2009年7月9日木曜日

「経鼻内視鏡」について

ゲスト/かわばた内科クリニック 川端幹夫 医師

―経鼻内視鏡について教えてください。
 口から入れる胃カメラは、吐き気を伴い、苦しくて「内視鏡検査は二度と受けたくない」という人も少なくありません。これは舌の付け根部分に内視鏡が触れ刺激することで、咽頭(いんとう)反射が起こることが原因です。異物を吐き出そうという防御反応ですが、検査中吐き気を耐えなくてはならない患者さんにとっては大変苦痛です。
 経鼻内視鏡は、その名のとおり、鼻から挿入する内視鏡です。鼻から鼻腔(びくう)を通って食道に入ることで、舌の根に触れることがなく咽頭反射はほぼありませんので、吐き気を耐えながら検査を受ける苦痛から解放されます。検査中に医師との会話が可能でコミュニケーションをとりながら検査を進めることができます。患者さんの負担が少ないので、医師も落ち着いて丁寧に胃内を観察することができます。

―経鼻内視鏡とはどのようなものですか。
 経鼻内視鏡は、5年ほど前から使用されてきましたが、最近、患者さんの評判が良いため、導入する医療機関も増えてきています。
 経鼻内視鏡の直径は5.9㎜程度で、従来の口から入れる胃カメラに比べて半分程度の太さです。鼻を経由しやすいようにしなやかな作りになっており、鼻の通り道が狭い方、鼻血の出やすい方以外のほとんどの患者さんに検査が可能です。
 経鼻内視鏡の挿入前に、鼻の粘膜に局所麻酔をかけますが、従来の口からの内視鏡のように鎮静剤などの注射の必要がないため、検査後すぐに帰宅できるのも利点です。
 死角が少ないため、細い頚部(けいぶ)の食道の観察にも優れています。
 経鼻内視鏡は口から入れる胃カメラより画像が落ちること、ポリープ切除などの処置ができないなどの欠点はありますが、一度経鼻内視鏡を体験した患者さんのほとんどが次回も鼻からの検査を望まれます。初めて検査を受ける方や、以前の検査で苦しい思いをした方には、お薦めの検査方法と思います。
 鼻からの胃カメラを希望される方は、導入している医療機関に相談してください。

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