2015年6月3日水曜日
顎関節症
ゲスト/つちだ矯正歯科クリニック 土田 康人 院長
顎(がく)関節症とはどのような病気ですか。
顎の関節は、耳のすぐ前に人さし指と中指を当てて、口を開閉した時に動く部分です。顎関節症とは、顎の関節や周囲の組織に現れる痛みや障害の総称を言います。主な症状は、口が開かない、口が開きにくい、口を開閉する時にカクカク(シャリシャリ)と音がする、下顎が左右にずれてガクガクする─などがあります。食事が困難になり、日常生活に影響が出るほどの症状に苦しむ患者さんもいます。顎を動かした時の症状が大半ですが、頭痛や耳鳴り、肩凝りなどの諸症状を伴う場合もあります。
原因としては、歯並びやかみ合わせの異常、歯ぎしりや食いしばり、かみ癖などが考えられます。かみ合わせの異常は歯の詰め物や義歯のせいでも起こり、かみ方が左右どちらかに偏っているケースも少なくありません。また、精神的なストレスが原因となり、症状が現れることもあります。気が付かないうちに歯を食いしばり、顎関節に負担を掛けている場合や、多忙による疲労、不規則な食事・睡眠時間も大きく関係しています。学生が受験を終えたら治った、仕事上の問題など悩み事を解決したら治ったという例もあります。
顎関節症の治療について教えてください。
症状の程度によって異なりますが、スプリントと呼ばれるマウスピースのようなものを歯にかぶせる治療が一般的です。スプリントを使い、下顎を適切な位置(やや下顎を前方に出した位置)で安定させ、きれいなかみ合わせをつくります。比較的早くに症状は軽減されますが、あくまでも対症療法でしかないため、スプリントを外した時に再発する可能性もあります。スプリントを使いながら、しっかりと根本的な原因を解明し、それを解決することが重要です。例えば、歯並びを矯正したり、かみ合わせや顎のずれを修復したり、場合によっては、口腔内の金属冠を作り替えたりし、かみ合わせが安定するようにします。
顎関節症は中・高校生から成人にみられることが多く、小学生以下の子どもに発症するケースは少ないです。しかし、子どものうちの悪いかみ合わせや歯並びを放置してしまうと、大人になってから顎関節への悪影響が出る危険性があります。顎関節の診断や治療は専門医の受診が必要です。少しでも不安を感じたら、矯正の専門医にご相談ください。
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