2003年5月7日水曜日

「動脈硬化症と糖尿病」について

ゲスト/青木内科クリニック 青木伸 医師

動脈硬化症について教えてください。

 動脈は本来弾力性があるものですが、動脈壁に脂肪などが沈着したり、動脈壁の筋肉に弾力の無い繊維が増えたりすると硬くなります。血管の内側に粥(じゅく)状の塊(かたまり)ができ、血管が狭くなり本来の働きが悪くなります。また、塊を覆う繊維性皮膜が破れると、中の粥状のものが血管に流れ出て、血栓となって血液の流れを止めてしまいます。脳の血管が詰(つ)まると脳梗塞(こうそく)、心臓では心筋梗塞、足では壊疽(えそ)になります。これらは生命に関わる重大な病気ですから、動脈硬化症は早期に診断、治療を行う必要があります。動脈硬化症による重篤な症状を避けるには、粥状の内容物を減らすことと、内容物を覆っている繊維性皮膜を丈夫にすることが肝心です。

予防方法を教えてください。

 動脈硬化症は、主に生活習慣病の合併症として現れます。危険因子である糖尿病、高脂血症、高血圧症をきちんと治療し、管理していくことが大切です。日本には非常に多くの糖尿病患者、そして予備軍がいます。かなり悪化するまで自覚症状が無いため、健康診断などで「血糖値が高い」といわれても放置している人が多いのですが、動脈硬化症から、脳梗塞、心筋梗塞に至ることや、高血糖が原因で数年後から十数年後に腎不全(透析)、失明など重篤な症状に発展する場合があります。手遅れになる前に、専門医の治療を受けてください。治療は主に投薬と日常生活の中での数値管理です。過去1~2カ月間の平均血糖値を表すHbA1cの正常値は5.8%以下ですが、糖尿病患者の場合、この値を6.5%以下にしておくと血管の余病は出ません。また、糖尿病患者の約半数は高脂血症や高血圧症を合併しています。コレステロール値や中性脂肪値などにも注意を払うことが必要です。定期的な通院を続け、適切な投薬と数値管理を行えば、日常生活には支障ありません。生活習慣病は遺伝的要素も強く、家族に糖尿病や高脂血症の人がいる場合は、注意が必要です。子どもや若者も例外ではありません。また、欧米型の肉や脂肪が多い食事を、野菜中心の和食にするなど、日常生活を見直してみてください。

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