギー性鼻炎を合併するぜんそくについて教えてください>

 ぜんそくは、気道に慢性的な炎症が生じ、気道が狭くなり過敏になることで、繰り返し起こるせき、喘鳴(ぜんめい)、呼吸困難などを主な症状とする呼吸器疾患です。原因はさまざまですが、アレルギー素因が危険因子の代表格です。

中でも「アレルギー性鼻炎」との関連が従来より指摘されており、日本ではぜんそくに合併するアレルギー性鼻炎の頻度は、15歳以上の成人ぜんそくでは約67%、小児ぜんそくでは約75%に及びます。

 ぜんそくとアレルギー性鼻炎は、共通点が多いとされています。一般的にアレルギーの起こる仕組みは、花粉や食べ物など本来無害な物質が体内に入り、抗体の免疫グロブリンE(IgE)に結合することで始まります。IgEはヒスタミンなどの刺激物質を出す細胞の表面にあり、原因物質と結合すると、かゆみやくしゃみ、じんましんなどの症状を引き起こします。ダニやハウスダスト、犬や猫の毛、花粉など共通する抗原が多いのも特徴です。

 アレルギー性鼻炎は上気道(鼻から喉、気管の入り口など)、ぜんそくは下気道(気管、気管支など)に起こる病気ですが、最近では同じ気道に起こる一つの病気として治療していこうという動きが活発になっています。


<治療について教えてください>


 成人ぜんそくの治療薬の第一選択は「吸入ステロイド」です。アレルギー性鼻炎を合併しているぜんそくは、合併していないぜんそくよりも発作を起こしやすく、症状をコントロールすることが難しいです。

 アレルギー性鼻炎を合併しているケースでは、鼻炎の治療も非常に重要であり、「抗ヒスタミン薬」や「ロイコトリエン受容体拮抗(きっこう)薬」を併用するのが一般的です。日本では抗ヒスタミン薬のうち、<第二世代>といわれる薬剤の一部がぜんそくに保険適用されています。また、ロイコトリエン受容体拮抗薬は、アレルギー性鼻炎にもぜんそくにも保険が適用されています。小児ぜんそくに対しては、内服のロイコトリエン受容体拮抗薬を投与することからスタートし、吸入ステロイドを併用していくケースが多いです。

 最後に、アレルギー治療の根本は、原因となるアレルゲンを回避することです。ダニやほこり、ペットの抜け毛といったアレルゲンの暴露量を減らすために、生活環境を整えることが何よりも重要です。


白石内科クリニック
干野 英明 院長


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