2003年6月4日水曜日

「腰部脊(せき)柱管狭窄(きょうさく)症」について

ゲスト/つつみ整形外科クリニック 堤 正樹 医師

腰部脊柱管狭窄症について教えてください。

 腰部脊柱管狭窄症の疾患になると、歩行時に腰やでん部から足にかけて、引きつるようなしびれと痛みを感じます。そのまま歩き続けると症状がひどくなりますが、座るなどして少し休むと痛みが去ります。歩き出してしばらくすると、また痛みがぶり返すというのが典型的な症状です。これを間歇性跛行(かんけつせいはこう)といいます。足にしびれを感じるため、腰部の疾患と思わない人もいるのですが、原因は腰にあります。50歳代以降の人に多く、放っておくとだんだん痛みが強くなることもあり、歩ける距離が短くなってきます。背骨の中心にある脊柱管と呼ばれる神経の通る孔が、骨の変形などによって狭くなり、脊柱管内の神経を圧迫するのが原因です。まれに先天性の人もいますが、ほとんどが加齢によるものです。男性、女性とも同じ程度に発症します。似た症状を示すものとして、末梢に血液が流れず強い痛みを生じる下肢の閉塞(へいそく)性動脈硬化症があります。閉塞性動脈硬化症の場合、専門医に正確に診断してもらう必要があります。

予防法、治療法を教えてください。

 残念ながら自分で予防することはできません。腰や足の痛みは日常生活に大きく影響します。放っておいても自然に治癒するものではないので、なるべく早くに整形外科の専門医を受診してください。治療方法としては、ビタミン剤や血行改善剤などの内服、キセノン光線などの理学療法があります。また、前傾姿勢をとると痛みが軽減するため、前傾の姿勢に固定する特殊なコルセットを装着する場合もあります。これらの治療でも改善されない場合は外科手術となります。神経を圧迫している骨や靭帯(じんたい)などを除去して、ズレを修復し、孔を広げる手術を行います。十分に経験を積んだ専門医による脊椎(せきつい)手術は危険が少なく、入院期間も2~4週間で済みます。痛みが無くなると日常生活は大変楽になります。腰痛、足のしびれに悩んでいる人は、我慢せず、専門医に相談することをお勧めします。

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