2003年8月27日水曜日

「前立腺肥大症」について

ゲスト/芸術の森泌尿器科 斉藤 誠一 医師

中高年男性が心配する病気の一つに、前立腺肥大症がありますね。

 前立腺肥大症は50歳を過ぎた男性なら、覚悟しておかなければならない病気です。夜トイレに頻繁に起きるようになったり、排尿の勢いが弱くなったり、排尿後、尿がまだ残っている感じがしたり、排尿開始時に息んだりするようになったりというのが初期症状です。初期なら薬で症状が軽くなりますが、いずれは薬も効かなくなります。何度も治療する時間や医療費負担を考えると、早い時期からの手術も検討に値します。医療保険制度に個人差がある米国では、薬による治療は高額になるため、手術を選ぶ人がほとんどです。かつては薬が効かなくなると、電気メスによる内視鏡手術しか選択肢がありませんでしたが、現在はいろいろな治療法があり、患者さんに応じた方法を選ぶことができます。その中の一つに、入院せずに外来で比較的簡単にできる高温度治療がありますが、効果が長続きしないことが問題点です。

新しい治療法としてはどんなものがありますか。

 現在の主流は電気メスで前立腺を削り取り、「土管」の掃除をすることですが、おしっこの管を入れて数日の入院が必要です。また、場合によっては手術中や退院後に大量に出血することもあります。電気メス以外では、ホルミウムレーザーによる手術があります。比較的安全に前立腺を削り取り、入院期間も短縮できる方法です。かつてのレーザーは、やけどをつくり、また、おしっこの管を数日入れておかなければなりませんでした。しかし、ホルミウムレーザーは電気メスと同様に前立腺を出血なく削り取ることができます。特に大きな前立腺には有効です。出血が少ないため、おしっこの管を早く抜くことができ、早期の退院が可能になりました。また、電気メスによる手術と違い、手術中に水が体内に入って気分が悪くなったり、血圧が下がるなどの問題もありません。削り取った前立腺の組織のがん検査も可能です。ただし、手術時間は若干長くかかります。ともかく現在、前立腺肥大症で治療を受けている方で、血液検査でPSA値が高いなどのがんの疑いが無く、頻尿などで自分自身が不便を感じている場合でなければ、焦る必要はありません。主治医とよく話し合い、都合の良い時期に、一番適した治療方法を選択してください。

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