2003年5月21日水曜日

「さまざまな痛みの治療法」について

ゲスト/十善クリニック 水柿 功 医師

どのような痛みでペインクリニックを受診する人が多いですか。

 一番多いのは腰痛です。ぎっくり腰と呼ばれる急性腰痛症、腰椎(ようつい)椎間板(ついかんばん)ヘルニア、脊(せき)柱管狭窄(きょうさく)症、腰椎手術後腰痛症など、腰の痛みに苦しんでいる人が多くいます。痛みが生じると血行が悪くなり、交感神経が緊張し発痛物質が産生され、さらなる痛みに苦しむことになります。「いろいろな治療を受けたが痛みが取れない」「年だから腰が痛いのは当たり前」とあきらめてしまう人もいます。しかし、出歩けなくなったり、気持ちが落ち込んだり、痛みは日常生活に大きな影響を与えます。神経ブロックの治療効果を知り、現在の痛みを取ることができるならと、ペインクリニックを受診する方が多いです。また、帯状疱疹(たいじょうほうしん)後の神経痛を訴える方も多いです。帯状疱疹は水痘(すいとう)ウィルスが原因です。高齢者やストレスや過労などで免疫機能が低下している人に多く発症します。激痛を伴うのが大きな特徴で、皮膚表面上の症状は改善されても、痛みが残る場合があります。

治療法について教えてください。

 ペインクリニックでは、神経ブロックといって、神経に局所麻酔薬を作用させ、痛みを遮断します。急性腰痛症や腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などの治療には、硬膜外ブロックを行います。脊髄(せきずい)を含む硬い膜の外側に局所麻酔薬を注入します。痛みを取ることにより、血液が循環し、痛みの発痛物質の産生が抑制され、筋肉の緊張が緩和し、組織の修復を促します。帯状疱疹の場合は、早期に神経ブロックを行えば、帯状疱疹後神経痛に悩まされることはありません。帯状疱疹後神経痛になってからでは、完治が難しくなります。初期の皮膚症状が出た時点で、ぜひ神経ブロック療法を受けることをお勧めします。1度の治療で改善することもあれば、何度か治療することもあります。麻酔注射ということで躊躇する人もいますが、経験豊富な専門医であればまず危険はありません。痛みに悩んでいる人は、1度ペインクリニックを受診することをぜひご検討ください。

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