2007年4月11日水曜日

「前立腺肥大症」について

ゲスト/芸術の森泌尿器科 斉藤 誠一 医師

前立腺肥大症について教えてください。

 前立腺はクルミ大の男性特有の器官で、膀胱(ぼうこう)の出口付近で尿道を取り巻いて精液の液体成分を分泌しています。前立腺は加齢とともに肥大する傾向があり、50歳以上の男性の多くに前立腺肥大が見られます。原因ははっきりしていませんが、加齢や男性ホルモンの影響と考えられています。前立腺が肥大すると、前立腺の内側にある尿道を圧迫し、さらに前立腺が自律神経の作用で緊張し、尿道を圧迫するため、排尿障害が起こります。
  前立腺肥大症の主な症状としては、夜間に何度もトイレに起きる、排尿に勢いがなくなる、尿がなかなか出なくなり出終わるまで時間がかかる、排尿が終わってもすっきりせず残尿感がある、そしてトイレまで間に合わないで失禁するなどがあげられます。特にアルコールを飲んだり、長く同じ姿勢で座っていたり、冷えたりすると症状が顕著になります。歓送迎会や花見などで宴席の多いこの季節、排尿に異常を感じて受診する方も多くなります。

注意点や検査、治療方法について教えてください。

前立腺肥大症の症状がある人は、日常生活の中で、アルコールはほどほどに、体を冷やさない、便秘を避ける、尿が出づらくなる可能性のある市販の風邪薬を飲むときは慎重に、排尿を我慢しないなどの点に注意してください。
  就寝後に2度以上トイレに起きたり、尿の勢いが弱くなったら、泌尿器科の受診をお勧めします。検査は、尿の勢いや残尿の有無、直腸診などで診断します。初期症状が前立腺肥大症に似ている、前立腺ガンの検査も同時に受けるといいでしょう。
  治療としては、最近ではさまざまなタイプの薬が出ています。医師の指導のもと、自分に合った薬を飲み続ければ、症状はある程度コントロールが可能です。ただし、根本的な治療にはならないので、ころ合いを見計らって手術を受けるのもいいでしょう。内視鏡やレーザーによる手術が可能です。手術法や症状によって、1日から1週間程度の入院ですみます。手術後に再発する率も非常に小さいです。

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