2012年4月4日水曜日

動脈硬化

ゲスト/みどり内科クリニック 小田 朗 副院長

動脈硬化とはどのような病気ですか。
 動脈硬化とは、血管の弾力性が失われて硬くなり、血液の通り道が狭くなったり、血液の流れが滞ったりする状態を指します。血管が完全に詰まったり、血管の内側からはがれ落ちた物質が血液中を流れ、細い血管を詰まらせたりするケースもあります。脳につながる大切な血管である頸(けい)動脈が硬くなると、脳に十分な血液が流れなくなる恐れもあります。
 動脈硬化は、サイレントキラー(静かなる殺人者)ともいわれています。それは動脈硬化そのものには自覚症状がないからです。加齢とともに静かに進行し、ある日突然、脳卒中や心筋梗塞など命にかかわる疾患を起こして初めて動脈硬化に気付くというケースも多いのです。
 動脈効果を引き起こす原因としては、高血圧、高脂血症、糖尿病、メタボリック・シンドローム、肥満、喫煙、動脈硬化の家族歴などが挙げられます。動脈硬化はある日急に表れる症状ではなく、若い頃からの生活習慣の積み重ねによる“血管の履歴書”といえます。つまり、動脈硬化の予防は若いうちから行う必要があるのです。

動脈硬化の予防について教えてください。
 動脈硬化の予防には、定期的な検査を受診することが何よりも大切です。特に有効と思われる検査が、頸(くび)の左右に超音波をあてる頸動脈エコーです。この検査では、動脈硬化を簡単に視覚化して調べることが可能です。痛みや被ばくもなく定期的に検査を行えます。検査効果を過去のデータと比較できるので、高血圧、高脂血症などの治療が適切かどうか、実際に動脈硬化の進行を阻止できているかどうかの効果判定ができ、その結果に応じて治療を変更したり、生活習慣の改善を促したりすることができます。患者さんと医療者が共通の目標を持つ動機付けになるという利点もあります。さらに、頸動脈は全身の血管の中で、もっとも動脈硬化が生じやすいという特徴があるので、全身の動脈硬化の“代表”として捉えることもできます。
 頸動脈エコーは、動脈硬化のある人、動脈硬化が疑われる人には保険適用があります。動脈硬化のリスク要因を持つ人、検診などで脳梗塞が疑われたり、無症候性脳梗塞があると指摘された人は、一度頸動脈エコーで動脈硬化の状態を自分の目で確かめてみることをお勧めします。

2012年3月28日水曜日

コンタクトレンズの取り扱い方

ゲスト/札幌エルプラザ 阿部眼科 阿部 法夫 院長

コンタクトレンズ初心者が注意すべき点を教えてください。
 この春、コンタクトレンズ(CL)の使用を考えている人も多いと思います。ところでCLが医療機器の中でもっともリスクが高いとされる“高度管理医療機器”に分類されていることをご存じですか。緑膿菌やアカントアメーバーという原虫による重篤な角膜感染症の報告、装用者の10%にみられるCL関連眼障害への適切な管理が必要なためです。ただし、ほとんどは軽度の障害なので、必要以上に怖がることはありません。
 CLにもハードやソフトなどいくつかの種類はありますが、いずれも装用中の角膜はドライアイ、低酸素状態になります。装用時間の限度を超えたり、装用したままの就寝を繰り返したりすると、角膜障害を引き起こし、感染症などにもかかりやすくなります。また、使い捨て、頻回交換、定期交換が定められているタイプのレンズでは、使用期限を厳守する必要があります。

