2023年3月2日木曜日

視力検査で分かること

ふじた眼科クリニック 藤田 南都也 院長

視力検査について教えてください

 眼科では、さまざまな治療の折に視力検査を勧めます。“目は心の窓”という言葉がありますが、視力検査からもいろいろなことが分かります。眼科での視力検査では、「視力」といっても裸眼の視力だけではなく、近視、遠視、乱視など屈折異常や、矯正レンズを当てた状態で良好な視力を得られるかどうかの検査まで行います。

 例えば、小学生のお子さんの視力が0.7程度である場合、「授業に支障がなければ問題ない」と考える親御さんも多いかもしれません。しかし、強い遠視や乱視があるケースでは矯正レンズを当てても良好な視力を得られないことがあります。これは「弱視」という病気です。放置すると、細かいものを見るための脳や神経の働きが十分に成長せず、視機能の発達が途中で止まってしまいます。早期に弱視を発見し、適切な治療を受ければ視力の改善が期待できますが、中学生以降ではその後の治療は難しくなります。学校の視力検査で不良を指摘されたら眼科での詳しい検査が必要です。また、子どもの場合、学校や家庭環境のストレスが原因で視力低下を招く心因性の視力障害が見つかるケースもあります。心理的な要因が絡んでいますが、親御さんはそれに気付かず、単なる近視と思い込んでしまうことがあり注意が必要です。

視力検査では、他にどんな病気が見つかりますか

 成人の場合、高血圧の人に起こりやすい網膜静脈閉塞(へいそく)症では、部位によっては視力障害が出ます。また、働き盛りで心身のストレスが原因の中心性漿液(しょうえき)性網脈絡膜症による視力低下が起きたり、年齢から来る白内障と思い込んでいたのが、実は加齢黄斑変性症によるものだったというケースもあります。普段両目で見ていると片目に異常があってもなかなか気付かないものですが、眼科で片目ずつ視力を測定して初めて見つかることもあります。

 糖尿病と診断された方は、糖尿病網膜症を見落とさないために、眼科医も必ず受診してください。この病気が厄介なのは、自覚症状が少なく、見えづらさなどの症状が出る頃にはかなり進行し、失明の危険性がある場合も少なくありません。

 視力検査が、目に隠れているさまざまな病気の早期発見につながるケースは珍しくありません。特別な症状がなくても、定期的に眼科を受診するようにしましょう。

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