2022年9月22日木曜日

脂漏(しろう)性皮膚炎

ゲスト/宮の森スキンケア診療室 上林 淑人 院長


脂漏性皮膚炎とはどのような病気ですか。

 鼻や耳の周囲、おでこや頭皮など体の中で皮脂の多い場所(脂漏部位)に起こる皮膚炎です。皮膚が赤くかさついて剥がれたりかゆみを伴ったりします。頭皮ではフケが多くなり、かゆみを伴うことが多いです。

 脂漏性皮膚炎の原因は単一的なものではなく、いろいろな要因が影響して発症、悪化すると考えられています。その要因の一つは、皮脂が皮膚に常在するマラセチア菌という真菌(カビの仲間)などに分解された結果、刺激物となりそれによって炎症が起こると言われています。その他、化粧品による肌への負担、洗顔不足や過剰な洗顔など間違った洗顔方法、睡眠不足や疲労、ストレスなどで皮脂分泌が増えること、偏った食生活や野菜(特に緑黄色野菜)不足などによるビタミン類の不足などさまざまです。体質的、遺伝的素因によることもあります。


診断と治療、予防について教えてください。

 診断では似たような症状を伴うアトピー性皮膚炎や、鼻や頬の周囲など顔の赤みが特徴の「酒さ」との鑑別が重要です。

 治療は炎症を抑える塗り薬が中心となります。必要に応じてマラセチア菌の増殖を抑える抗真菌薬や皮脂分泌を調整するビタミン剤、かゆみを抑える内服薬を処方することもあります。症状が消えたり再発したりを繰り返すのも特徴で、根気よく治療を続けることが大切です。

 治療以外に大切なことは生活習慣の改善が非常に重要です。小まめな洗顔、洗髪、入浴で過剰な皮脂を落とし清潔に保つことが基本です。乾燥を防ごうと油分の多い基礎化粧品などを過剰に使用していると、皮脂を閉じ込め脂漏性皮膚炎を引き起こしてしまうことがあります。特に、クリームや美容オイルなどを重ねづけすると、肌表面の油分が多くなりすぎるので注意してください。

 また、野菜や魚などを多く摂取してバランスの良い食生活を心掛けましょう。休息や睡眠を十分に取り、規則正しいリズムで生活し、ストレスや疲労をため込まないように気を付けてください。しぶとく再発しやすい皮膚炎ですが、気にならない程度にうまくコントロールできる皮膚疾患です。顔の赤みや頭のフケ、かゆみでお悩みの人は、自己判断せずに医療機関を受診してください。

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