2011年6月27日月曜日

乳がん検診

ゲスト 南郷にじの橋メディカルクリニック 工平 美和子 院長

乳がんについて教えてください。
 年間約4万人の方がかかり、1万人以上の方が亡くなっている乳がんは、現在日本の女性のがんの中で患者数の最も多いがんです。約20人に1人の女性が生涯いつか乳がんにかかるといわれ、今後も増加が予想されています。さらに、乳がんにかかるピークは40〜50代。仕事や子育てに多忙を極める時期であり、ご本人だけでなく周囲も巻き込み、大変な影響を及ぼしてしまうケースも多いようです。
 その一方で、乳がんは早期に発見できれば、約90%の人が治癒する「治すことができる」数少ないがんです。初期の段階で見つけさえすれば、ほとんど命を脅かすことはありません。また、早期発見なら乳房を温存するなど、自分の希望する手術法や治療法を医師と相談して選択できる可能性も高くなります。乳がんは見つかることが恐いのではなく、知らないままでいるのが恐い病気なのです。


乳がん検診について教えてください。
 乳がんの早期発見には、定期的な検診の受診と自己検診が何よりも重要です。医療機関での乳がん検診では、「視触診」「マンモグラフィー」「超音波検査」などが行われます。視触診は、乳房を観察し、乳房やリンパ節の状態を触っての検査です。マンモグラフィーは、乳房専用のX線装置で、小さなしこりだけでなく、乳がんの初期状態である微細石灰化を発見し、触っても分からない早期乳がんを見つけることができます。現在、厚労省は40歳以上の方を対象に、2年に1度、視触診とマンモグラフィーによる乳がん検診を推奨していますが、受診率は「2割台」に推移している状況です。受診率が低い理由の一つに、マンモグラフィー検査への恐怖心があるようです。確かに、撮影の準備のため乳房を圧迫する際に多少の痛みを伴いますが、わずか数秒で終わる撮影ですから、そこから得られる安心に勝るものはないと思います。
 超音波検査は、超音波を乳房にあててエコーを画像として診断する方法です。この検査では、マンモグラフィーでは映し出せないしこりを見つけることができます。しかし、逆に超音波検査では、マンモグラフィーで検出できる微細な石灰化は、見つかりにくい傾向があります。このように二つの画像診断は、それぞれ得意な分野が異なるため、両者を併用することが大切といえます。

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