2011年6月7日火曜日

脂漏(しろう)性皮膚炎

ゲスト/宮の森スキンケア診療室 上林 淑人 院長

脂漏性皮膚炎とはどのような病気ですか。 

 体の中で脂の多い部分(頭、鼻の周り、耳など)に起こる皮膚炎です。頭皮では、脂っぽいフケや皮膚の赤み、顔では鼻の周囲や髪の生え際、耳などに脂っぽい赤みが見られ、ボロボロと皮がむけるようになります。個人差はありますが、かゆみを伴うこともあります。
 原因は、体質や睡眠不足、ストレスなどによる皮脂の過剰分泌、化粧品の刺激による肌への負担、洗顔不足などのスキンケア不足、不規則な食生活や野菜不足によるビタミンB不足などさまざまですが、原因がはっきり分からないことも多く、診断では似たような症状を伴うアトピーやしゅさ、ニキビとの鑑別が重要です。治療は炎症を抑える塗り薬が中心となります。必要に応じてビタミン剤や、かゆみを抑える内服薬を処方することもあります。また漢方薬の内服の併用が有効である場合もあります。脂漏性皮膚炎は症状が治まったり、再発したりするのが特徴ですので、根気よく治療を続けることが大切です。

脂漏性皮膚炎の予防について教えてください。

 脂漏性皮膚炎の予防法としては、日常生活の改善が挙げられます。脂肪分の多い食事に偏らないように、野菜や果物を十分に摂取してバランスの良い食生活を心掛けることが重要なポイントです。特に、脂漏性皮膚炎に有効とされているビタミンBを含む緑黄色野菜を十分に取るようにしましょう。また、ストレスや疲労を少しでも軽減するように注意し、規則正しい生活、十分な睡眠をとることも大切です。そのほか、小まめな入浴、洗髪、洗顔で全身を清潔に保つこと、日光(紫外線)を長時間浴びるのを避けることなどに気を付けるといいでしょう。
 この季節は、入学や就職、引っ越しなど新生活をスタートさせる人の多い時期です。自分を取り巻く環境の変化によって緊張を強いられたり、不安を感じたりすることがストレスとなって、脂漏性皮膚炎を引き起こしているケースもよく見受けられます。しぶとく再発しやすい皮膚炎ではありますが、医師の正確な診断と適切な治療を受ければ、気にならない程度にうまくコントロールできる疾患です。フケや頭のかゆみ、顔の赤みでお悩みの人は、自己判断せずに、医師の診断を受けてください。

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