2007年5月9日水曜日

「メタボリック・シンドローム」について

ゲスト/大通り内科クリニック 小森 克俊 医師

メタボリック・シンドロームについて教えてください。

 メタボリック・シンドロームとは、肥満、特に内臓に脂肪が蓄積し、さまざまな生活習慣病を引き起こしやすくなっている状態をいいます。2005年春に日本内科学会など8つの学会が合同で定義と診断基準を発表しました。
 肥満には、下腹部や腰のまわりなどに脂肪が蓄積する「皮下脂肪型肥満」と、内臓に脂肪が蓄積する「内臓脂肪型肥満」の2タイプがあります。そのうち「内臓脂肪型肥満」は外見からの判断が難しい場合がありますが、ウエストまわり(一番細いところではなく、おヘソの部分)が男性で85cm以上、女性で90cm以上、これに加えて、高脂血症、高血圧、糖尿病(予備軍を含む)のどれか2つ以上が当てはまれば、メタボリック・シンドロームと診断されます。高血圧や糖尿病などの生活習慣病は、それぞれの程度が軽くても、複数の症状が重なると動脈硬化が早く進行します。動脈硬化は日本人の3大死因のうち、脳血管障害と心疾患をもたらす病因の一つ。メタボリック・シンドロームと診断されたら、動脈硬化となりうる危険が高いということです。

日常生活でどのようなことに気をつければよいですか?

 糖尿病の主な原因は、食生活の欧米化による動物性脂肪の取り過ぎや運動不足。健康維持には、糖質が60%程度、脂肪とタンパク質がそれぞれ20~25%程度の食事が理想的ですが、これは米や野菜、魚を中心とした一般的な和食の数値と同じです。昔からこのような食事を続けてきた日本人は、欧米人に比べて膵臓(すいぞう)から分泌されるインスリンの量が少なく、元来糖尿病になりやすい体質を受け継いでいるといえます。体質にもよりますが、肥満、高血圧の人や、甘いもの、アルコール、高脂肪の食事を好む人は糖尿病予備軍の可能性があります。食事の内容をすぐに切り替えるのが難しければ、食べる量を減らし、適度な運動をするだけでも症状の改善が見込めます。
 健康で長生きするには、まず自分が予備軍かどうかを知ることが大切。40歳になったら年に1度は専門医の検診を受けましょう。

2007年5月2日水曜日

「ニキビの原因と治療法」について

ゲスト/たけだ皮膚科スキンケアクリニック 武田 修 医師

ニキビの原因について教えてください。

 就職して長時間お化粧をするようになった、疲れて洗顔せずに寝ることが多くなったなどの理由で、この時期急にニキビが増えたという方がいます。ニキビとは基本的に、皮脂による毛穴の詰まり。分泌される皮脂の量は一定ではなく、疲れやストレス、女性の場合は生理前などで、体内のバランスが崩れると増加します。便秘症があると、体外に排出すべき老廃物が皮脂腺から出て、毛穴が詰まりやすくなります。油分の多い食事、甘みの強い物、お酒、体を活性化させる辛いものなども皮脂の分泌を高めます。
 また、疲れやストレスで体内のビタミン消費量が増えると、ビタミン不足になり、皮脂の分泌が増えるので、牛乳やレバーなどビタミンB2、B6を多く含む食品を摂取するとよいでしょう。
 次に毛穴の外からの状態です。顔にかかる髪の毛や洗顔時の摩擦、オイルを含んだ化粧品などは、毛穴詰まりの原因となります。また、「自分は乾燥肌」と思い込んで油分の多いクリームをつけ過ぎると、肌は余計ガサガサになります。健康な肌は、たっぷりの水分と適度な油分で成り立っています。油分が必要なのは目元や口元。それ以外の場所には、まず化粧水で水分を十分に補給してください。

どのような治療法がありますか。

 毛穴に詰まった皮脂にばい菌がつき、なおかつ抵抗力が弱っている場合、腫れた赤ニキビや、「膿 (のうほう)」と呼ばれる中心にうみを持ったニキビができます。
 ばい菌の量を減らす飲み薬、表面の詰まりを溶かす塗り薬などがありますが、毛穴の詰まりぐせが解消されるわけではなく、薬をやめるとニキビを繰り返す場合もあります。まずは生活習慣や化粧方法を改め、それでもニキビができたら医療機関で保険診療を受けてください。
 改善しない場合は、ニキビができにくい肌にするための自費診療もあります。肌質に合わせたピーリング(不要な皮膚を薄くはがして新しい皮膚を導き出す)を行い、皮脂の分泌を抑制するビタミンC誘導体を含んだ美容液を浸透させ、肌を「再教育」する方法などです。医師からよく説明を受けたうえで行うことが大切です。

2007年4月25日水曜日

「早朝高血圧」について

ゲスト/北海道大野病院附属駅前クリニック 古口 健一 医師

早朝高血圧とは、どういった症状ですか。

 血圧は従来、病院へ行って医師の手によって測定されるものでしたが、最近は家庭用血圧計の普及によって、日常的に血圧を測定することができるようになりました。
 ご存じのように血圧は常に一定というわけではありません。病院で測定する血圧と、自分で測定した家庭での血圧、また日中職場で測った血圧が違うという現象が少なからず生じます。医師を前にすると血圧が高めになる症状は「白衣高血圧」、職場で血圧が高めになる症状は「職場高血圧」と呼びます。同様に、昼間の血圧には問題がないのに、早朝に高くなる場合は「早朝高血圧」と呼びます。検診などでは見つけづらい「仮面高血圧」の一種です。
 早朝高血圧の厳密な定義はありませんが、起床後早朝の家庭血圧が135/85mmHg以上で、日中~夜間の血圧よりも高い場合は早朝高血圧といえるでしょう。早朝は、心筋梗塞(こうそく)や脳卒中が発生しやすい時間帯でもあります。この時間帯の血圧コントロールが、脳心血管疾患の予防に重要な意味合いを持ちます。