眼障害を引き起こさないためのレンズケアについて教えてください。
 まず、日ごろからせっけんを使って丹念に手指を洗う習慣をつけてください。レンズに付着したタンパク、脂肪などはアレルギー性結膜炎の原因となります。漬け置き洗浄を指定しているレンズもありますが、片面20秒以上のこすり洗いは絶対に必要です。洗浄・すすぎ・保存・消毒を1液で行うソフトCL用消毒液(MPS)を使う場合も同様です。
 乱視のある人はレンズ選びの誤りも眼障害の原因となります。また、アレルギー結膜炎やドライアイなどの眼の病気のある人は、適切なレンズを使用し、装用ルールを守り、きちんとレンズケアをしていても眼障害を起こすことがあります。
 近年、化粧品がCLの表面に付着していることが、眼障害の原因となっているケースが目立ちます。化粧の前にCLを入れること、化粧を落とす際にまずCLをはずすこと、そして、指先に残ったアイシャドウやクレンジングがCLに付着しないように気を付けることを徹底しましょう。また、まつ毛の生え際より内側にアイメークをすると、マイボーム腺という涙成分の中の脂成分の分泌の減少により、ドライアイや感染症を誘発しやすくなるので注意が必要です。
 装用ルール・時間・サイクルの厳守と丁寧なケアはもちろんですが、定期的な眼検診も必須です。少しでも違和感を感じたら、すぐに眼科を受診することをお勧めします。

2012年3月24日土曜日

便秘

ゲスト/医療法人社団 いし胃腸科内科 石忠明副院長

便秘の原因について教えてください。
 一般的には便回数が週2回以下の状態を便秘と呼んでいます。排便の頻度も大事ですが、それよりも規則的に、すっきりと残便感のない排便ができているかが重要です。
 一般的に女性の方が便秘になりやすく、慢性的な便秘に長年苦しんでいる女性も多いようです。女性が便秘になりやすい主な原因は、腹筋が弱い、運動不足、加齢、ストレスが挙げられます。
 原因や症状は人それぞれ異なりますので、まずは自分の便秘の原因を見つけることが大切です。腸閉塞(へいそく)、大腸がん、虫垂炎など腹部を手術した後の癒着が原因となって便秘が引き起こされることがあります。また、精神的ストレスにより自律神経のバランスが乱れ、便秘がちになるケースもあります。加齢による腹筋の筋力低下や、体内の水分不足が便秘の原因になっていることもあります。このほか、薬の副作用による便秘の可能性も考えられます。

便秘の治療について教えてください。
 便秘の治療の基本は、生活習慣の改善と食生活の改善、下剤の使用です。規則的な排便習慣を身に付け、便意を逃がさないようにします。大腸の運動を活発にさせるため、軽めの運動を心掛けることや、ストレスをためずに発散することも大切です。また、朝、昼、晩の規則正しい食事と食物繊維の多い野菜や果物、海草類をたっぷり取るようにしましょう。適度な水分の摂取も大事です。下剤を服用する場合は、便秘の原因や症状に応じて、薬が使い分けられます。下剤はあくまでも一時的な治療であり、正しい生活習慣を身に付け、腸内の環境を整え、自然な排便のリズムを作る心掛けが大切です。
 下剤の使用が逆効果になることもあります。糞便が固い方は柔軟化させる内服薬、腸の動きが低下している方は腸を刺激して出す薬が効果的です。自己判断で、安易に市販の下剤に頼るのは危険です。長期間便秘が改善しない場合は、大腸がんなど重大で深刻な原因が隠れているケースもあります。一度専門医を受診し、便秘の原因をきちんと見極め、適切な対処を行うようにしましょう。

