2022年10月6日木曜日

リウマチ性多発筋痛症

 ゲスト/医療法人 知仁会 八木整形外科病院 安田 泉 副院長(内科)


リウマチ性多発筋痛症とはどのような病気ですか。


 運動も何もしていないのに、急に首から肩、腰から足の筋肉に激しい痛みを感じる。ある朝突然、筋肉痛のような強い痛みやこわばりで布団から起き上がれない。そんな症状が出ている人は、もしかしたら「リウマチ性多発筋痛症」かもしれません。

 リウマチ性多発筋痛症は、膠原病と呼ばれる病気の一つで、原因不明の慢性炎症性疾患です。高齢者、特に女性に多く発症します。首や肩、腰、太ももの筋肉痛が代表的な症状で、「急に」「ある日突然」起こるのが特徴です。痛みの程度は個人差があり、我慢できる範囲の痛みという人もいれば、激痛で自分では動くこともできないというケースもあります。筋肉痛のほか、発熱や全身倦怠感などかぜに似た症状を伴うこともあります。

 リウマチという名前は付いていますが、関節リウマチとは別の病気です。朝のこわばりや発熱など症状は似ているところもあるのですが、痛い場所の中心が筋肉と関節で違っており、また、血液検査でも〈リウマチ因子〉という項目は通常陰性となります。


診断と治療について教えてください。


 この病気は、関節リウマチやほかの膠原病、炎症性疾患などと共通する症状が多く、また、診断を確定する特有の検査がないため、過去に一度も症例を経験していない医師にとっては区別がつけにくいかもしれません。症状の聞き取り(問診)や血液検査などを合わせ、総合的に診断していくことになりますが、血液検査で炎症反応をみる〈CRP〉や〈赤沈〉という項目の高いことが診断の有力な決め手となります。

 治療はステロイド剤の内服が中心で、非常によく効きます。多くの場合、1〜3日以内に効果がみられます。症状が安定したらステロイドを減量していきますが、早期の減量や中止は再発を起こしやすいので慎重な判断が必要です。また、ステロイドは長期間内服すると、糖尿病や高血圧症、骨粗しょう症といった副作用のリスクがあります。薬の副作用をマネジメントしながら、リスクを許容できる範囲で安全に使っていきます。

 突然の筋肉の痛みは、我慢せずに膠原病に詳しい内科や整形外科を受診し、痛みの原因となる病気を特定して、できるだけ早く適切な治療を始めてほしいと思います。

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