2021年2月17日水曜日

うつ病の養生

 ゲスト/医療法人社団 正心会  岡本病院  鈴木 志麻子 医師


うつ病の治療中・休養中は自宅でどのように過ごしたらいいでしょうか。

 うつ病の治療では、専門治療のほかにもご自身で取り組む「養生(生活に留意して健康の増進を図ること、病気の回復につとめること)」がとても大切です。

 ●生活リズムを整える…基本中の基本です。具体的には、起床と就寝の時刻、可能ならば食事や入浴の時刻をなるべく一定に保ちましょう。不規則な生活はうつ病を治りにくくします。午前中に日光に当たることで、体内時計をリセットして寝付きが良くなる効果があります。

 ●十分な睡眠をとる…遅くても23時ごろには床に就き、少なくとも7時間以上の睡眠をとるよう心掛けてください。夕方以降にコーヒーを飲んだり、寝る前にベッドの中でスマホを操作したりする習慣はやめましょう。また、お酒を睡眠薬代わりに飲むことは、実は逆効果です。酔ったまま眠るので睡眠が浅くなり、利尿作用で夜中にトイレに行く回数も増えます。

 ●お酒をやめる…少なくとも薬物療法中はお酒を控えましょう。お酒と一緒に飲むことによって薬の作用が強くなってしまったり、体に有害な作用が出たりする恐れがあるからです。また、憂さを晴らすために飲むお酒は、酔いから覚めた時に反動で強い憂うつや不安を起こしやすく、酒量が増えるとアルコール依存症を合併する危険もあります。

 ●バランスの良い食生活…現代人の食生活は「カロリーは過剰」で「栄養は不足」しがちです。貧血の方だと鉄分を補充するとうつ病の症状が改善するケースもあります。栄養バランスのよい健康的な食事をとることで、抑うつ症状が軽減したとの研究結果が報告されています。まずは「スナック菓子を減らす」「3食に野菜ジュースやヨーグルトを一品プラスする」等から始めましょう。

 ●適度な運動…週3〜5回程度の有酸素運動(ウォーキングやジョギングなら1回40分程度)で、うつ病の症状改善に薬物療法と同等の効果があると報告されています。最初は5分程度の散歩から始めてみましょう。

 ●気分に左右されずに活動する…うつ病は気分(調子)が良くなったり、悪くなったりを繰り返しながら、徐々に回復していく病気です。ですが、気分が良い時は活動し、悪い時は活動しないという「症状中心」の生活を続けていると中々自信がつきません。気分が悪い時でも、何かをやってみたら「意外と大丈夫だった」という経験は重要です。最初は小さなことから取り組んでみましょう。

 ●患者の役割を果たす…うつ病の急性期には過度の活動は病状を悪化させます。主治医とよく相談し、休むべき時は休みましょう。回復期に入った方や、軽度のうつ状態が慢性化している方は、気分に左右されずにいろいろな活動に取り組みましょう。休むべき時は休む、やるべき時はやる。それが「患者の役割」を果たすことです。

 医者任せ、薬任せにせず、ぜひ、ここに紹介した養生に取り組んでいただきたいと思います。