2003年8月6日水曜日

「大腿(たい)骨頚(けい)部骨折」について

ゲスト/紺野整形外科クリニック 紺野拓志 医師

大腿骨頚部骨折について教えてください。

 大腿骨が骨盤につながる部位が大腿骨頚部で、この部分を骨折するのは、ほとんどが高齢者です。男性にも起こりますが、特に女性が多く、その背景には骨粗しょう症によって骨がもろく折れやすくなっていることが挙げられます。高齢者が大腿骨頚部を骨折し、それを契機に寝たきりになる例も多く、大きな問題となっています。骨折のきっかけはほとんどが転倒です。転ぶなどして、大腿骨頚部に痛みを感じたら、すぐに専門医を受診してください。大腿骨頚部骨折であれば、できる限り早く手術を受けてください。可能であれば、骨折した当日に手術を受けることをお勧めします。手術をしないまま時間が経てば経つほど、治癒に時間がかかり、寝たきりになってしまう確率も高くなります。手術自体は決して難しいものではなく、患者の負担も比較的軽く済みます。術後、麻酔が覚めたら自力でトイレまで行けるように努力してください。そして、早い時期に積極的にリハビリに取り組みましょう。「自分で歩く」という強い意志が、寝たきりを回避することにつながります。順調であれば、1~2カ月で退院することができます。

大腿骨頚部骨折を防ぐにはどうしたら良いですか。

 とにかく転んだり、つまずかないことが一番の予防です。転倒する場所として、足場の悪い野外を想像しがちですが、実際には家の中の転倒で骨折することが多いのです。掃除機のコードや座布団につまずいたり、新聞紙や玄関マットで滑ったり、ふろ場で転ぶなどして、骨折する例が多く報告されています。普段から家の中の整理整頓を心掛け、できれば手すりを付けたり段差を減らすようにしましょう。風邪などで体調を崩したときは、家の中でも慎重に歩くようにしましょう。また、普段からカルシウムとビタミン豊富な食事を心掛け、適度な運動をして、骨粗しょう症を防ぐことも大切です。関節に痛みのある人は、水中ウオーキングのような負担の掛からない運動がいいでしょう。積極的に動くことによって筋力が付けば、骨折の予防にもなります。

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