医療法人社団 大道内科・呼吸器科クリニック 北田 順也 副院長
北海道の花粉症について教えてください
北海道の花粉症は、4月中旬〜5月下旬がピークの季節です。本州に多いスギ花粉はわずかで、ハンノキ、シラカバなどカバノキ科の花粉症が主体です。その頃にはしつこい鼻水や鼻詰まり、くしゃみ、目のかゆみなどの花粉症の症状とともに、咳(せき)が長く続いて来院される患者さんが増えてきます。
また、同時にぜんそく患者さんの中にも咳や、息を吐く時に「ゼイゼイ」「ヒューヒュー」という音がする喘鳴(ぜんめい)が出現したり、鼻炎の症状を伴う患者さんが多くなります。鼻と気管支は空気の通り道として一つにつながっているので、花粉症の悪化の程度とぜんそく症状は密接に関連しているのです。
また、カバノキ科の花粉症の患者さんの中には、リンゴやモモ、サクランボなどの果物を食べると唇や口の中、喉に腫れやかゆみなどの症状が出る口腔アレルギーの人が多く見られます。花粉のたんぱくと、果物に含まれるたんぱくの構造が似ていることから、果物を有害な異物と誤って認識して免疫反応が起こってしまうのです。他に同様のアレルギーが起こるものとしてはキウイ、ナッツ類、セロリ、ニンジン、ジャガイモなどがあります。
治療について教えてください
花粉症の症状に加え、発熱やレントゲンでの異常がないのに咳が長く続いている場合や、特定の果物を食べた時に何らかの不快な症状が出る場合は、呼吸機能検査や血液検査、皮膚テストなどでぜんそくを発症していないか、アレルギー素因を持っていないかを調べてみるとよいでしょう。原因を特定し、それに合った治療を受けることが大切です。
毎年の花粉の季節にもぜんそくを悪化させないようにするためには、症状がしばらく落ち着いている時期でも自己判断で治療を中断せず、内服薬、吸入ステロイド薬などによる適切な治療をきちんと継続することが重要です。それでも花粉症や長引く咳を毎年のように経験する人は、花粉の飛散が本格的に始まる前、または症状が軽い時期から予防的に抗アレルギー剤を服用すると、シーズン中の症状が軽減されます。
ちなみに、今年のシラカバ花粉の量は例年と比べてどうなるでしょうか?北海道立衛生研究所によって解析が行われていますが、札幌においてはシラカバ花粉の飛散は「少ない」と予想されています。