ゲスト/大道内科・呼吸器科クリニック 大道光秀 医師
花粉症とそれに続くせきについて教えてください。
スギ花粉が主な原因となる本州・四国・九州の花粉症は終息しましたが、北海道の「花粉症」は今がシーズンです。本道での今ごろの花粉症の原因は、主にシラカバ、ハンノキによるもので、花を付ける4月下旬からがシーズンです。さらに、カモガヤなどの牧草やヨモギによる花粉症が9月ごろまで続きます。主な症状は、しつこい鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみなどで、アレルギー体質の人ほど罹患(りかん)しやすいといえます。今まで花粉症ではなかった人がストレスや疲れ、寝不足などが引き金となって発症することもあります。シラカバ花粉症の人の中には、リンゴやモモ、サクランボやキウイなどの果物を摂取すると、口の中がかゆくなったり唇が腫れたり、のどがかゆくなったりする果物アレルギーの人も見られるので、注意が必要です。アレルギーを起こす原因物質は、血液検査で比較的容易にわかるので、一度検査を受けて、アレルギー物質を可能な限り避けるようにします。また、花粉症の体質の人では、感冒をきっかけとしてせきやぜんそく発作を起こすことがあります。この場合、夜間や早朝に多いせきが特徴です。感冒が長引いていると思って、風邪薬だけでごまかしていると、せきはさらにひどくなり、夜も眠れないほどのせきになります。
具体的な治療、予防方法について教えてください。
根本的に治すなら、時間を掛けて体質を改善していくしかありません。今現在の症状を緩和するには、抗アレルギー剤の服用、点鼻薬、点眼薬などがあります。毎年のように発症する人は、原因の花粉が飛び始める2週間前くらいから、予防的に抗アレルギー剤を内服すると、シーズン中の症状が軽減されます。症状が出てしまってからでも、なるべく早くに服用すると重くならないので、早期の受診をお勧めします。予防法としては、花粉の飛散量が多い晴れた風の強い日は外出を控えたり、外出時にマスクを装着する。外出先から戻ったら、家に入る前に衣類や髪、持ち物に付いた花粉を払い、手洗い、うがいを行うといった基本的なことが効果的です。在宅中も、晴れた日には窓を開けない、掃除機をこまめにかける、フィルター付き空気清浄機の利用などで、花粉の影響を少なくすることができます。またせきのひどい人やゼイゼイする人は早めに呼吸器専門医を受診し、胸部写真をチェックしたり、肺機能検査を受けてぜんそくが無いかどうか調べ、適した治療を受けなければなりません。