2009年7月22日水曜日

「禁煙治療」について

ゲスト/白石内科クリニック 干野 英明 医師

治療による禁煙について教えてください。
 タバコが健康に悪いのは理解しているし、周囲からも勧められているのに禁煙できないという人は多いでしょう。自分の意思だけで禁煙を成功させるのは、難しいことです。禁煙できない人の大半がニコチン依存症になっていると考えられます。現在では、ひとつの病気として見なされ、禁煙治療は3年前から健康保険適用になっています。実際に健康保険を使って禁煙治療を希望される場合は、禁煙治療を実施している医療機関を受診してください。
 病院では、まずニコチン依存症になっているかどうかを調べます。1日に吸う本数に喫煙年数を掛けて200以上であることと、依存症かどうかの質問票に答えて10点満点のうち5点以上であれば依存症と判断され、保険診療の適用となります。そのほか、禁煙の意思と、治療に同意していることが必要です。

具体的な治療法について教えてください。
 12週間にわたって計5回の診察があります。その都度、禁煙が順調か呼気CO濃度を測定します。使用する薬には、張るタイプと飲むタイプがあります。張るタイプは、ニコチンを含んでいるパッチを8週間にわたって毎日使用します。ニコチンを体に補充するため、理論上はタバコを吸いたくなくなります。パッチを張ったまま喫煙するとニコチン中毒になるので注意が必要です。
 飲むタイプは1日2回錠剤を内服します。飲み薬の場合は、脳の中でニコチン受容体との結合をブロックするため、タバコを吸っても満足感がなくなり、自然と吸いたくなくなります。保険診療の場合、標準として3割負担の方で、計5回の診察と薬代を合わせて、張り薬で1万3000円、飲み薬だと1万7000円ほどです。禁煙の成功率はニコチン依存症の程度にもよりますが、次の受診予定日から1か月以上間隔が空くと脱落とみなされ、1年間たたないと再び保険診療を受けることができません。喫煙により、COPD(慢性閉塞(へいそく)性肺疾患)になったり、ガンや動脈硬化の危険性、皮膚の衰えなど、多くの不利益が生じます。禁煙のメリットを医師からよく聞いて、強い意思をもって、治療してほしいと思います。

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