早朝高血圧の見つけ方について教えてください。

 病院では発見されづらい高血圧なので、家庭での血圧測定が重要になります。家庭用血圧計で、起床時、昼間、就寝前の測定を続けて血圧の高い時間帯があれば、原因を考えます。
 職場での高血圧は、ストレスや喫煙に起因することが多いです。早朝の高血圧の原因としては、前夜の飲酒や就寝中の無呼吸症候群などが考えられます。しかし、一番注意が必要なのは、もともと高血圧で降圧剤の投薬を受けており、日中は薬で正常に保たれていても、就寝中に薬の効果が弱まり早朝に血圧が高い状態になる場合です。
 家庭用血圧計で朝の血圧が高いと分かったら、かかりつけの医師に数値を記録したメモを見せてください。24時間血圧計(ABPM)で測定すると、一日の血圧の動きをより正確に知ることができ、血圧管理に大いに役立ちます。早朝高血圧は、持続時間の長い降圧薬を用いればコントロールは容易ですので、早期に発見することが重要です。

2007年4月18日水曜日

「肩こり」について

ゲスト/札幌一条クリニック 後藤 康之 医師

日本人には肩こりに悩む人が多いそうですね。

 約7000万人の日本人が、現在あるいは過去に肩こりに悩まされた経験があるという調査結果があります。男性よりも女性に若干多く、いわゆる働き盛りの年代に多いのですが、最近は塾通いやテレビゲームの影響で小・中学生が肩こりを訴えるケースも増えています。
 肩こりは、人類が直立二足歩行を始めたときからの宿命といわれています。特に、欧米人や日本人と同じアジア人である中国人より、日本人に肩こり症の人が多いのは、歴史や伝統が関係しているのではないかといわれています。「肩の荷を下ろす」「肩書き」など、日本語には肩のつく言葉が多くあり、日本人にとって「肩」は体の部位以上の意味を持つ存在です。明治の女流作家・樋口一葉が肩こりと頭痛に悩んでいたのは有名です。一葉は若くして家計を支え、文筆業を志して勉強もしていました。経済的、心理的にストレスの多い毎日の中で、当時の髪型や住環境、やせ型の体型なども影響して、しつこい肩こりに悩まされていたのではないでしょうか。

肩こりの予防や治療法はありますか。

 肩こりの症状は、頚部(けいぶ)・肩・上背部の不定の痛みで、疲労感やしびれを伴うこともあります。頚部の血流への影響が強く頭痛の原因ともなります。持続した動作、不自然な動作をしたとき、ストレスを強く受けたとき、精神的緊張が続くときに起こりやすく、几帳面(きちょうめん)な人や物事にこだわる人に発症しやすい傾向があります。
 肩こりは、筋肉の緊張によって血液の流れが悪くなり、疲労物質が蓄積することで起こります。軽い体操やマッサージ、入浴、ハリ治療など、自分にあった肩こり解消法を見つけるとよいでしょう。夜更かしや過労を避けたり、枕を変えるだけでも改善することがあります。それでもしつこく痛みがとれないときは、痛みの専門医である麻酔科を受診してみてください。人によって効果はさまざまですが、神経ブロックのほか、理学療法、安定剤などの処方によって、痛みを緩和できることが多くあります。

2007年4月11日水曜日

「前立腺肥大症」について

ゲスト/芸術の森泌尿器科 斉藤 誠一 医師

前立腺肥大症について教えてください。

 前立腺はクルミ大の男性特有の器官で、膀胱(ぼうこう)の出口付近で尿道を取り巻いて精液の液体成分を分泌しています。前立腺は加齢とともに肥大する傾向があり、50歳以上の男性の多くに前立腺肥大が見られます。原因ははっきりしていませんが、加齢や男性ホルモンの影響と考えられています。前立腺が肥大すると、前立腺の内側にある尿道を圧迫し、さらに前立腺が自律神経の作用で緊張し、尿道を圧迫するため、排尿障害が起こります。
  前立腺肥大症の主な症状としては、夜間に何度もトイレに起きる、排尿に勢いがなくなる、尿がなかなか出なくなり出終わるまで時間がかかる、排尿が終わってもすっきりせず残尿感がある、そしてトイレまで間に合わないで失禁するなどがあげられます。特にアルコールを飲んだり、長く同じ姿勢で座っていたり、冷えたりすると症状が顕著になります。歓送迎会や花見などで宴席の多いこの季節、排尿に異常を感じて受診する方も多くなります。

注意点や検査、治療方法について教えてください。

前立腺肥大症の症状がある人は、日常生活の中で、アルコールはほどほどに、体を冷やさない、便秘を避ける、尿が出づらくなる可能性のある市販の風邪薬を飲むときは慎重に、排尿を我慢しないなどの点に注意してください。
  就寝後に2度以上トイレに起きたり、尿の勢いが弱くなったら、泌尿器科の受診をお勧めします。検査は、尿の勢いや残尿の有無、直腸診などで診断します。初期症状が前立腺肥大症に似ている、前立腺ガンの検査も同時に受けるといいでしょう。
  治療としては、最近ではさまざまなタイプの薬が出ています。医師の指導のもと、自分に合った薬を飲み続ければ、症状はある程度コントロールが可能です。ただし、根本的な治療にはならないので、ころ合いを見計らって手術を受けるのもいいでしょう。内視鏡やレーザーによる手術が可能です。手術法や症状によって、1日から1週間程度の入院ですみます。手術後に再発する率も非常に小さいです。

人気の投稿

このブログを検索