2021年2月3日水曜日

健康診断で『肝障害』を指摘されたら…

 ゲスト/福住内科クリニック 佐藤 康裕 院長


健康診断で見つかる「肝障害」について教えてください。

 肝臓の数値であるAST、ALT、γGTPなどが高くなることを肝障害といいます。健康診断で見つかる肝障害の原因として最も多いのは、肥満による脂肪肝です。軽く見られがちですが、悪化すると脂肪の蓄積だけでなく、肝細胞に障害を起こすようになり、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)という病態に進展します。NASHの状態が長く続くと肝硬変に至ることもあり、また肝臓がんを生じることもあります。日本では他の原因による肝炎が減少傾向である一方でNASHは増加しており、近年関心が高まっている疾患です。治療は、生活習慣改善による体重減量が最も重要です。

 お酒や薬による肝障害もしばしばみられます。アルコール性肝障害は軽症のうちは禁酒・節酒により改善しますが、長年放置して飲酒を続けると肝硬変に至ります。薬物性肝障害はかぜ薬などにより一時的に起きるケースのほか、常用している薬で慢性的に起きていることもあり、この場合は薬の中止や変更が必要になります。サプリメントや漢方薬で生じることもあります。

病院を受診せずに、ダイエットや節酒をして様子を見ていても大丈夫ですか。

 専門医による治療が必要な疾患が見つかることもあります。「脂肪肝だろう」「お酒のせいだろう」と自己判断せず医療機関を受診してください。

 ウイルス性肝炎がその一つです。B型やC型の肝炎ウイルスは血液を介して感染します。以前は出生時の母子感染、汚染された血液製剤、注射の回し打ちなどが原因となりましたが、現在は十分な感染対策がなされています。不衛生な入れ墨やピアスの穴あけ、性行為などが原因となりますが、感染機会が明確でなく、本人が気付いていないケースもあります。B型肝炎ウイルスは乳幼児期に感染すると持続感染となり、C型肝炎ウイルスは感染時期によらず70%ほどが持続感染し、慢性肝炎を引き起こします。慢性肝炎は症状が乏しく、気が付かないまま長年放置していると肝硬変に至り、さらには肝臓がんを発症する恐れもあります。

 ウイルス性肝炎の他にも肝臓の腫瘍や肝臓の中を流れる胆管の腫瘍がエコーなどの検査によって発見されることもあります。また免疫の異常による自己免疫性肝疾患や甲状腺機能の異常による肝障害などが見つかることもあります。肝臓は「沈黙の臓器」といわれ自覚症状が出にくいため、健診が肝疾患発見の重要な機会になります。