2023年3月16日木曜日

認知症デイケアの役割

平田 沙緒里 デイケア科科長(作業療法士)

認知症デイケアではどのようなサービスが提供されますか

 認知症デイケアは、精神科病院・診療所に併設される通所医療施設です。認知症の方であれば、通常のデイケア(通所リハビリ)やデイサービス(通所介護)のご利用が可能ですが、認知症の方に対する専門的なサービスとして認知症デイケア(重度認知症患者デイケア)もご利用いただけます。

 最大の特徴は、精神科医のほか看護師・作業療法士・精神保健福祉士・介護福祉士などの多職種が連携して、さまざまな行動・心理症状(不安、妄想、幻覚、徘徊(はいかい)、抑うつなど)のある利用者さまに質の高いケアを提供する点にあり、施設によって異なりますが、当施設の一般的な1日の流れをご紹介します。まず朝送迎スタッフがご自宅までお迎えに参ります。施設に着いたら体温や血圧、脈拍などの健康チェックを行い、朝の会などで日付や曜日を確認したり、最近のニュース、季節や旬の話題を取り上げ、認知機能(時間や場所、状況などを把握する能力)にアプローチします。その後、利用者のペースに合った体操などを行います。椅子に座りながら全身運動である「チェアロビクス」や、認知症予防に役立つとして開発された「コグニサイズ(軽く息が弾む程度の運動と同時に、たまに間違うくらいの難易度の計算、しり取りなどの課題に取り組む)」。その他懐かしい写真や映像などを見ながら思い出を語ることで脳を刺激する「回想法」、音楽鑑賞や映画観賞、他者との交流で心身機能の向上を促すさまざまなレクリエーションなどを日替わりで行います。このように、認知症の方が少しでも生きやすくなるよう支援します。

 専門スタッフが生活に近い場面で、長時間にわたり利用者さまと一緒に過ごすので、普段と比べて足の運びが悪い、表情が険しい、排尿間隔が短い、よだれが多いなどの異変に気付き、過去には腰椎圧迫骨折や脳梗塞、尿路感染症など他科の病気の早期発見につながったケースもありました。

 重度認知症デイケアの費用は医療保険や自立支援医療が適用されます。介護サービスとの併用もできます。

 長引くコロナ禍で、感染による重症化リスクが高い高齢者の外出控えが続いています。体を動かす機会が減り、心身の機能低下が懸念されます。大切なのは、「運動」「食事」「人との交流」の3つです。感染対策を徹底しながら行う、認知症デイケアなどの医療介護サービスを活用してほしいと思います。 

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