2012年3月28日水曜日

コンタクトレンズの取り扱い方

ゲスト/札幌エルプラザ 阿部眼科 阿部 法夫 院長

コンタクトレンズ初心者が注意すべき点を教えてください。
 この春、コンタクトレンズ(CL)の使用を考えている人も多いと思います。ところでCLが医療機器の中でもっともリスクが高いとされる“高度管理医療機器”に分類されていることをご存じですか。緑膿菌やアカントアメーバーという原虫による重篤な角膜感染症の報告、装用者の10%にみられるCL関連眼障害への適切な管理が必要なためです。ただし、ほとんどは軽度の障害なので、必要以上に怖がることはありません。
 CLにもハードやソフトなどいくつかの種類はありますが、いずれも装用中の角膜はドライアイ、低酸素状態になります。装用時間の限度を超えたり、装用したままの就寝を繰り返したりすると、角膜障害を引き起こし、感染症などにもかかりやすくなります。また、使い捨て、頻回交換、定期交換が定められているタイプのレンズでは、使用期限を厳守する必要があります。

眼障害を引き起こさないためのレンズケアについて教えてください。
 まず、日ごろからせっけんを使って丹念に手指を洗う習慣をつけてください。レンズに付着したタンパク、脂肪などはアレルギー性結膜炎の原因となります。漬け置き洗浄を指定しているレンズもありますが、片面20秒以上のこすり洗いは絶対に必要です。洗浄・すすぎ・保存・消毒を1液で行うソフトCL用消毒液(MPS)を使う場合も同様です。
 乱視のある人はレンズ選びの誤りも眼障害の原因となります。また、アレルギー結膜炎やドライアイなどの眼の病気のある人は、適切なレンズを使用し、装用ルールを守り、きちんとレンズケアをしていても眼障害を起こすことがあります。
 近年、化粧品がCLの表面に付着していることが、眼障害の原因となっているケースが目立ちます。化粧の前にCLを入れること、化粧を落とす際にまずCLをはずすこと、そして、指先に残ったアイシャドウやクレンジングがCLに付着しないように気を付けることを徹底しましょう。また、まつ毛の生え際より内側にアイメークをすると、マイボーム腺という涙成分の中の脂成分の分泌の減少により、ドライアイや感染症を誘発しやすくなるので注意が必要です。
 装用ルール・時間・サイクルの厳守と丁寧なケアはもちろんですが、定期的な眼検診も必須です。少しでも違和感を感じたら、すぐに眼科を受診することをお勧めします。

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