2012年3月14日水曜日

長引くせき

ゲスト/医大前南4条内科 田中 裕士 院長

長引くせきの原因について教えてください。
 「風邪をひいた後、いつまでもせきが残っている」「せき・たんがずっと続いて苦しい」など、長引くせきに悩んでいる患者さんが増加しています。せきというのは、風邪以外にも、さまざまな呼吸器の病気によって現れる症状の一つです。また、せきの原因が一つだけでなくいくつも重なって長引いているケースもあります。そのうち治まるだろうと放置していると、夜眠れなくなる可能性もあるので、きちんと原因を見極め、それに応じた治療をする必要があります。
 せきには3週間ほどで治まる急性のせきと、8週間以上続く慢性のせきがあります。急性のせきの場合、一般的な風邪、マイコプラズマ肺炎や百日咳(ぜき)、結核などの感染症が原因であることが多く、慢性の場合は感染症以外が原因であることが多いです。感染症以外によるせきの原因として代表的なものには、ぜんそく、せきぜんそく、アトピー咳嗽(がいそう)、胃食道逆流症、慢性閉塞(へいそく)性肺気腫(COPD)のほか、アレルギー性鼻炎や心因性によることもあり、肺がん、間質性肺炎でも症状が進行するとせきが出るようになります。
 特定の季節だけせきが出るケースは、アレルギーが原因によるせきの疑いがあります。スギ花粉がほとんど飛散しない北海道では、春の花粉症といえばシラカバ花粉症です。北海道では3月からハンノキ、4月中旬からシラカバの花粉の飛散時期なので注意が必要です。

長引くせきの診断と治療について教えてください。
 せきの持続期間やせきが出る時間帯、たんの有無などから原因を考え、必要に応じて胸部エックス線検査や血液検査、喀痰(かくたん)検査を行うことで診断します。さらに、精密な検査が必要であれば、肺機能検査や気道過敏性検査、呼気一酸化窒素測定などを行い、せきの原因を(場合によっては複数に重なり合った原因を)特定していきます。
 せきを完全に止めるには、原因になっている病気を治さなければなりません。せきの背後にある病気によって適切な治療はさまざまです。長引くせきに対し、自己判断でせき止めを服用していても、ほとんど効果は期待できません。むしろ害になることもあります。たかが“せき”だからと軽く考えず、まずは専門医療機関を受診して、正しい診断を受けることをお勧めします。

2012年3月7日水曜日

職場のメンタルヘルス

ゲスト/医療法人五風会 さっぽろ香雪病院 橋本 真一 医師


職場におけるメンタルヘルスについて教えてください。
 平成10年以降、自殺者総数が3万人を超えるという事態が続く中で、労働者の自殺者数も高い水準で推移しています。日々の診療の中で、仕事上のストレスを抱えて、うつ状態になっている方が増えていることを実感します。以前は、過重労働(長時間労働)によるうつ状態、近年は、従来の概念では捉えきれないうつ病、いわゆる“現代型うつ”の症状で受診される方が目立ちます。
 身体疾患と同様に心の病気も、早期発見・早期治療が重要です。初期対応が遅れると、病状が悪化し、治るまで長期化することもあります。ところが多くの企業では、メンタルヘルスの不調者に対し、必ずしも適切に対応できているとはいえず、職場復帰に関してもさまざまな問題が起きているケースがみられます。回復状況はどのくらいか、出社に耐えられるかどうかなど、それぞれの事例を正確に評価、把握できていないことが主な理由で、会社の規模にもよりますが、産業医がうまく機能していないことが大きな課題として挙げられます。
 うつ病に対する正しい知識と対処方法が、職場でますます求められるようになっています。組織としてはストレスケアと啓発教育、産業医が機能する体制の整備など支援強化を重視する必要があります。

職場のメンタルヘルス対策について教えてください。
 働く人やその家族、上司や管理職などの企業側、双方がメンタルヘルスに気を配ることが大切です。セルフケアとしては、例えばよく眠れない、食欲がないなどの状態が2週間以上続いている場合は、うつ病など心の病気のサインである可能性がありますので、社内の産業医に相談する、または外部の専門医療機関を受診することをお勧めします。上司など管理職の立場であれば、日ごろから部下に対する観察、気付き、声掛けなどが必要です。遅刻や欠勤が増える、元気がない、不注意からの失敗が増えるなど、目に見えて変化が分かるサインが多くあります。ストレスのサインを見つけたら、管理職から歩み寄り、社員と面接し、必要なら社内外の専門機関への相談を勧める必要があります。
 職場のメンタルヘルス対策のために、企業の立場に立った支援、助言をしてくれる機関に各都道府県の「産業保健推進センター」「地域産業保健センター」がありますので、これらを利用するもの一つの手です。

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