2012年3月14日水曜日

長引くせき

ゲスト/医大前南4条内科 田中 裕士 院長

長引くせきの原因について教えてください。
 「風邪をひいた後、いつまでもせきが残っている」「せき・たんがずっと続いて苦しい」など、長引くせきに悩んでいる患者さんが増加しています。せきというのは、風邪以外にも、さまざまな呼吸器の病気によって現れる症状の一つです。また、せきの原因が一つだけでなくいくつも重なって長引いているケースもあります。そのうち治まるだろうと放置していると、夜眠れなくなる可能性もあるので、きちんと原因を見極め、それに応じた治療をする必要があります。
 せきには3週間ほどで治まる急性のせきと、8週間以上続く慢性のせきがあります。急性のせきの場合、一般的な風邪、マイコプラズマ肺炎や百日咳(ぜき)、結核などの感染症が原因であることが多く、慢性の場合は感染症以外が原因であることが多いです。感染症以外によるせきの原因として代表的なものには、ぜんそく、せきぜんそく、アトピー咳嗽(がいそう)、胃食道逆流症、慢性閉塞(へいそく)性肺気腫(COPD)のほか、アレルギー性鼻炎や心因性によることもあり、肺がん、間質性肺炎でも症状が進行するとせきが出るようになります。
 特定の季節だけせきが出るケースは、アレルギーが原因によるせきの疑いがあります。スギ花粉がほとんど飛散しない北海道では、春の花粉症といえばシラカバ花粉症です。北海道では3月からハンノキ、4月中旬からシラカバの花粉の飛散時期なので注意が必要です。

長引くせきの診断と治療について教えてください。
 せきの持続期間やせきが出る時間帯、たんの有無などから原因を考え、必要に応じて胸部エックス線検査や血液検査、喀痰(かくたん)検査を行うことで診断します。さらに、精密な検査が必要であれば、肺機能検査や気道過敏性検査、呼気一酸化窒素測定などを行い、せきの原因を(場合によっては複数に重なり合った原因を)特定していきます。
 せきを完全に止めるには、原因になっている病気を治さなければなりません。せきの背後にある病気によって適切な治療はさまざまです。長引くせきに対し、自己判断でせき止めを服用していても、ほとんど効果は期待できません。むしろ害になることもあります。たかが“せき”だからと軽く考えず、まずは専門医療機関を受診して、正しい診断を受けることをお勧めします。

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