2003年9月3日水曜日

「PETによるがんドック」について

ゲスト/札幌新世紀病院 阿部 信彦 理事長

国内のがんの状況をご紹介いただけますでしょうか。

 1981年以降、がんは日本人の死因のトップで、国民の約半数が生涯においてがんを発症し、3人に1人はがんが原因で亡くなっています。がんは決して珍しい病気ではなく、誰がかかっても不思議はないのです。ところが治療法はというと、ほとんどのがんについて、確実に治す方法や劇的な特効薬は残念ながら見つかっていません。何らかの自覚症状が出てから検査を受け、がんが見つかった場合、半数以上が進行・手遅れといわれています。がんを克服するには早期発見、治療こそが最良の方法なのです。早期に発見できれば、大きな手術を必要としないので肉体的にも精神的にもダメージが少なく、当然ながら短期の治療、入院で完治すれば経済面や時間の負担も軽く済みます。医療は日々進化し、初期段階のがんなら部位にかかわらず大半が生存率9割以上となってます。がんは「見つかる前に、見つける」ことが大切なのです。

PETによるがんドックについて教えてください。

 「がん診断の切り札」といわれるPET(ペット・陽電子放射断層撮影装置)に、最新鋭のMR、CT、超音波、乳房撮影などを組み合わせた総合画像診断です。ほぼ全身にわたり、数ミリのがんを、まず見逃さない高い診断レベルを実現しています。がんの発見率は通常の人間ドックの約10倍以上ともいわれています。所要時間は苦痛を伴わない検査を約3時間半、結果の仮説明も含めて約5時間です。セカンドオピニオンとしても有効で、転移があるとされていたがん患者さんが実は転移していなかったり、転移の無い早期がんと説明を受けていた多くの人に転移が見つかったりすることもあります。特に早い段階から転移が珍しくない肺がんや乳がんの治療方針決定時にPET検査は有効といえます。最近では、著明な方もPET検査を受けられたりして、道内外に広くPETが認知されるようになってきました。一部条件はありますが、現在健康保険適用となったので、主治医や対応できる医療機関に詳細を尋ねてみてください。

人気の投稿

このブログを検索