2011年5月6日金曜日

身体を守る免疫のしくみ

ゲスト/琴似駅前内科クリニック 高柳 典弘 院長

免疫とはどのようなものですか。

 免疫とは、細菌やウイルス、がん細胞などが体内へ侵入してきたときに、それらに立ち向かい、退治してくれる仕組みをいいます。免疫には、「自然免疫」と「獲得免疫」があります。自然免疫とは、生まれたときから自然に備えている免疫のことで、その中心的役割を担うのがNK細胞、マクロファージ、顆粒(かりゅう)球や補体などです。獲得免疫に先立って発動される初期の生体防御システムで、次のような働きを受け持っています。
 まず【第一の砦(とりで)】として、①細菌やウイルスなどの侵入を皮膚や鼻、口などの粘膜が防ぐ。②切り傷や火傷の場合、傷口から細菌による二次感染を防ぐ。③NK細胞ががん細胞などの監視のため、常に体内をパトロールしている。
 次に【第二の砦】として、①細菌やウイルスなどが侵入、感染すると抗体や補体、NK細胞などが攻撃する。②パトロール中のNK細胞が、がん細胞を発見した場合、攻撃を開始する。
 そして【第三の砦】として、①顆粒球が動員され、マクロファージとともに細菌などを殺傷する。②マクロファージがT細胞のヘルパーT細胞に細菌侵入、異物の発見の信号を送る。③活性化したNK細胞が単独でがん細胞を攻撃する。

獲得免疫について教えてください。

 自然免疫は、すべての侵入者に対して同じように働き、同じ敵が繰り返し侵入しても、その効果に変化はありません。獲得免疫は、自然免疫をくぐり抜けて侵入してきた外敵に対して集中攻撃を仕掛ける免疫で、後天的に獲得されていく免疫です。いろいろな細菌やウイルスなどに感染することで身に付く免疫で、T細胞、B細胞、サイトカイン(免疫系の指揮命令を伝達するメッセンジャーであり、戦いをコントロール・教育する機能を持つ重要な働きをする)や抗体などからなります。これらが【第四の砦】として、①マクロファージとヘルパーT細胞が共同でサイトカインを放出する。②サイトカインで活性化したキラーT細胞、B細胞などが細菌や異物(がん細胞など)を攻撃、殺傷する。③細胞が抗体を大量生産するとともに、一部のB細胞などに攻撃対象の記憶が残り、免疫を獲得する、といった働きを担います。
 以上のように免疫システムは、侵入者を攻撃して私たちの体を守る防衛戦隊のようなものであり、自然免疫と獲得免疫の両免疫が状況に応じて、適切に働くことで、日々の健康を維持しているのです。

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